アホウドリの小笠原諸島再導入計画で、聟島の飼育地に、2008年と2009年に鳥島より移送し人工飼育して巣立った個体のうち3羽が飛来したことが確認されました。また、今シーズンこれまでに、聟島で巣立った個体ではない亜成鳥3個体が観察されています。
このうち、聟島育ちの4歳の雄(色足環Y01)と、足環がなく聟島育ちでないと考えられる亜成鳥は、昨年12月から島内の同じ位置に定着しており、求愛ダンスをおこなっています。
報道発表資料はこちらです。
山階鳥研のウェブページ「アホウドリ 復活への展望」はこちらです。
月別アーカイブ: 2012年2月
エトピリカのくちばしの装飾は外れるのです
エトピリカは北太平洋で繁殖する海鳥で、その名前がアイヌ語「エト(嘴)ピリカ(美しい)」に由来していることからもわかるように、美しい嘴が特徴です。
この嘴の装飾が繁殖期だけにあることは知られていても、繁殖期の終わりに外れることはあまり知られていないでしょう。画像のエトピリカは、拾得死体を標本材料としてご寄贈いただいたものですが、たまたま繁殖期のおわりの個体で、嘴の装飾(象牙色の部分)が外れるタイミングだったようです。
多くの鳥では、上嘴、下嘴それぞれが1枚の角質の鞘に覆われていますが、エトピリカ、ツノメドリなどのウミスズメ科の鳥のいくつかや、ペリカン類、ペンギン類の一部などで、角質の鞘の一部が繁殖期の間だけ大きくなり、繁殖期が終わると落ちてしまうことが鳥類学の教科書に書かれています。これは求愛のための装飾と考えられています。
繁殖期の終わりに生息地の海に行くとこういう装飾が外れて浮かんでいるのでしょうか?興味深いです。
山階鳥類研究所の標本についてはこちらをご覧ください。
山階鳥研標本データベースはこちら。
ダチョウの仮剥製を作成しました
昨年のうちに材料を渡して発注してあった、ダチョウの仮剥製(研究用の標本として使う剥製)が、2月16日、その他の鳥類の仮剥製とともに剥製業者さんから納品されました。このダチョウは飼育業者さんから死亡した飼育個体を譲り受けたものです。ダチョウの大きさがわかるでしょうか。
山階鳥類研究所の標本についてはこちらをご覧ください。
放射性物質の生態系への影響を研究する海外研究者が来所しました
2月15日、福島第一原子力発電所から放出された放射性物質の、野鳥その他の野生生物への影響を研究するために来日している、生物学者のP. A. メラーさん(P. A. Moller、パリ南大学; 写真後方)とT. A. ムソーさん(T. A. Mousseau、サウスカロライナ大学)が山階鳥研を訪れました。
ふたりは、これまでチェルノブイリと福島で行ってきた研究について発表を行うとともに、山階鳥研の関係者と、研究上の協力が可能かについて協議しました。
地震・津波・原子力災害についての、山階鳥類研究所による、「東日本大震災に関する鳥類の保全に向けての提言」はこちらをご覧ください。
アホウドリのヒナを鳥島から聟島に移送しました
2月11日、絶滅危惧種アホウドリの小笠原再導入のため、ヒナの移送を実施しました。15羽のヒナを伊豆諸島鳥島の繁殖地から小笠原諸島聟島にヘリコプターで運びました。今年が5年計画の移送の最終年となります。これからヒナが巣立つ5月下旬まで、山階鳥研の研究員らが無人島の聟島にキャンプして人工飼育を行います(画像上は、鳥島での捕獲のようす。下は聟島の飼育地での放鳥のようすです)。
プレスリリースはこちらです。
山階鳥研のウェブページ「アホウドリ復活への展望」はこちらです。
2月のテーマトークは「メボソムシクイの謎を解く」(2月11日(土))です
山階鳥類研究所の所員が我孫子市鳥の博物館で出前トークをする、第2土曜日恒例の「テーマトーク」、2月は下記の要領で今週末です。ぜひ多数のご来場をお待ちしています。
第10回「メボソムシクイの謎を解く〜3種に分かれた同種の分類について〜」
【講師】齋藤武馬・山階鳥研自然誌研究室研究員
【日時】2月11日(土・祝)13時15分~ ※30分のテーマトーク終了後、質疑応答の時間あり
【場所】我孫子市鳥の博物館 2階多目的ホール
【参加費】無料(入館料が必要です)
【定員】先着50名 ※整理券は発行しません。
【主催・問い合わせ先】
山階鳥類研究所(TEL. 04-7182-1101)、我孫子市鳥の博物館(TEL. 04-7185-2212)
山階鳥類研究所のイベント情報はこちらをご覧ください。
アホウドリの小笠原再導入に携わる出口研究員が朝日新聞で紹介されました
朝日新聞2月3日付け朝刊<ひと>欄に、アホウドリの小笠原再導入で、聟島でのヒナの飼育に携わっている出口研究員が紹介されました(全文をネットで読むには朝日新聞デジタルへの登録が必要です)。
山階鳥研ウェブページ「アホウドリ 復活への展望」はこちらをご覧ください。