投稿者「山階鳥研広報」のアーカイブ

「山階鳥類学雑誌」(第45巻2号)のご案内

jyio_452s山階鳥類研究所の学術雑誌「山階鳥類学雑誌」は年に2冊の発行です。2013年3月20日付けで発行された、2013(平成25)年度の第2号についてご紹介します。
(編集長の中村浩志信州大学名誉教授の編集後記から)
「マムシグサなどのテンナンショウ属の植物は、秋に真っ赤な実をつけます。私には、この実を誰が食べるのか長年の関心事でした。今号にはこれを解明した論文を掲載することができました。鈴木さんと前田さんによる『南関東地方における有毒草本植物テンナンショウ属の果実食者(英文)』の論文です。赤い実をつけた植物の前に設置した多数のセンサーカメラから、予想通り種子散布者は鳥であることを証明した貴重な研究です。このような未解明の地道な研究テーマはまだ多くありますので、多くの方からの研究論文や報告の投稿を期待したいと思います。」
山階鳥類学雑誌 第45巻2号(No. 130)
● 原著論文
鈴木惟司,前田尚子: 南関東地方における有毒草本植物テンナンショウ属の果実食者(英文) pp.77-92
● 短報
新妻靖章,土屋健児,粂 ひとみ,別所 透,風間健太郎: カワウの餌の栄養素とエネルギー価(英文) pp.93-97
● 報告
才木道雄,原口竜成,木村恒太,守口 海,高野充広: ヨタカにおける抱雛行動と孵化後のヒナの移動 pp.98-101
浅井芝樹,齋藤武馬,岩見恭子,山崎剛史: 山階鳥類研究所の寄贈標本 —薄田豊太・豊春氏所蔵標本および佐藤保洋氏所蔵標本 pp.102-119
岩見恭子,鶴見みや古,浅井芝樹,齋藤武馬,山崎剛史: 山階鳥類研究所の寄贈標本 —福士成豊所蔵鳥類標本 pp.120-135
鶴見みや古,園部浩一郎,山道弘美,塚本洋三: 山階芳麿著「日本の鳥類と其の生態」に関する原稿,版画等関連資料群の整理保存 pp.136-184
● 書 評 p.183
● 投稿論文査読者一覧 p.184
● 正誤表 p.185
● 投稿される方へ p.186
● 投稿される方へ(英文)p.187
「山階鳥類学雑誌」は、鳥類の研究論文を掲載する学術雑誌です。1952年に「山階鳥類研究所研究報告」のタイトルで創刊され、2003年に現在の誌名に改めました。山階鳥研の研究論文を掲載するとともに、所外の研究者の研究発表の場としても貢献しています。
賛助会員に入会され、「山階鳥類学雑誌」を購読するコースを希望された方にお送りしています(そのほかに広報紙「山階鳥研NEWS」を購読するコースもあります)。
※ 山階鳥類学雑誌の解説はこちらです。
※ 山階鳥類学雑誌の目次(1992年以降)はこちらです。
※ 山階鳥類学雑誌掲載論文(刊行後2年を経過したもの)のPDFはこちらです。
※ 賛助会員のご案内はこちらです。

オオジュリンの尾羽の異常/チャタムアホウドリの育雛作業/平成26年度事業計画と収支予算〜「山階鳥研NEWS」5月号

news_1405s_2山階鳥類研究所の広報紙「山階鳥研NEWS」5月号のご案内です。
冒頭の「日本全国で観察されたオオジュリンの尾羽の異常」では、2011〜12年の秋冬に観察され始めた、オオジュリンの尾羽の異常について富田研究員に報告してもらいました。これは野鳥を捕獲して足環を装着して放し、渡りや寿命などの生態を研究する、鳥類標識調査の過程で気づいたものです。原因は不明ですが、ともかく起こっている現象を記録しておくことが重要です。
鳥にまつわる言葉を紹介する小コラム「とりのことば」、今号は「はぐぐむ」です。

「山階鳥研NEWS」2014年5月号 目次
1面   表紙写真(タマシギ) 賛助会員 田中 功
2-3面  オオジュリンの尾羽の異常 富田直樹
4面   チャタムアホウドリの育雛作業に参加/科研費研究成果発表会報告
5面   手賀沼探鳥会ご案内/「能登のトキ物語」販売/鳥学雑誌目次/
東日本賛助会員の集いご案内
6面   平成26年度事業計画と収支予算
7面   九州地区賛助会員の集い報告/テーマトークご案内/
事務局から(賛助会員/ご寄付)/
8面   山階武彦助成事業対象者/表紙写真応募御礼/とりのことば/編集後記
鳥類標識調査についてはこちらをご覧ください。

