日別アーカイブ: 2015年9月1日

またの名をトケン類、カッコウの仲間が、越冬地への旅立ち前に無言のまま我孫子を通過してゆきます

tsutsudori01山階鳥研のすぐ目の前に広がる手賀沼沿いにある遊歩道の桜並木に、ふだんは見慣れない鳥がとまっています。

この鳥はツツドリといって、日本には夏鳥として、つまり初夏に繁殖のために渡ってくる鳥です。日本の山地の森林での繁殖を終えて、東南アジアなどの越冬地への旅立ち前に、平野部を通過してゆくのです。

山登りをする方は、5月から6月のころ、緑の深い森のなかから、ポポ、ポポ、・・・というこの鳥の声がするのを聞かれたことがあるでしょう。この鳥はカッコウ科という、カッコウやホトトギスの仲間で、カッコウやホトトギスと同様、自分では巣を作らず、他の種の鳥の巣に卵を産みこんで育てさせる「托卵」という習性を持っています。

カッコウの仲間の鳥たちはガの幼虫(毛虫)が好物です。このツツドリがとまっているサクラの木も、毛虫のせいで、丸坊主になってしまっているのが写真でおわかりと思います。

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毛虫がたくさんいて、彼らにはご馳走なのでしょう、遊歩道にはあちらこちらと何羽もツツドリがいるようです。地元の熱心な鳥好きの方たちによるとホトトギスも観察されたとのこと。この仲間は姿が互いにそっくりで、識別に役立つ声も今は出すことがなく、見分けが非常に難しいのですが、そこがまたたまらない、という鳥好きもいそうです。

これから南の越冬地へ旅立つカッコウ類たちの毛虫パーティはひとときのこととは思いますが、いつごろまで見られるでしょうか。個体が入れ替わっているのか、同じ個体が長くいるのかなども興味深いところです。

※ 「トケン(杜鵑)」とはホトトギスのことで、杜鵑類とは、現在はカッコウ科と言われているこの仲間の古い呼び方です。

奥野卓司副所長就任/鳥類標識調査の最近の成果(長寿記録と驚くべき移動、そして地球温暖化に対する鳥類の応答)/オンライン蔵書検索リニューアル〜「山階鳥研NEWS」9月号

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山階鳥類研究所の広報紙「山階鳥研NEWS」9月号の内容紹介です。

この号は、さながら鳥類標識調査の小特集のようになりました。足環による個体識別をする標識調査はまず渡りの調査というイメージがあるでしょうが、寿命のデータを得ることも大きな目的です。近年は渡り経路を知るためには各種の発信器やロガーと呼ばれるハイテクな器機も使われていますが、野鳥の寿命については足環に代わるハイテク器機は存在しないのです。今回わかったホウロクシギの20年3ヶ月の記録も足環でしか得られない重要なデータです。さらに移動、渡りの新情報としてマミジロアジサシとマミチャジナイでめざましい成果が得られました。さらにこの号ではこういった標識調査の古典的な成果にくわえ、再捕獲のデータに限らず、最初に捕獲した際のデータをもとに、地球温暖化への鳥類の応答を探った、新しいタイプの成果もお知らせすることができました。この地球温暖化への応答に関する成果については、5月に報道発表して、メディアにも取り上げられました。

鳥にまつわる言葉を紹介する小コラム「とりのことば」、今号は「若い燕」です。至ってまじめな内容です(^^)のでご一読ください。

「山階鳥研NEWS」2015年9月号 目次

1面 表紙写真(カンムリワシ) 賛助会員 佐野昌男
2面 奥野卓司副所長就任/ホウロクシギの長寿記録/イランからマミジロアジサシが飛来
3面 マミチャジナイがボルネオで越冬
4面 東南アジアからの渡り鳥 渡来と繁殖時期早期化の傾向
5面 オンライン蔵書検索リニューアル/野田市でコウノトリが放鳥
6面 イベント告知(「鳥の道を越えて」上映会/JBF鳥学講座スペシャル/JBF見にレクチャー)
7面 関西地区賛助会員集い報告/イベント告知(手賀沼流域フォーラム/テーマトーク)
8面 事務局から/とりのことば

鳥類標識調査については、山階鳥研のウェブサイトから「渡り鳥と足環」をご覧ください。

「山階鳥研NEWS」は、山階鳥研の活動や、鳥学研究や鳥の話題をやさしく紹介するニュースレターです。賛助会員に入会いただきますと、隔月でお送りいたします。

※賛助会員のご入会は「ご支援のお願い」をご覧ください。
※山階鳥研NEWSのこれまでの号の目次はこちらです。

新旧理事長のご挨拶/タマシギの繁殖生態/ツバメの巣の放射性セシウム調査/H26年度寄附金・賛助会員収入と会員数ご報告〜「山階鳥研NEWS」7月号

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山階鳥類研究所の広報紙「山階鳥研NEWS」7月号の内容紹介をまだ掲載していませんでした。

6月12日をもって島津久永理事長が退任し、壬生基博理事長が就任いたしましたので、それぞれ「退任のごあいさつ」「就任のごあいさつ」を掲載しました。さらに、2015年3月末をもって定年退職した、米田研究員が執筆したタマシギの繁殖生態の記事を掲載しました。鳥はほとんどが一夫一妻ですが、一夫多妻、一妻多夫、多夫多妻などの繁殖形態もあります。米田研究員はまずさまざまな繁殖形態について概観してから、一妻多夫とされるタマシギの事例を考察しており、わかりやすい記事になっていると思います。ツバメの巣の放射性セシウム調査は5月に報道発表して、メディアにも取り上げられた内容です。

鳥にまつわる言葉を紹介する小コラム「とりのことば」、今号は「アルバトロス」です。

「山階鳥研NEWS」2015年7月号 目次
1面 表紙写真(ヤマガラ) 賛助会員 大浦晴壽
2面 退任のご挨拶  島津久永
3面 就任のご挨拶  壬生基博/アホウドリ展を見にきませんか
4〜5面 タマシギの繁殖生態「一妻多夫?」米田重玄 元保全研究室研究員
6面 全国のツバメの巣の放射性セシウムを調査/平成26年度寄附金・賛助会員収入と会員数ご報告
7面 平成26年度決算報告/中国地区賛助会員の集い報告/イベント告知(テーマトーク)
8面 事務局から/とりのことば
壬生新理事長の「就任のごあいさつ」はこちらからご覧になれます。

「山階鳥研NEWS」は、山階鳥研の活動や、鳥学研究や鳥の話題をやさしく紹介するニュースレターです。賛助会員に入会いただきますと、隔月でお送りいたします。

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