7月のテーマトークは「ズグロカモメはどんな鳥?」(7月13日(土))です

zugurokamome関東地方は例年よりずいぶん早い梅雨明けのあと、毎日猛暑が続いていますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
山階鳥類研究所の所員が我孫子市鳥の博物館で出前トークをする、第2土曜日恒例の「テーマトーク」、7月は下記の要領で今週末です。
今回のトークは、世界で東アジアだけでしか見られないズグロカモメのお話です。この、ユリカモメに姿は似ているものの、分布や生態はかなり異なっていて、環境省レッドデータブックの絶滅危惧II類に指定されているズグロカモメについて、その個体数増減の謎や、繁殖地の状況、渡りの実態の最新知見をご紹介します。講師は、中国各地や日本国内の生息地での本種の調査経験が豊富な尾崎清明 副所長・保全研究室長です。
第27回「ズグロカモメはどんな鳥?」
【講師】尾崎清明 山階鳥研副所長
【日付】7月13日(土)
【時間】13時15分~ ※30分のテーマトーク終了後、質疑応答の時間あり
【場所】我孫子市鳥の博物館 2階多目的ホール
【参加費】無料(入館料が必要です)
【定員】先着50名
【主催・問い合わせ先】
山階鳥類研究所(TEL. 04-7182-1101)、我孫子市鳥の博物館(TEL. 04-7185-2212)
中国の繁殖地でのズグロカモメの標識調査(遼寧省、2012年6月)のようすはこちらです。
山階鳥類研究所のイベント情報はこちらです。
我孫子市鳥の博物館では、7月13日から「鳥の骨展」(我孫子市鳥の博物館・山階鳥類研究所 共催)も始まります!

手賀沼学会の第10回を記念する大会が開催されます

taganumagakkai山階鳥研の地元である手賀沼集水域の自然、社会を含めた文化の総体について、気楽に学ぶ目的で設立された手賀沼学会の第10回大会が開催されます。手賀沼学会の設立にあたっては、山階鳥研の山岸哲所長(当時、現在名誉所長)が発起人として参加しました。皆様、お気軽にご参加ください。

手賀沼学会第10回大会
【日時】2013年7月6日(土)13:00〜15:40(総会 12:30〜13:00)
【場所】中央学院大学30周年記念館611号室
JR我孫子駅からの無料スクールバス時刻表はこちら
【内容】次の記念講演と特別講演があります。
記念講演①:「水問題と私」大久保皓生氏(手賀沼学会顧問・前中央学院大学学長)
記念講演②:「手賀沼のこれから」福嶋浩彦氏(手賀沼学会顧問・中央学院大学教授・前消費者庁長官)
特別講演:「手賀沼と生物多様性ー東日本大震災から学ぶー」堂本暁子氏(前千葉県知事・元参議院議員)
【問い合わせ先】 手賀沼学会事務局(中央学院大学社会システム研究所)
電話:04-7183-6522
手賀沼学会のウェブサイトはこちらです。
山階鳥研のイベント情報はこちらです。

