4.2.2 ドバトの餌づけの一例
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次に、ドバトの餌づけの例として、東京・渋谷で行ったアンケート調査について述べる(表4.1)。調査地は、国鉄渋谷駅付近の「広場」で、バスやタクシー等の乗場にもなっている。ここは、その上に地下鉄の鉄橋や2つのビルを結ぶ歩道橋があり、これらの橋下のアングル上がドバトの止まり場、就塒・営巣場所になっている。また、地上には販売用の餌袋の入った容器が置かれ、1袋50円で購入できるようになっている。 餌づけを行った人やグループは、平日が32件、祭日が97件であった。餌づけに来る頻度は、調査を行った2日間で初めてと答えた人が27件、過去に餌づけの経験があると答えた人が92件であった(表4.2)。この1日当りの件数は季節・曜日・天候などで変ると思われるが、この調査では平日が祭日の 1/3 程の件数であり、祭日の方が多い。餌づけに来る頻度を4段階に分類すると、平日では週1回以上と答えた人が多く、一部の人は毎日のように来ると答えた人もいた。このように平日は定期的に来る人が多い。事実、初めてと答えた人は、祭日に多く、27件中の26件にもなる。 餌を持参した件数は、2日間で35件、平日が13件、祭日は22件であった。全体からみると、餌を持参する人は少なく、多くの人は販売されている餌を購入し、ドバトに与えていた(表4.3)。そこで餌づけの経験のある人に、過去に餌を持参したことがあるかどうか尋ねたところ、92件中35件が経験があると答えている。このことから、この場所では、餌を持参する人は少なく、販売されている餌を主に利用していると言える。また、祭日は餌を購入する割合が平日に比べて高い傾向を示していた(表4.4)。 ドバトに与えられた餌(表4.5)は、ハト用配合粒餌、パン類等であり、与えられた餌すべてが採餌された。この餌の総重量は、平日が9.5kg、祭日が19.2kgであり、平日は祭日の約半分であった。このうち販売されているハト用配合粒餌は平日の餌の55%、祭日の75%になり、この餌に依存している割合が高い結果を示している。この餌は1袋約105gで、主にトウモロコシで、その他マイロ、小麦等が含まれている。 |
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表4.1 東京・渋谷の餌づけ調査
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表4.2 ドバトの餌づけの頻度 (アンケート)
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表4.3 ドバト餌づけ用の餌持参件数
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表4.4 餌づけ経験者の過去の餌持参の程度
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表4.5 ドバトに与えられた餌の種類とその重量
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この調査地における餌づけ理由は129件のうち113件の人から聞くことができ、その一覧を表4.6に示した。主な理由は、「ハト(生きもの)が好き」、「子供がハトを好きだから・子供にせがまれて」と答えた人が多かった。この傾向は特に祭日に多くみられた。 その他の理由に、「パンの耳(ゴハンの残り)が出るのでもったいないから持ってくる」と答えた人が全体で11件あり、平日の場合はその割合が高い。平日に与えられた餌の44%がパン類であったことから考えれると、週全体のパン類はかなりの量になると思われる(一部のものには、カビ臭いものもあった)。 また、「動物を飼っている」等と答えた人のなかに、「自分で飼っていたハトがいるから」と答えた人もいた。この外「愛鳥週間にちなんで」、「都心にはハトしかいない」、「宗教上の理由」等の意見も聞かれた。 この調査地では、子供にせがまれて餌づけを行う場合が多かったので、餌づけを行った人を単独と複数の場合とに分けてみた(表4.7)。単独の餌づけは、平日件数32件中の20件にもなる。男女別では女性が多く、年代別では40〜50才代、60才以上の人が目立つ。なお、16人の女性のうち、7人がパン類(食パンの耳)を持参していた。祭日の場合は平日に比べて単独の割合が低く、男女別では男性(小・中・高校生)が多少増えるが、平日同様に40〜50才代、60才以上の女性の占める割合が高い。 複数の場合は、そのほとんどが親と子(幼児・小学生が主)の組合わせが多く、特に祭日の場合に数多くみられ、97件中45件を占めていた。この親子の内訳は、母親と子の場合が多く、平日・祭日ともにその傾向が強い。 |
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表4.6 餌づけの理由
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