スズメ目の鳥の種の識別と年齢・性別の査定をする際のマニュアル「ヨーロッパ産スズメ目の識別ガイド」の著者である、スウェーデンのラーシュ・スベンソンさんが11月17日、山階鳥研を訪れました。
「スズメ目」はウグイス科、ホオジロ科など、小鳥類のグループです。「ヨーロッパ産スズメ目の識別ガイド」には日本との共通種も多数掲載されており、英文の原書のうちから、鳥を手にとって仕事をするバンダー(鳥類標識調査の従事者)や博物館学芸員の必須文献でしたが、2011年に山階鳥研の尾崎清明副所長、茂田良光研究員の監訳、協力調査員の村田健さんの翻訳で、邦訳書が出版されました。
今回の訪日は、11月15・16日に新潟市で開催された日本鳥類標識協会のシンポジウムでの講演のために実現したもので、スベンソンさんは、山階鳥研でも、研究用の仮剥製標本を用いた年齢と性別の査定の研究についてセミナーを行ったほか、短い滞在時間を惜しむように、山階鳥研の所蔵標本の計測などを行いました。
鳥類標識調査は、番号付きの足環を捕獲した鳥の足に装着して放すなどの方法で、鳥類の移動や寿命を知ることをはじめいくつかの目的のために行われています。寿命を知るためには最初に捕獲したときの年齢が正確に記録できるのが大切なのはもちろんのこと、移動についても、年齢や性別によって時期や距離が異なる例があることが知られており、捕獲時に正確な年齢と性別を判定できることが、調査結果の精度向上のためにきわめて大切です。
※ 「ヨーロッパ産スズメ目の識別ガイド」についてはこちらをご覧ください。
※ 鳥類標識調査については「渡り鳥と足環」をご覧ください。
※ 写真は講演するスベンソンさん。