前述の健康への害と同様に鳥類一般に考えられるが、特にドバトは体が比較的大きく、定住性・集合性が強いために、次のような問題が害として表れている。
a.糞による害
塒やとまり場として利用される建造物及びその下にはドバトの糞が相当堆積し、衛生上・美観上から大きな問題となっている。また建造物の材質によっては、糞により腐食が促進される。とりわけドバトの多い神社仏閣では、貴重な文化財である多くの建造物が、ドバトの糞によって著しく汚損される。
さらに駅ビルや街・神社仏閣等では、これらの建造物だけでなく、そこに集まる通行人・参詣人の体や衣服にも、ドバトの糞が落下・付着することがある。またドバトの多い団地等では、ベランダの洗濯物が汚されたり、屋上の排水孔が糞でふさがれ、水があふれることもある。
b.鳴き声及びにおい
住宅・ホテル・病院等に密接してドバトが塒あるいは営巣した場合、朝早くから始まるドバトの成鳥及びヒナの鳴き声が、睡眠不足やノイローゼの原因になることがある。
また、ドバトの体臭や、糞・死体・卵の腐敗によって生じる悪臭や、そこから発生するハエの幼虫・成虫も、害として問題になり、さらにネズミ類を誘因する原因にもなる。
c.その他
ドバトの羽毛は特に抜けやすく、さらに羽毛の縁が少しずつ粉状にくずれて「フケ」のように出てくる。これらの羽毛や「フケ」はごみやほこりとしてだけではなく、前述のアレルギーの抗原としても問題になる。
また、公園や団地のベランダなどでは、花壇や鉢植の草木の花や芽をついばんで台無しにしてしまうこともあり、住宅の壁土や屋根瓦の下の土なども多少ついばむ。
なお、ドバト5羽50日間の飼育実験によれば、ドバトの体から抜けた羽毛などの量は合計29g(1羽1日当り約0.12g)、大体両手ですくえるくらいの量であった(糞の量については、表5.1、5.2参照)。
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