日別アーカイブ: 2012年12月5日

日本鳥学会100周年記念「鳥類の多様性」〜貴重資料展示、いよいよ残りわずかです!

kahaku_entrance_2日本鳥学会が今年100周年を迎えたことから、山階鳥研では2つの記念展示を共催および後援し、所蔵資料を出展してきましたが、その第2弾「鳥類の多様性〜日本の鳥類研究の歴史と成果〜」(国立科学博物館)が、12月9日(日)までと、残すところあと4日となりました。
このブログでも10月15日にすでに一度お伝えしていますが、この展示には山階鳥研から標本等15点と図書2点を出展しています。今年の2回の展示が30年ぶりの一般公開となったカンムリツクシガモの雌雄の標本のほか、この標本以外には観察、撮影、採集の記録がないという宮古島のミヤコショウビンの標本も出展されています。
kahaku_kimpuカンムリツクシガモは、独立種であることの根拠として今回展示されている標本が役立ったほかに、江戸時代の絵図によってたしかにこういう鳥が過去に生きていたことがわかったわけですが、今回、東京国立博物館所蔵の江戸時代の博物図譜、「観文禽譜」からカンムリツクシガモの図が展示されており、実物の標本と稀な対面をしているのも見逃せないところです。
また、これは山階鳥研の標本ではありませんが、2011年に新種として記載されたオガサワラヒメミズナギドリの日本における第2標本(国立科学博物館所蔵)も展示されていて間近に見ることができます。
kahaku_ostrich展示の全体は、「日本における鳥類研究の歴史」「分類と種多様性の研究」「生態研究」「生物多様性と保全研究」のセクションとトピック展示からなり、日本鳥類学の始まりから、ハイテクを使った現代のさまざまな研究までを紹介しています。
山階鳥研をはじめとする研究機関や博物館の貴重資料を見るとともに、日本鳥類学の現在を概観することのできるこの機会をぜひお見逃しなく。
日本鳥学会100周年記念 鳥類の多様性〜日本の鳥類研究の歴史と成果〜
【会期】2012年10月6日(土)〜12月9日(日)
※休館日は、毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は火曜日)
【場所】国立科学博物館
東京都台東区上野公園7-20 Tel. 03-5777-8600(ハローダイヤル)
【料金】通常の入館料でご覧になれます。
(大人・大学生600円、高校生(高等専門学校生含む)以下 無料)
【主催】国立科学博物館
【後援】日本鳥学会・(公財)山階鳥類研究所
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※画像は上から、カンムリツクシガモが出迎える展示入り口、「観文禽譜」(東京国立博物館所蔵)のカンムリツクシガモの図、最新の系統分類の展示、日長のデータから鳥の位置情報を得るジオロケーターによるブッポウソウの渡り研究の展示です。
国立科学博物館による告知はこちらです。
国立科学博物館のアクセスはこちらです。
「所蔵名品から 世界に3点しかない絶滅鳥カンムリツクシガモ」はこちらです。
海外にあるもう1点のカンムリツクシガモ(第一標本)についてはこちらです。
「所蔵名品から 第17回 空前絶後の1点の標本の謎― ミヤコショウビン)―」はこちらです。
山階鳥類研究所のイベント情報はこちらです。

産卵確認!〜アホウドリ再導入を進めている小笠原群島の聟島で

albatross_nhk絶滅危惧種アホウドリの小笠原再導入のため、2008年から2012年まで5年間、伊豆諸島鳥島から小笠原諸島聟島(むこじま)に合計70羽のヒナを移送し、人工飼育によって69羽の巣立ちに成功していましたが、このたび、聟島で、2008年に人工飼育して巣立ったヒナが別の個体と番いになって、産卵があったことが確認されました。
これは山階鳥類研究所とNHKが共同で設置している監視カメラによって確認されたもので、上の画像は11月14日のものです。
報道発表資料はこちらです(2012年12月5日)
アホウドリのヒナを移送して再導入する試みには前例がなく、移送先で繁殖する確証はありませんでしたが、この産卵で、聟島での繁殖地形成の成功に大きな光が見えてきました。
この事業は、聟島に、人間の手助けなしに存続する繁殖地ができることが目標です。多くの皆様のこれまでのご支援に感謝するとともに、引き続きご関心をお寄せいただき、ご支援いただけるようお願いいたします。
2012年5月の聟島での巣立ち終了の記事はこちらです。
2012年2月現在の聟島への人工飼育個体の帰還の記事はこちらです。
2012年2月の鳥島から聟島へのヒナ移送の記事はこちらです。
山階鳥研のウェブページ「アホウドリ 復活への展望」はこちらです。