Ogawa Minori
受入番号 OM18
タイトル 小川三紀所蔵鳥類及巣卵標本目録 第一編
1902
形態 280pp. 21×17cm

以下6項目によって構成されている。東京大学から寄贈された山階鳥類研究所所蔵の小川三紀標本と一致する記載が見られる。緒言には、三紀が所蔵する鳥類標本は主として駿河地方の陸生鳥類を網羅している。全標本は数度の綿密な調査を経て、疑わしいものは理科大学の標本を参考にして正確な名称と鳥学上重要な事項を記載し付箋した。採集期間は明治25年から35年で、収集した鳥類・巣卵標本は約1100点、約130種類。巣卵は採集困難な季節があるため不完全ではあるが、富士山麓で収集した標本は鳥学上あまりない。この欠点は今後の収集で補うことが可能である、と記されている。
  1. 『三紀蔵鳥類標本目録』 (pp.1-96)
    三紀が静岡尋常中学校に修学中に余暇ごとに採集調査した鳥類標本を飯島博士の日本鳥目録に従って配列したもの。採集期間の前期は明治25年12月22日から29年1月31日までで、それ以降は中期と属する(以上、凡例より)。章末の『動物學雑誌に於て世に公にしたる余の鳥学研究の報告』(pp.1-2)には三紀著作の掲載目録が発表順に記載されている。これらの印刷物は『日本鳥類の研究(第一) 自明治25年至明治39年』(OM29)に綴じられている。
  2. 『Katalog der Vageleier in Minori's Eruithulogischer Sammlung Heft I,1990』 (pp.1-13)
    1900年9月3日に受け入れた巣と卵11点についての標本目録。
  3. 『三紀蔵 鳥の巣標品目録基帳 第壱冊』 (pp.1-22)
    スズメ目の鳥類を主とする19種34点についての標本目録。三紀採集は9点。ほとんどの採集地は静岡県安倍郡(現在の静岡市あるいは清水市)。表題横に書かれた注意書きには、基帳を作り始めたときは巣と卵と標本番号を一緒につけていたが、途中から巣卵を統一の番号にしたため、後日つけ直す必要がある、と記されている。
  4. 『三紀所蔵 鳥類巣卵標本目録基帳 第二冊 明治三十四年八月以降』 (pp.1-89)
    富士山周辺で採集されたスズメ目を主とする6目45種320点余の巣および卵標本の目録が記されているが、明治39年1月16日、スウェーデンのオットーソンと交換のため、これらの標本からアカハラ、モズ等8種の鳥類の巣と卵を送ったことが記され、郵送した際の郵便物受領証が添付されている。本項の末に明治39年9月にオットーソンより寄贈された鳥卵標本38点が記されている。
    なお、本目録のうちNo.332~336は明治38年鷲巣作太郎氏が台湾綿花島で採集したアジサシ類を主とする海鳥5種の標本リストである。後に三紀はこれらについて次の報文を発表している。『1906 台湾綿花島にて獲たる数種の鳥類 動物学雑誌 18(210):125-131 』
  5. 『三紀蔵 鳥類標本目録基帳 第壱冊』 (pp.1-22)
    番号・和名・採集地・採集時期・採集方法・摘要の順に記されており、採集方法の欄には採集者名、寄贈者名、購入者名が記され、摘要には鳥体各部の測定値、採集地の状況等が記されている。本項には、1番から227番まで種名が不確かなものもあるが、記載されている。
  6. 『三紀蔵 鳥類標本目録基帳 第弐冊』 (pp.1-36)
    番号・和名・採集地・採集時期・採集方法・摘要の順に記されており、採集方法の欄には採集者名、寄贈者名、購入者名が記され、摘要には鳥体各部の測定値、採集地の状況等が記されている。本項には、228番から528番まで種名が不確かなものもあるが、129種が記されている。なお、382番から388番までは同目録の第二冊に記されている、「明治38年鷲巣作太郎氏が採集したチュウシャクシギおよびアジサシ類5種」の詳細データが記されている。
    また、最終頁に、459番から528番までの標本は明治39年5月29日、横浜不老町 長聖道氏より購入したもので、これは採集地・屋久島の鳥界を調査するにあたり大いに参考となるものであると、書かれている。
旧蔵情報
東京大学蔵書票有
緒言原文
三紀の所蔵する鳥学上の標本は主として駿河地方に出現する陸棲鳥類を網羅するものなるか其採集区域は程廣くして 北は長野縣は信州より東は武蔵、下野、下総に亘り西方台湾に及ぶ就中下野の日光、足尾地方及富士山より得たる標本は鳥学上願う 有益与ヨものを含む、駿河地方の標本は静岡を採集地の根●とし 近信山川原野より此所の輻輳する鳥類中英を抜き萃を撰出したるもの其數八百有餘就中啄木鳥の如きは 靜岡縣●に出現又は營巣産卵するものを総括せり。其他椋鳥科、雀科、鶇科、秧鷄科標本の如きは駿河に出現するものを殆と網羅して餘す所なし 然も全標本は鳥学的の攻究を以て 數度の綿密なる調査を経、疑しきものは之を理科大学の門し以て正確なる名称と其他鳥学上肝要たる事項を記載せる符箋を附したるを以て実に此の如き標本は駿河の鳥界を調査するに当て●●必要なるものなり。而して其採集の期間は明治二十五年の末より今日に至る迄十年間に亘り 其數壱千百四拾有余点 種數百参拾余、巣卵標本の如きは採集の困難を其季節の比較的僅少なるの枚を以て其不完全なるを免れず然れとも富士山麓に於て蒐集せる標本は鳥学上裨益する所少からず、此の如き欠点は今後の蒐集を於て補はる可し
明治三十五年九月十四日、於東京本郷駒込寓居  三紀識す

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