月別アーカイブ: 2021年7月

献本ありがとうございます。『シジュウカラガン物語』

著者からお送りいただいた書籍です。こちらでご紹介するとともに、書庫に納めて活用いたします。ご寄贈大変ありがとうございました。

呉地正行+須川恒(日本雁を保護する会)(編)
『シジュウカラガン物語 しあわせを運ぶ渡り鳥、日本の空にふたたび!』

京都通信社, 京都. (2021年7月15日発行, 304ページ. 2,970円 (本体:2,700円). ISBN-978-4-903473-62-8)
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7月21日(水)は一斉休業します

山階鳥研は、本年も夏季の節電対策として、照明、空調の使用抑制等に加えて、通常は職員がそれぞれの都合で取る夏期休暇のうち2日間について、一斉休業し、その1回目を 7月21日(水)に実施します。ご関係の皆様にはご不便をおかけいたしますが、ご承知おきください。

「夏季一斉休業のお知らせ」はこちらです。

献本ありがとうございます。『鳥類のデザイン 骨格・筋肉が語る生態と進化』

出版社から、広報にお送りいただいた書籍です。こちらでご紹介するとともに、書庫に納めて活用いたします。ご寄贈大変ありがとうございました。

カトリーナ・ファン・グラウ(著) 川上和人(監訳) 鍛原多惠子(訳)
『鳥類のデザイン 骨格・筋肉が語る生態と進化 THE UNFEATHERED BIRD』

みすず書房, 東京. (2021年7月20日発行予定, 384ページ. 6,930円 (本体:6,300円). ISBN-978-4-622-08989-6)
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山階鳥類学雑誌(第53巻第1号)をご紹介します。

山階鳥類研究所の学術雑誌「山階鳥類学雑誌」は年に2冊の発行です。2020年6月30日付けで発行された、2021(令和3)年度の第1号についてご紹介します。今号から投稿規定が変わり、規定と手引きにわかれました。また、新しい分野を創設したため、これを周知する巻頭言がつきました。それぞれ下記のリンクから山階鳥研のウェブサイトに飛んでご覧いただけます。

巻頭言 p.1 → 「山階鳥類学雑誌についてお知らせ」

● 原著論文
伊関文隆・三上かつら・佐藤達夫: 独特で複雑なツミの風切の換羽様式(英文) pp.3-23

● 短報
藤巻裕蔵: 北海道におけるエゾライチョウの分布(英文) pp.25-32

● 報告
長谷川恵一: 野外逸出した飼育個体と思われる足革を着けたオオタカの観察記録 pp.33-38
富田直樹・成田 章: ウミネコ繁殖地蕪島における2012年から2020年の繁殖モニタリング pp.39-43
仲村 昇・油田照秋・千田万里子・水田 拓: 2018~2020年に福島県で行われた繁殖鳥モニタリング(MAPS)調査 pp.44-56

誌碑 pp.57-58

投稿規定 pp.59-60
投稿規定(英文) pp.61-62
投稿の手引き pp.63-67
投稿の手引き(英文)pp.68-72

<編集長 綿貫豊北海道大学水産科学研究院教授の編集後記から>
53巻1号をお届けします。換羽は鳥類の特性で、その羽ごとに時期が決まっていたり、また変異したりします。それ自体興味深い研究対象ですし、また羽は伸びている時期に食べた餌の化学成分を反映するので、換羽時期がわかればその時の餌に関する情報についても語ってくれそうです。報告が3報寄せられています。今後、報告の内容をさらに充実させ、投稿していただきやすいようにカテゴリーを分けることとしました。皆様の投稿をお待ちしています。山階鳥類学雑誌は多様な原稿を歓迎いたします。

*「山階鳥類学雑誌」は、鳥類の研究論文を掲載する学術雑誌です。1952年に「山階鳥類研究所研究報告」のタイトルで創刊され、2003年に現在の誌名に改めました。山階鳥研の研究論文を掲載するとともに、所外の研究者の研究発表の場としても貢献しています。
賛助会員に入会され、「山階鳥類学雑誌」を購読するコースを希望された方にお送りしています(そのほかに広報紙「山階鳥研NEWS」を購読するコースもあります)。

※ 山階鳥類学雑誌の解説はこちらです。
※ 山階鳥類学雑誌の目次(1992年以降)はこちらです。
※ 山階鳥類学雑誌掲載論文のPDFはこちらです。
※ 賛助会員のご案内はこちらです。

今日、7月5日は山階芳麿博士の誕生日です

※ 東海・関東地方の大雨による災害で亡くなられた皆様にお悔やみ申し上げますとともに、行方不明の皆様が一刻も早く救出されることをお祈り致します。また被災された皆様にお見舞い申し上げます。引き続いて降雨が予想されております。ご無事をお祈りいたします。どうぞお気をつけてお過ごしください。

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山階鳥研の創立者、山階芳麿は、121年前の今日、1900年7月5日に当時の東京市麹町で生まれ、鳥類の研究と保護に一生を捧げました。

戦前にはアジア・太平洋地域の鳥類の分類学に多大な貢献をした山階芳麿でしたが、戦後は鳥類保護に力点を移し、日本の鳥類保護のリーダーとして日本およびアジアの鳥の保全のために尽力しました。その中で、研究、保護を含め、海外の研究者や保護関係者との交流や情報交換も行いました。

写真は、1958年1月に、前年末にバンコクであった国際会議の帰途、日本に立ち寄った、アメリカ合衆国の鳥類研究者ロバート・クシュマン・マーフィ夫妻との東京での記念撮影の1コマです。マーフィ氏は、アメリカ自然史博物館に所属する海鳥研究の大家で、鳥類保護にも熱心に取り組んだ研究者です。アメリカ鳥学会(American Ornithologists’ Union)やナショナル・オーデュボン協会の会長を歴任しました。

山階芳麿は、この時のマーフィ夫妻の来日について書いた記事の中で、氏が海鳥研究の大家である一方で、「アメリカ第一流のコンサベーショニストである」と紹介しています。これに続けて、コンサベーショニストというと「保存する人」といった意味に取れるが、近年はアメリカ合衆国や欧米各国でひとつの特別な意味を持たせるようになってきた、すなわちコンサベーションは、「自然物を大切にし、これを利用する場合には自然のバランスを破壊しないように巧みに永続的にこれを利用する」という意味で、コンサベーショニストはこの実践の普及に努力する人であると解説しています(「野鳥」23巻2号p. 32., 1958)。

こういった海外の研究者や「コンサベーショニスト」との情報交換は、環境破壊や鳥類の減少を目の当たりにして、鳥類保護に取り組んだ山階芳麿自身の活動にも非常に大きな意味があったものと思われます。

※写真は、前列左から、黒田長禮(ながみち)、ロバート・クシュマン・マーフィ、グレース・マーフィ(夫人)。後列左から、鷹司信輔、徳見泰、中西悟堂、コーン中佐、黒田長久、山階芳麿が写っています。

※山階鳥研では、この写真も含め、従来、整理の手が回っていなかった、古い書類、書簡、写真などの資料類の整理に着手しています。