鳥類標識調査」カテゴリーアーカイブ

発展途上国で生物多様性保全にかかわる行政担当者が研修しました

jica9月6日、国際協力機構(JICA)の「生物多様性情報システム」研修で8月上旬から約1ヶ月の日程で来日中の発展途上国の行政官が、山階鳥研を訪れ研修を行いました。
この研修は、重要で希少な種の主な生息地となっている発展途上国の、生物多様性保全に係る計画の企画・立案を担当する行政官に、生物多様性情報の収集・管理や、インターネット等を通じた普及について学んでもらい、この分野の人材育成に資する目的で実施されているものです。
研修したのは、アルゼンチン、コンゴ民主共和国、マレーシア、タイ、東ティモールから訪れた9名で、山階鳥研の概要と、標本や図書、DNA情報の収集管理、鳥類標識調査の概略とそれぞれから得られたデータのデータベースでの公開などにについてレクチャーを受け、標本と図書の管理状況を見学しました。

7月のテーマトークは「ズグロカモメはどんな鳥?」(7月13日(土))です

zugurokamome関東地方は例年よりずいぶん早い梅雨明けのあと、毎日猛暑が続いていますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
山階鳥類研究所の所員が我孫子市鳥の博物館で出前トークをする、第2土曜日恒例の「テーマトーク」、7月は下記の要領で今週末です。
今回のトークは、世界で東アジアだけでしか見られないズグロカモメのお話です。この、ユリカモメに姿は似ているものの、分布や生態はかなり異なっていて、環境省レッドデータブックの絶滅危惧II類に指定されているズグロカモメについて、その個体数増減の謎や、繁殖地の状況、渡りの実態の最新知見をご紹介します。講師は、中国各地や日本国内の生息地での本種の調査経験が豊富な尾崎清明 副所長・保全研究室長です。
第27回「ズグロカモメはどんな鳥?」
【講師】尾崎清明 山階鳥研副所長
【日付】7月13日(土)
【時間】13時15分~ ※30分のテーマトーク終了後、質疑応答の時間あり
【場所】我孫子市鳥の博物館 2階多目的ホール
【参加費】無料(入館料が必要です)
【定員】先着50名
【主催・問い合わせ先】
山階鳥類研究所(TEL. 04-7182-1101)、我孫子市鳥の博物館(TEL. 04-7185-2212)
中国の繁殖地でのズグロカモメの標識調査(遼寧省、2012年6月)のようすはこちらです。
山階鳥類研究所のイベント情報はこちらです。
我孫子市鳥の博物館では、7月13日から「鳥の骨展」(我孫子市鳥の博物館・山階鳥類研究所 共催)も始まります!

カラーフラッグつきのシギ・チドリ類の観察報告をお待ちしています〜 あなたの情報で鳥たちの渡り経路が解明されます 〜

dunlin_alaska_sゴールデンウィークも前半が終わり、今や、野鳥たちが繁殖地に向けて移動をする最盛期です。海辺の干潟では、シギやチドリの仲間たちが、南の越冬地から、極東ロシアやアラスカにむけての旅の途中、栄養補給のために羽を休めています。多くのバードウォッチャーの皆さんが観察のために干潟を訪れることと思います。
干潟を訪れるバードウォッチャーの皆さんにお願いですが、もし足に写真のようなカラーフラッグ等をつけたシギ・チドリ類をご覧になったら、ぜひ写真を撮影されるか、足のどの部位にどんな色彩と形状のフラッグ等をつけていたかを記録していただき、山階鳥類研究所までご報告をお願いいたします。
日本を含めた地域を通過するシギ・チドリ類の渡りルート、東アジア・オーストラリア・フライウェイは、アメリカ(アラスカ)、極東ロシア、中国、韓国、台湾、ニュージーランド等の国や地域が協力して、場所ごとにフラッグの色などの組み合わせを決めて調査されています。
山階鳥研には、この春の渡りのシーズンにもすでに日本各地から観察報告が寄せられており、海外でフラッグ等を装着された個体も見つかっています。
フラッグ等のついたシギ・チドリ類の報告の仕方についてはこちらをご覧ください。
皆様からお寄せいただいた、フラッグ等のシギ・チドリ類の観察データ(放鳥地別、2011年末まで。本年2月更新)はこちらをご覧ください。
「渡り鳥と足環」(足環によって移動や寿命等のデータを得る鳥類標識調査の紹介)ページトップはこちらです。
たくさんのご報告をお待ちしています。
※ 番号を刻んだ金属製の足環が、鳥をもう一度捕まえないと番号が読めないのに対して、こういったプラスチック製のカラーフラッグ(色つきの旗)やカラーリング(色足環)は、双眼鏡や望遠鏡の野外観察で、再度の捕獲なしに識別できます。このため、多くの個体が集まった場所で多くの方が観察する機会の多い水鳥などでは渡り経路の解明に適しており、鳥の体に負担にならない形状と重量に設計されたフラッグ等や足環を用いて調査が実施されています。
※ 画像は2013年4月19日に大阪府泉大津市で撮影されたハマシギです。アラスカのバロー付近でフラッグ等を装着された個体と考えられ、現在詳細を問い合わせ中です。この鳥は少なくとも一回は越冬地まで南下して、現在はふたたびアラスカに向けて北上中と考えられます(三谷一寿さん撮影)。

