2013年1月1日掲載
賛助会員の皆様、また日頃より山階鳥類研究所を温かく見守って頂いております皆様、あけましておめでとうございます。旧年中は当研究所に多大のご支援を賜り、まことに有難うございました。
当研究所は、昨年4月に公益財団法人への移行が認可され、新制度に基づく公益法人として新たな一歩を踏み出しました。また昨年9月には、当研究所の設立70周年を記念し、「鳥の魅力を追う人々」と題したシンポジウムを開催しました。
当研究所の基本目標は、①国内最大の鳥類標本コレクション(剥製、骨格、巣、卵、液浸等標本約69,000 点)を整理活用し、物理・化学・生物・地学的手法を駆使して、鳥類学の新分野を創設すること、また②標識資料や新たに収集する生態的情報を整理活用し、鳥類の保全、ひいては地球環境の保全に資することです。この基本目標の下、当研究所においてどのような研究がおこなわれ、また計画されているのかの一端を明らかにするために、4名の研究者の方々が、生き物としての鳥の面白さに加え、歴史的に形成されてきた鳥と人の多様なかかわりを総合的に明らかにする「鳥学」の重要性を示唆してくださいました。
特定奨励費による「山階鳥類研究所データベースシステムの構築と公開」事業は、新たに「18世紀末から現在に至る鳥類相の変化をもとにその未来を予測する」研究を昨年から開始しました。また昨年は、聟島へのアホウドリ再導入5年計画の最終年でしたが、予定通り完了いたしました。また一昨年の東日本大震災が鳥類に及ぼした影響調査、とくにツバメの巣の放射性物質調査も全国規模で進めております。
依然として好転しない経済情勢のもと、当研究所が厳しい財政状況に置かれていることに変わりませんが、所員一同、さらなる成果を上げるために尽力いたしますので、本年も引き続きご支援賜りたく、お願い申し上げます。
山階鳥類研究所 所長 林 良博