緒言原文(OM19, p.22より)
鳥界雑観の緒言
三十五年九月十四日於東京本郷駒込 諸者識す
題して雑観と云ふ即是レ鳥界に関する万般の事項を大となく小となく、凡て雑録として他日の備考と為したるもの、其●余の此に●●せしは明治三十四年三月、本郷附近に普通なる四十雀の鳴声の研究を以て最●しとす、余此鳥の鳴声が如何にも愛しき声して 朝未明より朝霞を破りて昌る鳴き張りければ生殖時期の鳴声をと知らん為には最好時ありと思ひ此より日毎に其声調如何を聴奉し 其都度余の新案に成れる附号とたて以て現はせり、以後雑観は日を追ひ月を重ね年を経て逐る今茲の夏の休暇終りを以て此の巻の終尾とし、数●●うしめんが為め、合●となし 以て永く余が斯●研鑽の資料に供せんとす。
鳥界雑観 明治三十四年四月以降(第一集)
凡例
此の書は余が平素耳目に触れたる鳥類を其都度
記録したるものにして、鳥学に関する余の日記なり
又●に微々の歡察を記するに止らずして休暇
間は●●鳥界視察旅行の報告及地方よりの
鳥便り、其他時にふれ折にふれて余が鳥に関して
思い●したる妄想など又歡察、遠足の際常
に注意して鳥類之去来、出現、構巣、
産卵、習性、鳴声等凡て余が耳目に達する
限り、及ぶ丈、視察せる事項は凡て之を記載
せきものなり
※●は判読できない文字
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