「山階鳥研NEWS」は、山階鳥研の活動や、鳥学研究や鳥の話題をやさしく紹介するニュースレターです。賛助会員に入会いただきますと、隔月でお送りいたします。

※賛助会員のご入会は「ご支援のお願い」をご覧ください。
山階鳥研NEWSのこれまでの号の目次はこちらです。

中学生の訪問学習を受け入れました

chugakusei015月22日午前に、愛知県内の中学校から、修学旅行で関東に来ている中学3年生4名の訪問学習を受け入れました。
この学校では、生徒がそれぞれ、個別に課題を見つけて、3年間で解決をはかったり追究を深めたりする学習に取り組んでおり、今回来訪したのは、生物関係をテーマとした班の4名です。3ヶ月前には訪問の打診があり、訪問をお受けしました。
4名は午前中の2時間をかけて、班のメンバーが取り組んでいる鳥類の生態研究について研究員からアドバイスを受けたほか、所内で行われている仕事を見学しました。
※ 画像は書庫での見学のようすです。

今年もアオバズクに会うことができました

aoba_zuku012年前の2012年5月25日に、我孫子市内で、青葉の頃に渡ってくるフクロウの仲間、アオバズクの声を聞いたことをブログ記事にしましたが、今年もまた、アオバズクに会うことができました。
5月14日、残業帰りに我孫子駅への道を急いでいると、前と同じにかすかに、ホウ、ホウ、・・という声が聞こえてきます。場所も聞こえ方も前と同じ感じです。これは前のあの場所ではと思いながら声の聞こえるほうに急ぐと、案の定、2年前と同じ、住宅に囲まれた小さな緑地でアオバズクが鳴いていました。
【音声】アオバズクの声(2014年5月14日 我孫子市内、1分49秒)

前もそうでしたが、繁殖にこれから入ろうというタイミングのせいか、本当に力いっぱい鳴いています。前回どうよう、おそらくこのまま通過して行ってしまうのでしょうが、この力の入れ方は、ここで相手が出てくればここに居着いて繁殖しようということなのかもしれません。
今回はよく見ると、茂った大木の途中に葉がない場所があって、窓状に向こうの空が見えるところに枝にとまったアオバズクがシルエットで見えます。上の画像の画面中央、枝が縦になって少し不自然に太くなったような箇所が見えるでしょうか。
この晩は相当長時間、鳴きつづけに鳴いていましたが、ためしに翌日の晩も行ってみたところ、案の定、鳴き声はいっさいしませんでした。東南アジアの越冬地からたどり着いて、これからもっと北上して繁殖するということなのかも知れません。

2年前の5月の記事(「目には青葉、アオバズク渡る我孫子」)はこちらです。
我孫子でもう1種鳴き声が聞かれるフクロウ科の鳥、フクロウの鳴き声(「桜咲きフクロウ鳴く春の我孫子」)はこちらです。

5月のテーマトークは「鳥の色素異常について」(5月10日(土))です

theme_talk皆さんゴールデンウィークはどのようにお過ごしだったでしょうか。さわやかな気候のもと自然にふれてリフレッシュされた方も多いかもしれません。
さて、山階鳥類研究所の所員が我孫子市鳥の博物館で出前トークをする、第2土曜日恒例の「テーマトーク」、5月は明日、5月10日の開催です。保全研究室の仲村昇研究員に、鳥の色素異常について話してもらいます。
鳥類の羽色は、主に色素と構造色で決まります。メラニン、カロチノイド等の色素が少ない個体や過剰な個体は通常とは異なる羽色となります。様々な羽色異常個体の画像を紹介し、原因について検討します。
第37回 鳥の色素異常について
【講師】仲村昇 山階鳥研保全研究室研究員
【日付】5月10日(土)
【時間】13時30分~ ※30分のテーマトーク終了後、質疑応答の時間あり
【場所】我孫子市鳥の博物館 2階多目的ホール
交通案内はこちら
【参加費】無料(入館料が必要です)
【定員】先着50名
【主催・問い合わせ先】
山階鳥類研究所(TEL. 04-7182-1101)、我孫子市鳥の博物館(TEL. 04-7185-2212)
山階鳥類研究所のイベント情報はこちらです。

5月の里山、生命が息づいています

ついこの間まで寒いの大雪だのと言っていた気がしますが、冬越しをしていた鳥たちは徐々に旅立ち、里山の木々は芽吹き、林の地上では春の花たちがそっと咲いています。
こちらは我孫子の雑木林に咲いたギンラン。gin_ran

そしてキンランです。kin_ran

こういった花たちを見下ろすように、雑木林にはフクロウの巣箱がかけられています。山階鳥研と我孫子市鳥の博物館の協力で架設されているものです。

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下から見てもその中で小さな生命がはぐくまれているとはまったく気づきませんが、中では3羽の雛が親鳥の世話を受けて成長しているようすが、我孫子市鳥の博物館のウェブサイト(下記のリンク)からご覧になれます。
ふくろう巣箱カメラ(我孫子市鳥の博物館)<5月2日のアニメーション(時間を短縮しています)>
フクロウ巣箱カメラ トップ(我孫子市鳥の博物館)(カメラ設置の意義と注意点について説明しています)
木々の芽吹きとともに、南の国で冬越ししていた鳥たちが続々到着し、これから相手を見つけて繁殖しようとしているわけですが、フクロウのように、一年中この場所に住んでいる鳥たちはもう子育てに入っているのですね。季節がどんどん進んでいることを感じます。

