美しい新緑が目にまぶしい頃になりました。多くの野鳥にとっては、4月頃からちょうど今頃をまたいで7月頃までが、巣作りと子育てをする、いわゆる繁殖期です。
すでに多くの鳥が繁殖に入っていますが、日本でこれから繁殖するために南から渡って来る鳥も続々と到着しています。またもっと北で繁殖するために通過してゆく鳥もいます。
今日は、我孫子の山階鳥類研究所の裏山で、エゾムシクイが囀っていました。
【音声】エゾムシクイの囀り(途中自動車の音が入ります)(2013年5月10日 山階鳥研裏手、約1分)
エゾムシクイはスズメよりも小さくて外見はウグイスに似た、オリーブ色のとても地味な鳥ですが、「ヒーツーキー、ヒーツーキー」とやや金属的な響きのする美しい声で囀ります。この鳥は、サハリン、北海道の森林や、本州北部、四国などのやや標高の高い森林に渡来して繁殖するいわゆる夏鳥で、関東地方では、5〜7月ごろに、たとえば奥秩父や奥日光などでさえずりが聞けます。
今日、裏山で鳴いていたエゾムシクイもこれからもっと北であったり、もっと標高の高い場所にある森林の繁殖地を目指して移動の途中に立ち寄ったものでしょう。このエゾムシクイに限らず、ゴールデンウィーク前後の渡りの時期には、普段その地域では観察できない鳥の種が通過してゆき、また今回のように美しい囀りを聞かせてくれることもあるので、思いがけず得をした気持ちになるものです。
(注) 外国から渡り鳥が飛んでくると聞いて、鳥インフルエンザを運んでくるのではと心配される方もいらっしゃるかもしれませんが、特にエゾムシクイを含む陸棲の小鳥類については、鳥インフルエンザウィルスに対する感受性がきわめて低く、鳥インフルエンザとは基本的に無関係なものと考えられています。
「高病原性鳥インフルエンザ ツバメの営巣・えさ台の小鳥は心配いりません」もご覧ください。
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