今週火曜日、アホウドリの小笠原再導入を担当している出口智広研究員が、中庭で、アホウドリのデコイ(プラスチック製の実物大模型)を抱えてインタビューを受けていました。
アホウドリの小笠原再導入はお陰様で多くの皆様から関心を寄せていただいており、メディアの方達からもしばしば取材の申込があります。今回は読売新聞の取材でちかぢか掲載されるとのことです。
小笠原群島聟島では2008年から5年間、ヒナを移送して人工飼育して巣立たせた結果、人工飼育で育った個体が徐々に島に帰りつつあります。昨年11月に帰還個体と野生個体のつがいから1卵が生まれましたが、孵化しませんでした。来シーズン以降の繁殖に期待が持たれています。引き続き皆様のご支援をお願い致します。
「産卵確認!〜アホウドリ再導入を進めている小笠原群島の聟島で」(昨年12月5日)はこちら
「聟島で抱卵中だったアホウドリの卵は発生していませんでした」(本年1月17日)はこちら
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聟島で抱卵中だったアホウドリの卵は発生していませんでした
小笠原群島聟島列島にアホウドリを再導入するプロジェクトで、昨年11月に初めて産卵が確認されたことをこのブログでもご報告していましたが、メスが巣を飛び立って以来、抱卵の交代に戻らず、年が変わってもオス一羽で抱卵している状態が続いていました。
これまでは親鳥の抱卵を妨害しないことを優先して距離をおいての観察を続けていましたが、本日(1月17日)が孵化予定日であることから、小笠原で観察中の出口研究員が卵の状態を確認しました。その結果、発生が見られず、未受精卵と考えられましたので、本日報道発表しました。この卵は回収し、もちかえって成分分析等を行う予定です。
報道発表資料(1月17日)はこちらです。
昨年末の産卵については多くの皆さんに喜んでいただき、お祝いの言葉をいただきましたが、アホウドリに限らず、野生鳥類では産卵すれば繁殖が必ずうまくゆくというわけではありません。さまざまな事故もありえますし、特に繁殖に不慣れな若い個体では、受精していない、受精はしても抱卵が不慣れで発生が進まないなどいろいろな障害がおこります。
「這えば立て、立てば歩めの親心」と言いますが、性急に結果を求めたり、そのときそのときで起こることに一喜一憂したりせずに、人が手伝わなくてもアホウドリが繁殖を続ける場所を聟島に作るという最終目標の達成に向けて、長い目で経過を観察し、必要に応じて対策を立ててゆくことが大切です。
聟島からは2008年から2012年に人工飼育したアホウドリが69羽巣立っていますので、今年、来年とこれからまだ繁殖予備軍の個体が次々と帰還することが期待されています。いろいろなできごとが起こりながらも、聟島にアホウドリの繁殖個体群が根づく日が必ず来ると思います。引き続きご注目いただき、応援いただけますようお願いいたします。
山階鳥類研究所のアホウドリのウェブページ「アホウドリ 復活への展望」はこちらをご覧ください。
1月のテーマトークは「デコイに恋したアホウドリ 鳥島のデコちゃんのルーツ解明される」(1月12日(土))です
山階鳥類研究所の所員が我孫子市鳥の博物館で出前トークをする、第2土曜日恒例の「テーマトーク」、1月は下記の要領で今週末です。
山階鳥研では、アホウドリの保護のために、伊豆諸島鳥島でデコイ(実物大のアホウドリの模型)を設置して、安全な場所におびきよせる事業を行い、2006年に成功裏に終了しました。その後は小笠原諸島聟島を舞台とした再導入のプロジェクトを開始し、鳥島では繁殖状況の観察を継続しています。
鳥島でこのデコイに恋したことで有名なアホウドリのデコちゃんは2009年以来、本物のアホウドリと順調に繁殖を続けてきましたが、DNA分析からデコちゃんのルーツに意外な事実が判明しました。長年アホウドリの生態研究をおこなってきた佐藤文男研究員が、最近提唱されたアホウドリ類の分類再検討の話題も含めてお話しします。
「デコイに恋したアホウドリ 鳥島のデコちゃんのルーツ解明される」
【講師】佐藤文男 山階鳥研保全研究室研究員