春恒例、標識調査講習会を行っています

koshukai_20134月17日から19日までの日程で、鳥類標識調査の従事者(バンダー)になるための講習会を実施しています。鳥類標識調査は、鳥類の移動や寿命などを番号つきの足環を使って調べる調査で、山階鳥研が環境省の委託を受けて実施しています。
今回参加したのは、北海道、関東、中部、近畿、中国、九州からの合計9名です。参加者は、資格のあるバンダーのもとで一定のトレーニングを積んだ上で、山階鳥研の職員の野外調査に同行して実技の講習を受けて今回の講習会に臨んだもので、標識調査の概要や鳥の分類、関連法規などの講義を受けています。
現在、全国で約450名が調査に従事しており、今回受講している9名も審査に合格すれば、8月からバンダーとして調査に参加する予定です。
標識調査のあらまし(「渡り鳥と足環」)はこちらをご覧ください。

中国遼寧省にズグロカモメの調査に行ってきました

img_6544_b尾崎清明・保全研究室長と平岡(自然誌研究室専門員・広報主任)は、6月11日から20まで、中国遼寧省にズグロカモメの調査に行ってきました。山階鳥研からJICA(国際協力機構)のプロジェクトで中国西安に赴任している米田重玄・専門家も応援に合流しました。
ズグロカモメは、世界分布の極限された種で、中国の渤海と黄海沿岸部で繁殖し、冬は朝鮮半島、日本、中国南東部、ベトナムなどに渡ります。海岸の干潟上部の塩性植物群落で繁殖するため、埋め立てなどの影響を受けやすく、環境省のレッドデータブックでは絶滅危惧第2類に指定されています。
今回の調査は、環境省の日中韓ズグロカモメ共同調査業務として実施されたもので、中華人民共和国環志中心(バンディングセンター)、遼寧省双台河口国家級自然保護区のスタッフ等の協力を得て、同保護区にある繁殖地で、4羽のズグロカモメ成鳥に人工衛星発信器を装着したほか、200羽ちかい幼鳥に番号つきの赤いカラーフラッグ(脚に装着して野外観察で識別可能なプラスチック製の「旗」)と金属製足環を装着しました。
発信器装着個体を含め、今回標識を装着した個体が、いくつかある越冬地のどこに渡るかが注目されます。発信器装着個体については衛星からのデータを順次取得してゆきます。カラーフラッグ装着個体を観察された方は山階鳥類研究所にぜひご一報お願いいたします。
※画像は人工衛星発信器を装着したズグロカモメの成鳥です。
「渡り鳥と足環」(山階鳥類研究所)はこちら。

鳥類標識調査の合計放鳥数が500万羽を越えました。生物多様性センターのウェブサイトで成果が見られます

2s鳥類標識調査は野鳥に番号付きの足環などをつけて放し、再捕獲や観察をすることで、渡りや寿命をはじめとする情報を収集するもので、データの解析によってさまざまな生態が明らかになり、その成果は鳥類の保護施策の立案のためにもたいへん有用です。
日本では1924年以来、途中戦争の影響による中断があったものの、約90年の歴史があります。現在は山階鳥類研究所が環境省の委託事業として実施しています。
この鳥類標識調査で、継続的にデータが蓄積された1961〜2011年の合計放鳥数が500万羽を突破しました。このことを機に、調査の成果がパソコンからグーグルアース上で閲覧できる、鳥類アトラスweb-GIS版が環境省生物多様性センターのウェブサイトとして公開になりました。
尾崎清明副所長・保全研究室長は、500万羽突破について「この数字は、多くの関係者の努力で、長期間にわたって継続してきたことの成果です。世界的には十数番目の達成になり、アジア諸国では例のない数字です。長期間にわたるデータの大半がデジタル化されているので、今後さまざまな分析に活用できます。さらに調査を継続発展させ、鳥類の保全に役立つ基礎データとしてゆきたいと考えています」と話しています。
※画像はさまざまな大きさの鳥類にあわせて作られた足環です。それぞれ鳥の体に負担にならない形状と重量に設計されています。
報道発表資料はこちらです。
環境省生物多様性センター 鳥類アトラスweb-GIS版はこちらです。
環境省生物多様性センター 鳥類標識調査ページのトップはこちらです。

鳥類標識調査の講習会を実施しました

koshukai_24月23日から25日の日程で、鳥類の移動や寿命などを番号付きの足環を使って調べる鳥類標識調査者(バンダー)になるための講習会を実施しました。
今回参加したのは、東北地方、関東地方、中国地方から各1名の計3名で、標識調査の概要や鳥の体の構造、関連法規などの講義を受けました。受講生は、ほかの標識調査者のもとで一定のトレーニングを積んだうえで、山階鳥研の職員の野外調査に同行して実技の講習を受けて、今回の講習会に臨んだものです。
現在、全国で約450名が調査に従事しており、この3名も審査に合格すれば8月からバンダーとして調査に参加する予定です。
鳥類標識調査のあらまし(「渡り鳥と足環」)はこちらをご覧ください。