1960年代と2000年代のツバメの渡りと繁殖時期/アホウドリ この繁殖期の状況/来年夏に東京で国際鳥類学会議〜「山階鳥研NEWS」7月号

news_1307_03s山階鳥類研究所の広報紙「山階鳥研NEWS」7月号が発行になりました。
鳥類標識調査は番号付きの足環を野鳥に装着して放し、再捕獲などによって生態データを得ようとするもので、開始当初から渡り経路や寿命の解明を主な目的に行われてきました。この号では、ツバメの標識調査データを用いて、気候変動が鳥類の生態に及ぼす影響をあきらかにしようという、従来日本では行われてこなかった視点での研究について出口智広研究員が紹介しています。また、アホウドリの小笠原群島聟島、伊豆諸島鳥島での現状をご報告しているほか、来年夏に東京で開催の国際鳥類学会議についても紹介しています。
「山階鳥研NEWS」2013年7月号 目次
1面   表紙写真(レンカク) 賛助会員 佐野昌男
2〜3面 標識調査の活用例
1960年代と2000年代のツバメの渡りと繁殖時期の比較 出口智広
4面   アホウドリ〜聟島・鳥島〜この繁殖期の状況/
クロアシアホウドリ 八丈小島で生息確認
5面   来年夏に東京で国際鳥類学会議
6面   インターメディアテク好評です/標識調査の講習会開催しました
7面  平成24年度寄附金・賛助会費収入及び会員数のご報告/
平成24年度決算報告/手賀沼学会大会お知らせ/手賀沼探鳥会報告/テーマトークご案内
8面  事務局から/とりのことば
「山階鳥研NEWS」は、山階鳥研の活動や、鳥学研究や鳥の話題をやさしく紹介するニュースレターです。賛助会員に入会いただきますと、隔月でお送りいたします。
※賛助会員のご入会は「ご支援のお願い」をご覧ください。
山階鳥研NEWSのこれまでの号の目次はこちらです。

ドードー、出発!

packing_dodoインド洋に浮かぶマスカリン諸島に17世紀ごろまで生存していたとされるドードー、そのドードーのレプリカが6月21日、梱包されて山階鳥研から搬出されました。
ドードーは、ハトに近縁とされる飛べない鳥で、人間が乱獲したり、持ち込まれたサルやブタ、ネズミなどによって卵やヒナが食べられた結果絶滅してしまったとされ、ルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」にも登場するので、多くの方が名前をご存知と思いますが、じつは完全な剥製は世界のどこにも残されていません。
このレプリカは剥製師さんが、コンテスト出品のためにいろいろな鳥の羽毛を活用してつくられたレプリカで、コンテスト出品後、山階鳥研にご寄贈いただきました。今回は、萩博物館で開催される、「トレジャーアニマル探究記」の展示のために貸し出されたものです。
この夏休み、もし萩の近くに行かれる機会がありましたら、このドードーの顔も見にぜひお立ち寄りください。山階鳥研の鳥の資料のなかでも人気者のひとつです。
【名称】 萩博物館特別展「トレジャーアニマル探究記」
【会期】 平成25年7月6日~9月8日
【会場】 萩博物館
〒758-0057 山口県萩市堀内355
電話 0838-25-6447 (萩博物館)
※ 詳細は萩博物館公式ウェブサイト萩市観光ポータルサイトをご覧ください。

アオバト お江戸日本橋に飛来

green_pigeon_from_nihonbashi関東地方の平野部で普通見られるハトというと、しばしば「山鳩」と呼ばれるキジバトと、家禽由来のドバト(カワラバト)があげられます。アオバトは、東京周辺では、秩父、奥多摩、丹沢などの山に登ると、遠くで「オアオ〜」という声が聞こえるというような鳥です。また、アオバトは海岸の岩礁などに、山中から海水を飲みに飛来することが知られている興味深い鳥でもあります。
昨日、そのアオバトが1羽、東京日本橋のデパートの屋上のガラスに衝突して死んでしまいました。デパートの総務の方から電話をいただき、研究材料としてご寄贈いただけるということで、本日、山階鳥研に到着しました。ご寄贈ありがとうございました。
キジバトよりも大きく、ご覧のように頭から体の上面が抹茶のような濃い緑色をした美しいハトです。尾羽の下側を支える下尾筒(かびとう)の羽毛の中央が緑色で、ふちが幅広くクリーム白色をした美しいパターンをしています。
近くまで来て屋上緑化に引き寄せられたのはわかるとしても、今の時期は山地の森林で繁殖している時期のはずで、そもそもこの時期に東京の都心に飛来した理由が何なのか、興味をそそられます。
山階鳥研では研究用に拾得死体を収集しており、鳥体の状態や、山階鳥研の既存の標本等の所蔵状況をみながら、研究用剥製標本、骨格標本、DNAバーコーディングなどのためのDNA分析用の組織サンプル、CTスキャンによる骨格の3次元データの取得などを行って研究に役立てています。このアオバトもこれから状態を判断してしかるべき標本やサンプル、データ等を採取することになります。
この記事をお読みの皆さんも、野鳥の死体を見つけられましたら、山階鳥研までご一報いただければ幸いです。
山階鳥研の研究用鳥類標本についてはこちらをご覧ください。
山階鳥研でこれまでに収集した標本のデータベースはこちらをご覧ください。
DNA配列をもとにして生物の種を簡便に判別する取り組み「DNAバーコーディング」はこちらをご覧ください。
CTによる骨格の3次元データの取得についてはこちらご覧ください。

