尾崎清明・保全研究室長と平岡(自然誌研究室専門員・広報主任)は、6月11日から20まで、中国遼寧省にズグロカモメの調査に行ってきました。山階鳥研からJICA(国際協力機構)のプロジェクトで中国西安に赴任している米田重玄・専門家も応援に合流しました。
ズグロカモメは、世界分布の極限された種で、中国の渤海と黄海沿岸部で繁殖し、冬は朝鮮半島、日本、中国南東部、ベトナムなどに渡ります。海岸の干潟上部の塩性植物群落で繁殖するため、埋め立てなどの影響を受けやすく、環境省のレッドデータブックでは絶滅危惧第2類に指定されています。
今回の調査は、環境省の日中韓ズグロカモメ共同調査業務として実施されたもので、中華人民共和国環志中心(バンディングセンター)、遼寧省双台河口国家級自然保護区のスタッフ等の協力を得て、同保護区にある繁殖地で、4羽のズグロカモメ成鳥に人工衛星発信器を装着したほか、200羽ちかい幼鳥に番号つきの赤いカラーフラッグ(脚に装着して野外観察で識別可能なプラスチック製の「旗」)と金属製足環を装着しました。
発信器装着個体を含め、今回標識を装着した個体が、いくつかある越冬地のどこに渡るかが注目されます。発信器装着個体については衛星からのデータを順次取得してゆきます。カラーフラッグ装着個体を観察された方は山階鳥類研究所にぜひご一報お願いいたします。
※画像は人工衛星発信器を装着したズグロカモメの成鳥です。
「渡り鳥と足環」(山階鳥類研究所)はこちら。