【日付】1月12日(土)
【時間】13時15分~ ※30分のテーマトーク終了後、質疑応答の時間あり
【場所】我孫子市鳥の博物館 2階多目的ホール
【参加費】無料(入館料が必要です)
【定員】先着50名
【主催・問い合わせ先】
山階鳥類研究所(TEL. 04-7182-1101)、我孫子市鳥の博物館(TEL. 04-7185-2212)
※写真は左側のデコイに寄りそうデコちゃんのようすです。
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山階鳥類研究所のイベント情報はこちらです。
アホウドリのお饅頭〜我孫子市国際交流協会から寄附をいただきました
1月9日、我孫子市国際交流協会の、早坂満会長、北嶋扶美子副会長、菅野哲哉副会長ほかが山階鳥類研究所を訪れ、早坂会長から島津理事長に寄附金が手渡されました。
同協会では、昨年11月25日に我孫子市内で開催した、第21回あびこ国際交流まつりで、山階鳥類研究所のアホウドリの保護活動を応援するため、アホウドリのお饅頭を販売しました。今回の寄附はその収益から行われたものです。
お饅頭を購入された皆様と我孫子市国際交流協会の皆様に感謝申し上げます。
※写真上は、島津理事長(右)に寄附金を手渡す早坂会長。
第21回あびこ国際交流まつりの報告はこちらをご覧ください。
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産卵確認!〜アホウドリ再導入を進めている小笠原群島の聟島で
絶滅危惧種アホウドリの小笠原再導入のため、2008年から2012年まで5年間、伊豆諸島鳥島から小笠原諸島聟島(むこじま)に合計70羽のヒナを移送し、人工飼育によって69羽の巣立ちに成功していましたが、このたび、聟島で、2008年に人工飼育して巣立ったヒナが別の個体と番いになって、産卵があったことが確認されました。
これは山階鳥類研究所とNHKが共同で設置している監視カメラによって確認されたもので、上の画像は11月14日のものです。
報道発表資料はこちらです(2012年12月5日)。
アホウドリのヒナを移送して再導入する試みには前例がなく、移送先で繁殖する確証はありませんでしたが、この産卵で、聟島での繁殖地形成の成功に大きな光が見えてきました。
この事業は、聟島に、人間の手助けなしに存続する繁殖地ができることが目標です。多くの皆様のこれまでのご支援に感謝するとともに、引き続きご関心をお寄せいただき、ご支援いただけるようお願いいたします。
2012年5月の聟島での巣立ち終了の記事はこちらです。
2012年2月現在の聟島への人工飼育個体の帰還の記事はこちらです。
2012年2月の鳥島から聟島へのヒナ移送の記事はこちらです。
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アホウドリの再導入に関連して台湾からお客様が来所しました
本日来所したのは台湾中華鳥会の蕭定雄さんです。台湾の澎湖諸島はかつてアホウドリが繁殖していたため、同会ではアホウドリの再導入に大きな関心があるとのことで、山階鳥研でおこなっている、伊豆諸島鳥島、小笠原諸島鳥島での保護活動について広報主任の平岡と出口智広・研究員から説明を受けました。
蕭さんは台湾大学の大学院生として、野生生物と共存できる街作りを研究しています。約1ヶ月の日程で、コウノトリの野生復帰を進めている兵庫県豊岡市のNPOコウノトリ湿地ネットでインターンとして研修しており、その合間を縫って今回の訪問が実現しました。
写真上はアホウドリのデコイ(模型)と一緒に写る蕭さん。写真下は、蕭さんがおみやげに持ってきてくれた、台湾の固有鳥類ヤマムスメをシンボルにした、有機農法による「ヤマムスメ紅茶」です。
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写真展「OGASAWARA」(6/1〜6/18)で、アホウドリの保護活動が紹介されます
