3.2.3 帰巣性
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ドバト捕獲後の処分として、他地域での放鳥が行われることがあるが、これらは帰巣性の点からかえって被害を分散させることになる。 このドバトの帰巣性については、6羽のドバトを捕獲後標識を付し、約16km離れた地から放鳥した邊見の報告 5) がある。この実験は2回行われたが、いずれも短時間で帰巣した。 遠距離での帰巣の例として、東京都上野公園内で捕獲したドバト(カラーリング及び番号付きタッグで標識)を、約90km離れた山梨県山中湖湖岸で76羽(成鳥)放鳥した実験がある。 放鳥後1ヶ月以内に観察された46羽のうち、山中湖周辺に残存していたのは30羽で、残り16羽のうち9羽が、各地を経由しながら数日かかって上野公園周辺に戻ってきたのが確認された(図3.14)。未確認の個体40羽を考慮すると、ドバトの帰巣性は比較的大きいといえる。なお、山中湖の放鳥地周辺では1年後の現在、5羽の標識個体が確認されている。 |
図3.14 山中湖放鳥ドバトの観察場所 |