月別アーカイブ: 2015年3月

鳥島から移送したアホウドリの小笠原での初繁殖が確認されました

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<写真>媒島で確認されたアホウドリのヒナ(2014年5月撮影、東京都提供)

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<写真>上の写真のヒナの親であることが示されたつがい。Y11と刻印のある赤い色脚環を装着した左の個体が、2009年に鳥島から運ばれて人工飼育によって聟島から巣立った個体(2015年2月媒島で撮影、東京都提供)

山階鳥類研究所で伊豆諸島鳥島から小笠原に移送して人工飼育し、巣立ったアホウドリが、繁殖年齢に達して小笠原に戻り、繁殖が成功していたことが確認されました。

小笠原諸島媒島(なこうどじま)は、山階鳥研がアホウドリの再導入のプロジェクトの飼育地としていた聟島(むこじま)からおおむね5kmほど離れた島ですが、昨年5月にアホウドリと思われる巣立ち前のヒナ1羽が観察されていました。今年になって、同じ場所でヒナの親鳥と思われるつがいが観察され、その片方は色足環から山階鳥類研究所で2009年に聟島(むこじま)に移送して人工飼育し、巣立った個体であることが確かめられました。このたびヒナならびに親鳥のDNAを分析した結果、ヒナは、確かにこの移送個体の子であることがわかりました。小笠原へのアホウドリ再導入のプロジェクトによる最初の繁殖確認例となります。

昨日、環境省、東京都と同時で報道発表を行いました。

プレスリリース(3月26日付け)

再導入のプロジェクトは、過去にアホウドリの繁殖地があった小笠原諸島にふたたび繁殖地を作ることを目標にして行ってきたものですが、このための大きな一歩を進めることができました。ご支援いただいた皆様に感謝申し上げます。引き続きこのプロジェクトにご関心をお寄せいただき、ご支援いただけますようお願いいたします。

※ 山階鳥類研究所「アホウドリ復活への展望」(アホウドリ最新ニュース)はこちらです。

津波で被災した文化財・標本レスキューの報告書に所員が執筆しました

大津波被災文化財保存修復技術連繋プロジェクト_安定化処理s

明日で東日本大震災から4年が経つことになりますが、震災による津波によって被災した文化財・標本の修復活動についてまとめた報告書が昨年暮れに刊行になりましたのでご紹介します。

『大津波被災文化財保存修復技術連繋プロジェクト 安定化処理』
被災した保存修復技術の構築と専門機関の連携に関するプロジェクト実行委員会
赤沼英男・鈴木まほろ(編)
同実行委員会・(公財)日本博物館協会・ICOM日本委員会(発行)
2014年12月26日発行. 255pp. 210×299mm.
価格:1,500円(税込み)

この報告書では自然史標本も文化財と位置づけられ、さまざまな標本の修復技術についてまとめて紹介されています。このような書籍の刊行は国内では初めてと思われます。この中で、山階鳥研から岩見恭子研究員が、陸前高田市立博物館の鳥類標本の修復について報告しました(166-169ページ)。この修復活動は、三井物産環境基金2011年度東日本大震災復興助成を得ておこなったものです。

本書『大津波被災文化財保存修復技術連繋プロジェクト 安定化処理』は東京国立博物館のミュージアムショップでお求めになれます。

さらに、津波によって被災した標本や文化財の救出および修復活動についての展示が東京国立博物館で、3月15日(日)まで開催されており、上記の活動についてもパネルで紹介されています。

特別展「3.11大津波と文化財の再生」 
東京国立博物館 本館 特別2室・特別4室   開催中~ 2015年3月15日(日)

3月のテーマトークは「明治・大正期の鳥類標本—帝室博物館コレクション—」(3月14日(土))です

リュウキュウカラスバト改c啓蟄もすぎて、ここ我孫子の周辺でも少しずつ春の気配が感じられるようになってきましたが皆様いかがお過ごしでしょうか。

山階鳥類研究所の所員が我孫子市鳥の博物館でトークをする、第2土曜日恒例の「テーマトーク」、3月は今週末、3月14日の開催です。小林さやか・専門員に帝室博物館の鳥類標本コレクションについて話してもらいます。

