3.1.1 横浜市神奈川区周辺地域でのドバトの分布
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
全国的にみて、ドバト捕獲数の多い神奈川県 9) の中から、特に捕獲数の多い横浜市神奈川区及び隣接する横浜駅周辺(2.2.3参照)をえらび、ドバトの個体数調査を行った。同地域は、東部の臨海工業地帯、中央部の商業・住宅地域、西部の山地や農耕地が大半を占める新興住宅地、と大きく3つの地域に分けられる。 この地域で観察されたドバトの総個体数は5,448羽、密度は約192羽/km2であり、大半の個体は工場や倉庫の屋根の上などで休息や羽づくろいを行っていた(表3.1、表3.2)。そして、これらのドバトのほとんどは東部地域に集中して観察された(図3.2)。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
表3.2 休息場所別観察個体数(横浜市神奈川区周辺地域)
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
図3.2 横浜市神奈川区周辺地域のドバトの分布 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
a.植生図による環境要素とドバトの出現状況 調査地域を250m×250mの区画に分け、区画ごとのドバトの出現と環境との対応を検討した。環境は、神奈川県現存植生図をもとに、森林植生、草地、市街地、工場地の4つの要素に分けた。 1)森林植生 森林植生のない区画(面積占有率0%)では、約42%の区画でドバトが観察されたが、森林植生の占有面積の増加につれてドバトの出現率は低下し、森林植生の面積占有率41%以上の区画ではドバトがほとんど出現しなかった(図3.3)。 2)草地 森林植生の場合と同様に、草地の占有面積の増加に従いドバトの出現率は増加した。森林植生及び草地は、比較的植生が残っている地域といえるが、いずれもその占有面積が大きくなるとドバトの出現がみられなくなる。これは、ドバトがカワラバトと同様に非森林性であるためと考えられる。 3)市街地 市街地の占有面積が大きいと、ドバトの出現率も比較的高くなっているが、最も高い出現率を示したのは市街地のない区画であり、市街地の占有面積とドバトの出現との間には直線的な対応がみられない。これは、市街地の分布が調査地域の中央部に集中し、ドバトが多く観察された東部に市街地がまったくないためによる。 4)工場地 工場地はほとんどが東京湾沿岸に帯状に位置し、工場地のある区画は全体の2割以下である。ここでは、工場地の面積占有率が高いほどドバトの出現率は高く(図3.3)、しかもこの2割以下の区画で4,680羽(全体の86%)のドバトが観察された。このように本調査地域では、工場地の存在とドバトの出現との間に非常に密接な関係が認められる。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
図3.3 森林植生・工場地の占有面積別ドバト出現率(神奈川区周辺地域) |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
b.ドバトの出現と食物の関係 ドバトはカワラバト同様植物種子食中心の鳥類であるが、特に穀物・豆類などを好む。そこでこれらの食物を商業的に扱っている飼料工場・食品工場・穀物倉庫等及び給餌が行われている場所について調査を行い、前述の区画(250m×250m)を単位に、ドバトの食物を供給していると考えられるこれらの工場・倉庫等の存在する区画とドバトの出現状況との関係を検討した。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
表3.3 食物供給地のドバト出現状況(神奈川区周辺地域)
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
c.塒・営巣場所 調査は日中行われたので、塒及び営巣場所の観察は十分ではないが、観察できた営巣場所の約半数は高速道路高架部の下にあり、次いで陸橋・歩道橋・ビルディングなどが利用されていた。本地域では、これらの建造物は東部の工場地域に隣接した市街地の部分に特に多く存在した。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||