フクロウ成鳥の鳴き声(「桜咲きフクロウ鳴く我孫子」)はこちらです。
昨年のフクロウのヒナのようす(「おんもへ出たいと待っている〜♪ 巣立ち間近のフクロウのヒナ」)はこちらです。

NHK BSプレミアムで「アホウドリ小笠原へ 移住大作戦を追う」が放送されます(4/21、再放送4/28)

s絶滅危惧種アホウドリのいっそう確実な復活のために、山階鳥研が進めてきた、本種の小笠原再導入計画がNHK BSプレミアムで紹介されます。

ワイルドライフ
「よみがえれ!アジアの野生動物 アホウドリ小笠原へ 移住大作戦を追う」
2014年4月21日(月)20:00〜20:59 (BSプレミアム)
2014年4月28日(月)8:00〜8:59(BSプレミアム <再放送>)
予告動画(NHKの自然ポータル)はこちらです。
再導入計画は、歴史上、繁殖していたことがわかっている小笠原群島に、繁殖地を復活させようとするものです。このために2008年から2012年までの5年間に、伊豆諸島鳥島から合計70羽のヒナを小笠原の聟島に移送し、人工飼育によって69羽を巣立たせることに成功しました。巣立ったアホウドリは繁殖年齢が近づいて徐々に聟島に帰還を始めており、2012年11月と2013年11月には1つがいの産卵が確認されています。
NHK BSで今回放送される番組は「アホウドリ移住プロジェクトを中心とする人とアホウドリの関わりをまとめたネイチャードキュメンタリー」「2008年から復活作戦に密着取材してきた成果を集大成し、アホウドリの今がわかる“決定版”」になっているとのことです。ぜひご覧ください。
アホウドリの小笠原再導入は、山階鳥研が、環境省、東京都、米国魚類野生生物局、三井物産環境基金、公益信託サントリー世界愛鳥基金、朝日新聞社、キヤノン株式会社ほかの支援を得ておこなっています。
NHK BSプレミアム ワイルドライフ ページ(次回放送の案内)はこちらです。
山階鳥研のウェブページ「アホウドリ 復活への展望」はこちらです。
山階鳥研のイベント情報はこちらです。

4月のテーマトークは「日本の海鳥の今を知る~環境省モニタリングサイト1000とは~」(4月12日(土))です

theme_talk02山階鳥類研究所の所員が我孫子市鳥の博物館で出前トークをする、第2土曜日恒例の「テーマトーク」、4月は明日、4月12日の開催です。保全研究室の富田直樹研究員に、環境省モニタリングサイト1000による海鳥調査について話してもらいます。
山階鳥研にも、最近鳥が減ったのじゃないかというお問い合わせの電話がよくかかってきますが、鳥が増えた、減ったという感触は、平素から調査を行って長期のデータを蓄積してなければ本当かどうかを確かめることはできません。環境省のモニタリングサイト1000は、こういった理由から、全国のさまざまな環境で長期の生物多様性データ収集を継続的に行っておこうと始まりました。今回のトークではこのうち山階鳥研が担当している海鳥の調査について紹介します。
第36回 日本の海鳥の今を知る~環境省モニタリングサイト1000とは~
【講師】富田直樹 山階鳥研保全研究室研究員
【日付】4月12日(土)
【時間】13時30分~ ※30分のテーマトーク終了後、質疑応答の時間あり
※4月から開始時間が15分繰り下げになりますのでご注意ください。
【場所】我孫子市鳥の博物館 2階多目的ホール
交通案内はこちら
【参加費】無料(入館料が必要です)
【定員】先着50名
【主催・問い合わせ先】
山階鳥類研究所(TEL. 04-7182-1101)、我孫子市鳥の博物館(TEL. 04-7185-2212)
山階鳥類研究所のイベント情報はこちらです。

F・B・ギル著「鳥類学」日本語版の正誤表を掲載しました

山階鳥類研究所が翻訳した「鳥類学」(フランク・B・ギル著. 2009 年.新樹社)に誤りがありました。読者の皆様にお詫びいたします。正誤表を掲載しましたので訂正お願いいたします。
「鳥類学」正誤表
所員の著書はこちらをご覧ください。

キジの来訪

kiji山階鳥研の広報の部屋は裏が林になっていて、ときどき窓から鳥が見えることがあります。
今日はキジの雄が窓の外に現れました。山階鳥研のある我孫子の農耕地ではキジは珍しくなく、とくに今頃から6月頃までの繁殖期には、恋の季節のせいなのでしょうが、普段より警戒心が弱くなって、農道を歩いていると突然目の前に現れたりします。とはいえ、研究所の建物の中から見られるのはちょっと珍しいです。ガラス窓越しに写真を撮ってみました。