山階鳥類研究所




(2010年7月7日更新)

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出雲市で越冬するヒシクイを衛星追跡、日本海を渡るルート解明

 島根県出雲市で越冬するガンの仲間ヒシクイ(亜種不明)の繁殖地を解明するため、3月に衛星追跡用の発信器を装着した3個体が、日本海経由で中国東北地方からロシア極東地方に渡ったことがわかり、渡りルートに関する新知見が得られました。(プレスリリース参照)

ヒシクイ渡りのルート
出雲市で越冬したヒシクイの人工衛星追跡状況

 山陰地方で越冬するヒシクイは形態的にも遺伝的にも北日本で越冬するものとは異なる点があり、引き続きこれらの分析を実施する計画です。
 この研究は、山階鳥研が、日本雁を保護する会、日本野鳥の会島根県支部、(財)ホシザキグリーン財団、(財)しまね自然と環境財団、国土交通省中国地方整備局出雲河川事務所、リバーフロント整備センターなどの協力を得て行っているものです。
(山階鳥研NEWS 2010年7月号より)


衛星用発信器を装着されたヒシクイ(ホシザキグリーン財団提供)

小笠原聟島アホウドリ15羽すべてが巣立ち

 小笠原諸島聟島列島へのアホウドリ再導入のため、今年2月8日に伊豆諸島鳥島からヘリコプターで小笠原諸島聟島に移送して山階鳥研の研究員らが飼育していたヒナ15羽すべてが、5月29日までに巣立ちました。(プレスリリース参照)今回巣立ったヒナのうち、6羽に人工衛星で追跡できる発信器を装着しており、今後の行動についても明らかとなる予定です。
飼育を担当した出口智広研究員は、「今年も無事育て上げることができてほっとしている。3年前に育てたクロアシアホウドリの若鳥が今年3羽聟島に帰還したが、これと同じように、数年後に聟島で再び会えることを楽しみにしている」と話しています(クロアシアホウドリの帰還についてはこちらを参照)。
この事業は、山階鳥研が、環境省、米国魚類野生生物局、三井物産環境基金等の支援を得て実施しているものです。
(山階鳥研NEWS 2010年7月号より)



巣立ち後、付近の海に浮かぶアホウドリのヒナ (2010年5月28日 小笠原諸島聟島)

ウミツバメの保全活動に助成 サントリー世界愛鳥基金から

 山階鳥研では、公益信託「サントリー世界愛鳥基金」から、「クロコシジロウミツバメの巣箱を用いた営巣地の保全」のテーマで、2010(平成22)年度の助成をうけることになり、4月12日同基金の第21回活動助成金贈呈式で、瀬田信哉運営委員長から島津久永理事長に贈呈書が手渡されました。
 クロコシジロウミツバメは、孤島の地面に穴を掘って繁殖する全長約19センチの小さな海鳥で、岩手県宮古市沖の日出島が国内では最大の繁殖地です。ところが近年、同じく地中営巣性で体の大きいオオミズナギドリが急増したためウミツバメの個体数は30年前の10分の1以下に減少してしまいました。
(山階鳥研NEWS 2010年7月号より)



繁殖地のクロコシジロウミツバメ


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