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2006年7月11日更新分)

コハクチョウとウミネコの長寿記録 〜鳥類標識調査で〜

20年3ヵ月の新記録を立てたコハクチョウ。(2004年3月24日猪苗代湖青松浜にて 写真提供:小山良男さん)


 鳥類標識調査の成果として、コハクチョウにおいて足環の観察・撮影により、またウミネコで足環付き個体の再捕獲によって、従来の日本での記録を更新する野外における長寿記録が生まれた。
 コハクチョウの長寿記録は、小山良男さんにより福島県郡山市の猪苗代湖で継続観察されていた個体で、20年3ヶ月の記録となる。ウミネコは、青森県八戸市の集団繁殖地である蕪島で、2005年5月21日に協力調査員の成田憙一さんによって捕獲・放鳥された個体で、30年11ヶ月の長寿記録となった。
 従来、標識研究室では金属足環の観察を回収記録として扱っていなかったが、このたび、ガイドナンバー(足環番号の前半で、足環のサイズを示す)が足環の形状から推察できることと、後半の番号がすべてわかる写真の記録があることを条件に回収記録として扱うこととした。(山階鳥研ニュース2006年5月号より)


東日本地区賛助会員の集いを開催

歓談に先だってアホウドリのデコイ作戦成功について報告する尾崎清明標識研究室長


 2006年2月22日、霞会館(東京都千代田区)で、「東日本地区賛助会員の集い」を開催した。当日は、約200名の賛助会員の皆様にお集まりいただき、総裁の秋篠宮殿下のご臨席のもと、和やかな懇親の時を過ごした。
 冒頭、島津久永理事長が、山階鳥研の活動についてご報告し、続いて秋篠宮殿下が挨拶され、山階鳥研の持っている標本等の重要な研究資料を活かしてゆくことを重視したいと述べられた。また、尾崎清明標識研究室長が、伊豆鳥島のデコイ作戦の成功について講演し、引き続いての懇親会では、渡邊武・我孫子市助役から、秋篠宮妃殿下ご懐妊に対するお祝いの言葉が述べられ、和やかな雰囲気で全員が乾杯した。
 歓談の後には、景品の当たるラッキードローが行われ、最後に山岸哲所長が閉会の挨拶をし、皆様にお礼を申し上げて終了した。島津理事長は、「前回に比べて倍近い賛助会員の皆さんにお集まりいただき大変嬉しい。今後とも引き続き応援をお願いしたい」と述べた。(山階鳥研ニュース2006年5月号より)


アホウドリ順調に巣立ち 〜鳥島初寝崎新繁殖地〜

巣立ち間近なアホウドリ幼鳥(2006年5月22日 伊豆諸島・鳥島初寝崎 撮影・佐藤文男)

 山階鳥研の現地調査チームは、5月下旬に伊豆鳥島に上陸し、初寝崎のアホウドリ新繁殖地で、順調に巣立ち時期を迎えた雛を確認した。初寝崎では、山階鳥研が環境省の委託で絶滅危惧種アホウドリの保護増殖事業(通称「デコイ」作戦)を行っている。
 初寝崎の新繁殖地では、昨年末に16卵の産卵があり、今年初めに13卵の孵化が確認され、その後、東邦大学の長谷川博教授によっても、5月はじめの時点で13羽の生育が確認されている。今回、上陸した時点で確認された雛の数は12羽だったが、5月はじめの状況や、今回の調査でも事故や捕食の痕跡は発見されなかったことから、観察されなかった1羽も無事巣立ったものと見られる。
 鳥島でのデコイ作戦は、この繁殖期に2桁の雛が巣立ち、初寝崎におけるデコイ作戦が成功したため、来シーズン以降はデコイを設置せず、継続観察のみを行う予定である。そのため今回、デコイのほか、音声装置などの撤収も行い、一部のデコイを持ち帰った。
 今後、アホウドリの保護増殖は、明治時代以前の繁殖地であった、小笠原諸島聟島列島への移住作戦へ重点が移行する。5月31日に開催された中央環境審議会で、アホウドリの保護増殖事業として「小笠原群島における繁殖地の形成」の項目を追加すること等が答申され、今後政府の事業としても小笠原移住計画が行われることになる。(山階鳥研ニュース2006年7月号より)


上海で、日中・日豪の渡り鳥等保護協定会議
 標識調査の成果を協定に反映

新たに日豪渡り鳥協定の対象種に加えられる方針が再確認されたベニアジサシ。
写真は、2002年7月に沖縄県屋我地島で発見されたオーストラリアで標識装着の個体。

 日中・日豪の渡り鳥等保護協定会議が、5月下旬に中国上海市で、中豪の会議とあわせて開催され、環境省の担当者ほかとともに、専門家の一人として尾崎清明標識研究室長が参加した。
 会議で取り上げられた、協定の対象種を定める付表の見直しについては標識調査の成果をもとに話し合いがもたれた。日中の会議では従来付表に含まれていなかったズグロカモメについて、標識調査を含む日中の共同調査の結果にもとづいて追加する方向で協議が行われ、また、日豪の会議では、標識調査で日本とオーストラリアの間を渡ることが明らかになったベニアジサシを新たに付表に加える方針が再確認された。(山階鳥研ニュース2006年7月号より)


(財)日本太鼓連盟主催 太鼓チャリティー・コンサート
 チャリティー募金が山階鳥研に寄付される

コンサートの終わりに挨拶する塩見和子・太鼓連盟理事長と島津久永・山階鳥類研究所理事長(壇上中央)

 2006年6月2日、(財)日本太鼓連盟主催、(財)山階鳥類研究所共催による太鼓チャリティー・コンサートが、草月ホール(東京都港区)で開催され、ご出席の皆様からのチャリティー募金総額130万円余全額が山階鳥研に寄付された。
 このコンサートは、(財)日本太鼓連盟が日本の伝統文化である日本太鼓の普及、発展を図る目的で、各国の駐日大使、政官財界のオピニオン・リーダーの方々を対象に毎年1回開催し、共催する非営利団体のためにチャリティー募金を行うものである。第10回の今回、山階鳥研が共催団体としての参画を打診され、参加することになった。
 当日、レセプション会場では、山階鳥研の活動を紹介するパネルが展示され、約300人の出席者の方々が和やかに歓談された。コンサートでは、全国から選抜された6チームが、圧倒的な迫力でそれぞれ特色のある演奏を披露し、聴衆から盛大な拍手を浴びた。(山階鳥研ニュース2006年7月号より)


サントリー世界愛鳥基金からヤンバルクイナの保護研究に助成

瀬田信哉運営委員長から贈呈書を受け取る島津久永・山階鳥類研究所理事長(写真左)

 2006年4月13日「公益信託サントリー世界愛鳥基金」の第17回活動助成金贈呈式が開催され、山階鳥研ほか6団体に助成金が贈られた。
 助成対象となった山階鳥研の活動は、「ヤンバルクイナの保護回復に関する研究」で、瀬田信哉運営委員長から山階鳥研の島津久永理事長に贈呈書が手渡された。贈呈書授与のあと、各団体の活動報告が行われ、尾崎清明標識研究室長が、沖縄島北部のヤンバル地方に生息するヤンバルクイナの分布域と生息数の減少に関するこれまでの調査結果を報告した。(山階鳥研ニュース2006年7月号より)



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