おんもへ出たいと待っている〜♪ 巣立ち間近のフクロウのヒナ 我孫子市内

ural_owl_chick山階鳥研の地元、我孫子市内に設置された巣箱で、今年もフクロウが子育てしました。先週末からいちばん大きなヒナが入り口から顔を出して、ときに愛らしい動作を見せています。
フクロウは、関東地方南部ですと、ゴールデンウィーク明け頃には巣立ちを迎える巣もあるようですが、よそでいろいろ聞く事例にくらべて、この巣箱の巣は例年かなり遅いようです。そのことに何かこの場所の環境などに関係した生態的な要因があるのか、ここの親鳥の個性なのかはわかりません。
フクロウの繁殖には餌が豊富な田園地帯や森林と、巣をつくるための樹洞のある大木が欠かせません。このうち、餌生物のいる環境はあるけれども繁殖できる大木がない場所では、巣箱をかけて巣の場所を提供してやることで、フクロウが増えることが可能になります。もちろんその大前提は巣箱で安心してフクロウが繁殖を成功させられることです。フクロウに限りませんが、みなさんも、営巣中の野鳥を見つけたら、鳥をびっくりさせて繁殖が途中でだめになってしまったりすることのないよう、そっとしておいてあげてください。
フクロウ成鳥の鳴き声(「桜咲きフクロウ鳴く我孫子」)はこちらです。
関東南部でもう一種類声が聞かれるフクロウの仲間、アオバズクの話題はこちらです。

4月下旬から5月下旬の調査で、国内の野鳥から鳥インフルエンザウィルスは検出されませんでした

この4月に中国で捕獲された野生のハトからH7N9の鳥インフルエンザウイルスが出たことを受け、環境省が4月下旬から5月下旬にかけ日本国内の7カ所で野鳥の調査を行い、計338検体を採取し、国立環境研究所において遺伝子検査を行いましたが、鳥インフルエンザウイルスは検出されませんでした。山階鳥研は、今回の調査に協力しました。結果の詳細は下記リンクの報道発表資料をご覧ください。
環境省の報道発表資料はこちらをご覧ください。

高病原性鳥インフルエンザに関する情報(「野鳥との接し方について」など;環境省)はこちらです。
「鳥インフルエンザ ツバメの巣・えさ台の小鳥は心配いりません」(山階鳥研)はこちらです。

6月のテーマトークは「鳥の行動から放射能被曝を予測する〜海鳥オオミズナギドリを例に考える〜」(6月8日(土))です

OLYMPUS DIGITAL CAMERA山階鳥類研究所の所員が我孫子市鳥の博物館で出前トークをする、第2土曜日恒例の「テーマトーク」、6月は下記の要領で今週末です。
今回のトークは、放射性物質と海鳥の関係のお話です。母なる海は放射性物質の終着地です。セシウムなどの放射性物質は海底土や粒子に付いて生物の体に入り、生物間を循環します。ミズナギドリ類の生態を長く研究している、岡奈理子・上席研究員が、東日本で繁殖するオオミズナギドリが福島原発の放射能汚染にどう直面したかを彼らの行動からお話します。
第26回「鳥の行動から放射能被爆を予測する 〜海鳥オオミズナギドリを例に考える〜」
【講師】岡奈理子 山階鳥研自然誌研究室上席研究員
【日付】6月8日(土)
【時間】13時15分~ ※30分のテーマトーク終了後、質疑応答の時間あり
【場所】我孫子市鳥の博物館 2階多目的ホール
【参加費】無料(入館料が必要です)
【定員】先着50名
【主催・問い合わせ先】
山階鳥類研究所(TEL. 04-7182-1101)、我孫子市鳥の博物館(TEL. 04-7185-2212)
山階鳥類研究所で行っている東日本大震災関連の活動などの紹介はこちらです。
山階鳥類研究所のイベント情報はこちらです。

