山階鳥研ではこのたび、それぞれ、地域の鳥類の保護や調査研究に長年携わられてきたお二人の方から鳥類標本の寄贈を受けました。いずれの収集品も、それぞれの地域の鳥類相の特色や変遷などを知るうえで重要な証拠資料です。貴重な資料のご寄贈大変ありがとうございました。(山階鳥研NEWS 2018年1月号より)
立花繁信氏から南三陸産の標本
宮城県在住の立花繁信(たちばなしげのぶ)氏からは、同県の南三陸地域で収集された仮剥製255点、液浸(えきしん)2点、羽毛3点、卵16点、合計276点の鳥類標本をご寄贈いただきました。立花氏は宮城県内の小学校教諭の傍ら、長年地域の野鳥の研究に携わってこられた方で、三陸地方に生息するイヌワシの繁殖生態研究や保全活動の第一人者です。寄贈された標本は、1949年から2008年までの半世紀にわたり、地域から届けられた鳥類の斃死体(へいしたい)を立花氏自身が剥製などの標本にしていたもので、この地域の鳥類相を知るうえで重要な証拠資料です。三陸地域の多くの自然史標本が東日本大震災で失われたなかで、半世紀前の南三陸の鳥類標本が残された意義は大きいものがあります。
風間辰夫氏から新潟県産などの標本
風間辰夫(かざまたつお)氏は、新潟県の警察官を経て、新潟県庁に勤め、長年同県の鳥獣行政に携わってこられました。また山階鳥類研究所で行っている鳥類標識調査に当初から協力いただいているほか、新潟県内の鳥類保護にかかわるさまざまな活動に従事してこられました。風間氏からは、新潟県内で収集されたものを中心として、2004年3月から2017年5月にかけて本剥製667点、仮剥製184点、合計851点の鳥類標本のご寄贈をいただきました。これらは、新潟県内の救護施設に届けられた斃死体や救護の後死亡した傷病鳥などが中心で、一部飼育された外国産鳥類なども含まれています。
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