今週金曜日(6/1)から東京新宿のコニカミノルタプラザで開催される、小笠原諸島にかんする写真展で、山階鳥類研究所が行っている、アホウドリの小笠原再導入にかんする写真が紹介されます。会場には募金箱が設置され、募金はアホウドリの保護活動にあてられます。会場にはアホウドリを誘引するために用いられたデコイ(鳥の実物大の模型)も展示されます。
会期中6月9日(土)には、山階鳥研のアホウドリ小笠原導入のプロジェクトにも参加されている地元の写真家、南俊夫さんのトークイベントがあります。
コニカミノルタプラザ環境企画展『OGASAWARA』~小笠原、未来へつなぐ自然展~
【日時】2012年6月1日(金)~6月18日(月)(期間中無休)
10:30~19:00 ※ 最終日は15:00まで
【場所】コニカミノルタプラザ ギャラリーB&C
東京都新宿区新宿3-26-11 新宿高野ビル4F (Tel: 03-3225-5001)
【入場料】無料
【主催】コニカミノルタプラザ(コニカミノルタホールディングス株式会社)
南俊夫氏トークイベント「小笠原の自然」
【日時】2012年6月9日(土)14:00~15:00
【会場】コニカミノルタプラザ イベントスペース (参加料無料)
【定員】50名(先着順*開演2時間前より、会場にて整理券を配布。)
※画像は6/9(土)に撮影しました。
コニカミノルタプラザ環境企画展「OGASAWARA」のウェブページはこちらです。
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聟島のアホウドリ 巣立ちが終了しました
絶滅危惧種アホウドリの小笠原再導入のため、2月11日に伊豆諸島鳥島から小笠原諸島聟島(むこじま)に移送したヒナ15羽のうち、3月に死亡した1羽をのぞき、14羽すべてが今日までに巣立ちました。
移送・人工飼育は今年で5年めの最終年で、初年度から合計69羽のヒナが巣立ちました。これまでの皆さんの暖かいご支援にあつく御礼申し上げます。
また、今シーズンは、昨年までに巣立った個体のうち、3歳個体(2009年巣立ち)4羽と、4歳個体(2008年巣立ち)2羽の合計6羽が、聟島に帰還したことを確認しました。
帰還個体の中から聟島で繁殖するつがいが生まれ、最終的にはこの場所で彼らの子孫が多数繁殖するようになるのがこのプロジェクトの目標ですので、来シーズン以降も引き続き現地のモニタリングを続けてゆきます。引き続きご関心をお寄せいただきご支援いただけますようお願いします。
報道発表資料はこちらです。
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聟島で人工飼育中のアホウドリが1羽巣立ちました
絶滅危惧種アホウドリの小笠原再導入のため、2月11日に伊豆諸島鳥島から小笠原諸島聟島(むこじま)に移送したヒナ15羽は、1羽が3月8日に死亡しましたが、残った14羽は順調に発育しており、本日、1羽が巣立ちました。
今後、残りのヒナも順に巣立ち、過去の例から、北太平洋のアリューシャン列島やベーリング海域まで渡ってゆくものと予想されます。
移送・人工飼育は今年で5年めの最終年で、昨年までに移送した55羽はすべてが巣立っています。
画像は今月8日に撮影した、はばたきの練習をするヒナのようすです。
報道発表資料はこちらです。
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ニュージーランドからお客様が見えました
3月29日、ニュージーランド国立博物館テ・パパ・トンガレワの上席学芸員、スーザン・ウォー(Susan Waugh)さんが来所されました。
同博物館ではアホウドリ類の生物学と保護に関する巡回展示を企画しており、山階鳥類研究所が行っているアホウドリの保護活動を紹介したいと考えて、協力の打合せのために来訪されたものです。
尾崎清明副所長(写真右)からアホウドリの保護活動についての説明を受け、また関連の所蔵資料について視察してゆかれました。
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ニュージーランド国立博物館テ・パパ・トンガレワのウェブサイトはこちら