NHK「ダーウィンが来た!」今度の日曜日は、「小笠原で初産卵!若きアホウドリ夫婦の挑戦」です

nhk_albatross02山階鳥類研究所では、絶滅危惧種アホウドリの小笠原再導入のため、2008年から2012年まで5年間、伊豆諸島鳥島から小笠原諸島聟島(むこじま)に合計70羽のヒナを移送し、人工飼育によって69羽の巣立ちに成功しており、昨年11月には、2008年に人工飼育して巣立ったヒナが別の個体と番いになって、産卵したことが確認されました。

産卵は山階鳥類研究所とNHKが共同で設置している監視カメラによって確認されたものですが、今週末、日曜夜の「ダーウィンが来た!」で、このアホウドリの産卵と、その後何が起こったかが紹介されます。予告動画によれば、「三ヶ月にわたる波瀾万丈のドキュメント」ですのでぜひご覧ください。
ダーウィンが来た!生きもの新伝説
「小笠原で初産卵!若きアホウドリ夫婦の挑戦」
(NHK総合テレビ)
【日時】2013年5月26日(日)19:30〜19:58
<再放送>    6月 1日 (土)17:30~17:58
NHK「ダーウィンが来た!」の番組ページ(予告動画あり)はこちらです。

山階鳥研ブログ「産卵確認!〜アホウドリ再導入を進めている小笠原群島の聟島で」(2012年12月5日)はこちらです。

山階鳥研のプレスリリース(今回の産卵関係は、2012年12月5日、2013年1月15日、1月17日)はこちらです。
山階鳥研のウェブページ「アホウドリ 復活への展望」はこちらです。

新緑の我孫子 エゾムシクイのさえずり

yio美しい新緑が目にまぶしい頃になりました。多くの野鳥にとっては、4月頃からちょうど今頃をまたいで7月頃までが、巣作りと子育てをする、いわゆる繁殖期です。
すでに多くの鳥が繁殖に入っていますが、日本でこれから繁殖するために南から渡って来る鳥も続々と到着しています。またもっと北で繁殖するために通過してゆく鳥もいます。
今日は、我孫子の山階鳥類研究所の裏山で、エゾムシクイが囀っていました。
【音声】エゾムシクイの囀り(途中自動車の音が入ります)(2013年5月10日 山階鳥研裏手、約1分)

エゾムシクイはスズメよりも小さくて外見はウグイスに似た、オリーブ色のとても地味な鳥ですが、「ヒーツーキー、ヒーツーキー」とやや金属的な響きのする美しい声で囀ります。この鳥は、サハリン、北海道の森林や、本州北部、四国などのやや標高の高い森林に渡来して繁殖するいわゆる夏鳥で、関東地方では、5〜7月ごろに、たとえば奥秩父や奥日光などでさえずりが聞けます。
今日、裏山で鳴いていたエゾムシクイもこれからもっと北であったり、もっと標高の高い場所にある森林の繁殖地を目指して移動の途中に立ち寄ったものでしょう。このエゾムシクイに限らず、ゴールデンウィーク前後の渡りの時期には、普段その地域では観察できない鳥の種が通過してゆき、また今回のように美しい囀りを聞かせてくれることもあるので、思いがけず得をした気持ちになるものです。

(注) 外国から渡り鳥が飛んでくると聞いて、鳥インフルエンザを運んでくるのではと心配される方もいらっしゃるかもしれませんが、特にエゾムシクイを含む陸棲の小鳥類については、鳥インフルエンザウィルスに対する感受性がきわめて低く、鳥インフルエンザとは基本的に無関係なものと考えられています。
「高病原性鳥インフルエンザ ツバメの営巣・えさ台の小鳥は心配いりません」もご覧ください。
山階鳥類研究所の「鳥インフルエンザ」トップページはこちらです。