インド洋に浮かぶマスカリン諸島に17世紀ごろまで生存していたとされるドードー、そのドードーのレプリカが6月21日、梱包されて山階鳥研から搬出されました。
ドードーは、ハトに近縁とされる飛べない鳥で、人間が乱獲したり、持ち込まれたサルやブタ、ネズミなどによって卵やヒナが食べられた結果絶滅してしまったとされ、ルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」にも登場するので、多くの方が名前をご存知と思いますが、じつは完全な剥製は世界のどこにも残されていません。
このレプリカは剥製師さんが、コンテスト出品のためにいろいろな鳥の羽毛を活用してつくられたレプリカで、コンテスト出品後、山階鳥研にご寄贈いただきました。今回は、萩博物館で開催される、「トレジャーアニマル探究記」の展示のために貸し出されたものです。
この夏休み、もし萩の近くに行かれる機会がありましたら、このドードーの顔も見にぜひお立ち寄りください。山階鳥研の鳥の資料のなかでも人気者のひとつです。
【名称】 萩博物館特別展「トレジャーアニマル探究記」
【会期】 平成25年7月6日~9月8日
【会場】 萩博物館
〒758-0057 山口県萩市堀内355
電話 0838-25-6447 (萩博物館)
※ 詳細は萩博物館公式ウェブサイト、萩市観光ポータルサイトをご覧ください。
月別アーカイブ: 2013年6月
アオバト お江戸日本橋に飛来
関東地方の平野部で普通見られるハトというと、しばしば「山鳩」と呼ばれるキジバトと、家禽由来のドバト(カワラバト)があげられます。アオバトは、東京周辺では、秩父、奥多摩、丹沢などの山に登ると、遠くで「オアオ〜」という声が聞こえるというような鳥です。また、アオバトは海岸の岩礁などに、山中から海水を飲みに飛来することが知られている興味深い鳥でもあります。
昨日、そのアオバトが1羽、東京日本橋のデパートの屋上のガラスに衝突して死んでしまいました。デパートの総務の方から電話をいただき、研究材料としてご寄贈いただけるということで、本日、山階鳥研に到着しました。ご寄贈ありがとうございました。
キジバトよりも大きく、ご覧のように頭から体の上面が抹茶のような濃い緑色をした美しいハトです。尾羽の下側を支える下尾筒(かびとう)の羽毛の中央が緑色で、ふちが幅広くクリーム白色をした美しいパターンをしています。
近くまで来て屋上緑化に引き寄せられたのはわかるとしても、今の時期は山地の森林で繁殖している時期のはずで、そもそもこの時期に東京の都心に飛来した理由が何なのか、興味をそそられます。
山階鳥研では研究用に拾得死体を収集しており、鳥体の状態や、山階鳥研の既存の標本等の所蔵状況をみながら、研究用剥製標本、骨格標本、DNAバーコーディングなどのためのDNA分析用の組織サンプル、CTスキャンによる骨格の3次元データの取得などを行って研究に役立てています。このアオバトもこれから状態を判断してしかるべき標本やサンプル、データ等を採取することになります。
この記事をお読みの皆さんも、野鳥の死体を見つけられましたら、山階鳥研までご一報いただければ幸いです。
山階鳥研の研究用鳥類標本についてはこちらをご覧ください。
山階鳥研でこれまでに収集した標本のデータベースはこちらをご覧ください。
DNA配列をもとにして生物の種を簡便に判別する取り組み「DNAバーコーディング」はこちらをご覧ください。
CTによる骨格の3次元データの取得についてはこちらご覧ください。
おんもへ出たいと待っている〜♪ 巣立ち間近のフクロウのヒナ 我孫子市内
山階鳥研の地元、我孫子市内に設置された巣箱で、今年もフクロウが子育てしました。先週末からいちばん大きなヒナが入り口から顔を出して、ときに愛らしい動作を見せています。
フクロウは、関東地方南部ですと、ゴールデンウィーク明け頃には巣立ちを迎える巣もあるようですが、よそでいろいろ聞く事例にくらべて、この巣箱の巣は例年かなり遅いようです。そのことに何かこの場所の環境などに関係した生態的な要因があるのか、ここの親鳥の個性なのかはわかりません。
フクロウの繁殖には餌が豊富な田園地帯や森林と、巣をつくるための樹洞のある大木が欠かせません。このうち、餌生物のいる環境はあるけれども繁殖できる大木がない場所では、巣箱をかけて巣の場所を提供してやることで、フクロウが増えることが可能になります。もちろんその大前提は巣箱で安心してフクロウが繁殖を成功させられることです。フクロウに限りませんが、みなさんも、営巣中の野鳥を見つけたら、鳥をびっくりさせて繁殖が途中でだめになってしまったりすることのないよう、そっとしておいてあげてください。
フクロウ成鳥の鳴き声(「桜咲きフクロウ鳴く我孫子」)はこちらです。
関東南部でもう一種類声が聞かれるフクロウの仲間、アオバズクの話題はこちらです。
4月下旬から5月下旬の調査で、国内の野鳥から鳥インフルエンザウィルスは検出されませんでした
この4月に中国で捕獲された野生のハトからH7N9の鳥インフルエンザウイルスが出たことを受け、環境省が4月下旬から5月下旬にかけ日本国内の7カ所で野鳥の調査を行い、計338検体を採取し、国立環境研究所において遺伝子検査を行いましたが、鳥インフルエンザウイルスは検出されませんでした。山階鳥研は、今回の調査に協力しました。結果の詳細は下記リンクの報道発表資料をご覧ください。
環境省の報道発表資料はこちらをご覧ください。
高病原性鳥インフルエンザに関する情報(「野鳥との接し方について」など;環境省)はこちらです。
「鳥インフルエンザ ツバメの巣・えさ台の小鳥は心配いりません」(山階鳥研)はこちらです。
6月のテーマトークは「鳥の行動から放射能被曝を予測する〜海鳥オオミズナギドリを例に考える〜」(6月8日(土))です
山階鳥類研究所の所員が我孫子市鳥の博物館で出前トークをする、第2土曜日恒例の「テーマトーク」、6月は下記の要領で今週末です。
今回のトークは、放射性物質と海鳥の関係のお話です。母なる海は放射性物質の終着地です。セシウムなどの放射性物質は海底土や粒子に付いて生物の体に入り、生物間を循環します。ミズナギドリ類の生態を長く研究している、岡奈理子・上席研究員が、東日本で繁殖するオオミズナギドリが福島原発の放射能汚染にどう直面したかを彼らの行動からお話します。
第26回「鳥の行動から放射能被爆を予測する 〜海鳥オオミズナギドリを例に考える〜」
【講師】岡奈理子 山階鳥研自然誌研究室上席研究員
【日付】6月8日(土)
【時間】13時15分~ ※30分のテーマトーク終了後、質疑応答の時間あり
【場所】我孫子市鳥の博物館 2階多目的ホール
【参加費】無料(入館料が必要です)
【定員】先着50名
【主催・問い合わせ先】
山階鳥類研究所(TEL. 04-7182-1101)、我孫子市鳥の博物館(TEL. 04-7185-2212)
山階鳥類研究所で行っている東日本大震災関連の活動などの紹介はこちらです。
山階鳥類研究所のイベント情報はこちらです。