「東京帝室博物館」といっても何のことかわからないかもしれません。現在、上野公園の正面、科学博物館を脇に従えるようにしてにある、仏像や古い絵画を展示している東京国立博物館の前身です。「帝室」の言葉どおりこの博物館は、当時の宮内省の管轄する、天皇家の博物館でした。そして、東京帝室博物館は、今の東京国立博物館と違い、自然史標本も収集・所蔵する博物館だったのです。山階鳥研には明治・大正期に収集されたこの帝室博物館旧蔵の貴重な鳥類標本が保管されています。なかには絶滅した鳥類の標本が含まれています。当日は小林専門員がこれらの標本や歴史について紹介します。

第45 回「明治・大正期の鳥類標本 —帝室博物館コレクション—」

【講師】小林さやか 山階鳥研自然誌研究室専門員
【日付】3月14日(土)
【時間】各回とも 13時30分~ ※30分のテーマトーク終了後、質疑応答の時間あり
【場所】我孫子市鳥の博物館 2階多目的ホール
→ 交通案内
【参加費】無料(入館料が必要です)
【定員】先着50名
【主催・問い合わせ先】
山階鳥類研究所(TEL. 04-7182-1101)、我孫子市鳥の博物館(TEL. 04-7185-2212)

※ 山階鳥類研究所のイベント情報はこちらです。
※ 画像は東京帝室博物館旧蔵で、現在は山階鳥研所蔵の絶滅鳥リュウキュウカラスバトのタイプ標本(種の命名のさいに使った標本)です。

ムナグロの渡り/長時間の「保定」の影響/小笠原へのアホウドリ再導入/ウィーン自然史博物館と標本交換/JBF2014報告〜「山階鳥研NEWS」3月号

news_1503s山階鳥類研究所の広報紙「山階鳥研NEWS」3月号が発行になりましたので、内容をご案内します。

鳥好きの方はそろそろ渡り鳥の春の渡りに思いを馳せていらっしゃるでしょう。暖かになって水を張った春の水田にはムナグロというチドリの仲間がたくさん翼をやすめて、栄養補給するともっと北の繁殖地に旅立ってゆきます。このムナグロ、逆に秋に南下するときにはあまり観察されません。どうなっているのでしょうか?最近の知見を紹介します。

鳥類を保全する目的のために近年ますます使用されるようになった発信器での調査、発信器装着のためにある程度の時間の保定が欠かせません。アホウドリのヒナで長時間の保定の影響について調べた結果をご報告します。

鳥にまつわる言葉を紹介する小コラム「とりのことば」、今号は「北帰行」です。

「山階鳥研NEWS」2015年3月号 目次
1面 
表紙写真(ミコアイサ、キンクロハジロ) 賛助会員 岡田政子
2面    明らかになってきたムナグロの渡り 広居忠量
3面    長時間の「保定」はどのくらい鳥の体に影響があるか  出口智広
4面 小笠原へのアホウドリ再導入/ウィーン自然史博物館と標本の交換
5面 「山階コレクション展」盛況裏に終了/橘川尚子さんに山階賞メダル贈呈
6面 JBF2014報告/全日本バードカービングコンクール鳥研所長賞報告/テーマトークご案内
7面 科学研究費補助金(特定奨励費)研究成果発表会開催/絵画コンテストで賞贈呈/事務局から(人事/賛助会員/ご寄附)
8面 事務局から(訃報)/とりのことば/編集後記

「山階鳥研NEWS」は、山階鳥研の活動や、鳥学研究や鳥の話題をやさしく紹介するニュースレターです。賛助会員に入会いただきますと、隔月でお送りいたします。
※賛助会員のご入会は「ご支援のお願い」をご覧ください。
山階鳥研NEWSのこれまでの号の目次はこちらです。

四国地区賛助会員の集いを開催しました

tsudoi_shikoku関係の皆様のご尽力により、このたび新たに四国地区賛助会員の集いを開催の運びとなり、2月18日に愛媛県松山市内で第一回の集いを行いました。詳しくは「山階鳥研NEWS」5月号でご報告します。

多くの皆様に賛助会員になっていただけるようにお願いしています。入会については「ご支援のお願い」をご覧ください。
「山階鳥研NEWS」についてはこちらをご覧ください。