Ogawa Minori
小川三紀
1876(明治9)-1908(明治41)

小川三紀(おがわ みのり)は日本人で最初に鳥類に専念した研究者の一人であるが、32歳という若さで没したため、論文以外の業績が知られていない。

三紀は静岡藩医小川清齋の三男として1876(明治9)年に誕生した。中学校2年生頃より昆虫類の採集を始め、同4年生頃より動物学雑誌に投稿し、動物学、特に日本産鳥類の習性については友人たちから「鳥狂」と呼ばれるほど、熱心に研究を続けた。東京帝国大学医科大学に進学後も鳥類の研究を続け、動物学雑誌および日本動物学彙報に論文を発表した。病床についた後も鳥類を購入し、標本の収集を続け、研究を怠ることはなかったという。
関連ページ 所蔵名品第8回 文献と標本は二人三脚
      ー動物学雑誌と珍鳥 オガワコマドリー
小川三紀年表
西暦(年表) 年齢     
1876年(明治9年) 0歳 3月30日静岡藩医 小川清齋の三男として生まれる。
1892(明治25)年 16歳 静岡市立高等小学校卒業
1896(明治29)年 20歳 静岡県立静岡尋常中学校卒業
1897(明治30)年 21歳 日光足尾地方鳥界視察
1900(明治33)年 24歳 富士山麓大宮口より西方面鳥界視察
1901(明治34)年 25歳 第一高等学校卒業
下総成田地方鳥界視察
伊豆大島鳥界視察
富士山南方面鳥界視察
1902(明治35)年 26歳 富士山麓鳥界視察
大井川十包坊鳥類採集
駿甲両州鳥界視察
1903(明治36)年 27歳 富士山麓東方面鳥界視察
富士山麓東南方面鳥界視察
1904(明治37)年 28歳 富士山麓東方面鳥界視察
1905(明治38)年 29歳 動物学学会会員となる
日光及び日光湯元地方鳥界視察
東京帝国大学医科大学卒業
東京帝国大学医科大学院入学
1906(明治39)年 30歳 東京帝国大学解剖学教室副手 嘱託
富士山麓東方面へ出張
東京帝国大学解剖学教室助手 嘱託
富士山麓東方面鳥界視察
1908(明治41)年 32歳 東京帝国大学解剖学教室助手 退職
京都帝国大学福岡医科大学内科助手 嘱託

10月31日逝去

小川三紀業績リスト

【論文】

  • 1905 Notes on Mr. Alan Owston’s Collection of Birds from the Islands lying between and Formosa. Annotationes zoologicae Japonenses (日本動物學彙報) 5(4):175-232
  • 1908 A Hand-List of the Birds of Japan. Annotationes zoologicae Japonenses (日本動物學彙報) 6(5):337-413
  • 1895 静岡地方鳥類一斑 動物学雑誌 7(83):317-326
  • 1896 静岡の鳥類目録 動物学雑誌 8(94):303-305
  • 1900 静岡地方に於けるPhasianus versicolor Viell.(キジ)に就て 動物学雑誌 12(139):181-183
  • 1900 雀の産卵期に於ける気温並に其卵重に就て 動物学雑誌 12(140):211-213
  • 1900 鳥界雑観 動物学雑誌 12(145):409-412
  • 1900 夏月富士山の鳥 動物学雑誌 12(145):412-413
  • 1900 日光足尾地方に於ける秋季の鳥類 動物学雑誌 12(146):436-439
  • 1901 ツメナガセキレイ 動物学雑誌 13(149):90-93
  • 1901 鳥界雑観 動物学雑誌 13(150):138-144
  • 1901 鳥界雑観 動物学雑誌 13(152):216
  • 1902 富士山麓の鳥界 動物学雑誌 14(166):267-283
  • 1902 富士山麓の鳥界 動物学雑誌 14(167):313-327
  • 1902 東京に於ける九月の鳥界 動物学雑誌 14(168):378-384
  • 1902 鳥界雑観 動物学雑誌 14(168):384-386
  • 1903 静岡地方に於ける秩鶏の産卵と其季節に於ける気候の関係 動物学雑誌 15(178):269-284
  • 1903 伊豆半島東方方面局部の鳥界観察 動物学雑誌 15(178):289-293
  • 1903 八丈島よりの鳥便り 動物学雑誌 15(181):414-415
  • 1903 駿河産鳥類一斑〔一〕 動物学雑誌 15(182):449-453
  • 1904 八丈島よりの鳥便り(第二報) 動物学雑誌 16(184):78
  • 1904 駿河産鳥類一斑〔二〕 動物学雑誌 16(188):214-230
  • 1904 駿河産鳥類一斑 動物学雑誌 16(190):285-311
  • 1904 静岡及び濱松地方よりの鳥便り 動物学雑誌 16(194):470
  • 1904 金澤よりの鳥便り 動物学雑誌 16(194):470-472
  • 1905 よこふりせきれい 動物学雑誌 17(195):11-17 Pl.1
  • 1905 地方ヨリノ鳥便り 動物学雑誌 17(195):18-20
  • 1905 八丈島よりの鳥便り(第三報) 動物学雑誌 17(196):48-49
  • 1905 富士山麓東南地方に於ける夏期の鳥界観察 動物学雑誌 17(197):51-56
  • 1905 南洋にて採集せられたる日本の鳥 動物学雑誌 17(198):73-80
  • 1905 駿河及遠州よりの鳥便り 動物学雑誌 17(198):86-88
  • 1905 東京市内及附近に於ける鳥類の産卵数例 動物学雑誌 17(201):217-218
  • 1905 日光山麓西北方面に於ける夏期の鳥界観察 動物学雑誌 17(202):250-255
  • 1905 湯本の鳥界 動物学雑誌 17(202):256-264
  • 1905 日光山麓西北方面に於ける夏期の鳥界観察 動物学雑誌 17(203):283-298
  • 1905 日光山麓西北方面に於ける七八月の鳥界一覧 動物学雑誌 17(203):298-300
  • 1906 明治三十九年一月中静岡附近にて捕はれたる鳥類 動物学雑誌 18(209):103-106
  • 1906 琉球「ヨシゴイ」と「オーストンゲラ」 動物学雑誌 18(209):89-91
  • 1906 台湾綿花島にて獲たる数種の鳥類 動物学雑誌 18(210):125-131
  • 1906 静岡にて得たる珍鳥二種 動物学雑誌 18(212):157-160

【新聞掲載記事】

  • 東京の春の鳥(一) 時事新報 明治36年1月1日
  • 東京の春の鳥(二) 時事新報 明治36年1月4日
  • 東京の春の鳥(三) 時事新報 明治36年1月7日
  • 東京の春の鳥(四) 時事新報 明治36年1月11日

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