アメリカコアジサシが日本で初めて「鳥類標識調査」で確認されました

アメリカコアジサシ2個体b_webアメリカコアジサシは日本で繁殖するコアジサシに極めてよく似た水鳥で、北アメリカと西インド諸島の砂浜海岸や干潟、内陸の河川で繁殖し、中南米の海岸部で越冬します。

2014年7月に、茂田良光研究員らは茨城県神栖(かみす)市の海岸で、コアジサシの標識調査を実施中、アメリカコアジサシ2羽を捕獲しました。1羽には、2012年7月にアメリカ合衆国ノース・ダコタ州でヒナの時に装着された足環がついていました。

アメリカコアジサシの記録は日本ばかりでなく東アジア全体で初めてで、3月1日に報道発表を行いました。

鳥類標識調査はカスミ網などを使って鳥類を捕獲し、個体識別用の足環を装着して放鳥するもので、鳥類の渡りや寿命などのさまざまな生態を明らかにする目的で実施されており、近年では、鳥類生息状況のモニタリングのためにも活用されています。日本では現在、環境省の委託事業として、山階鳥研が、多くのボランティアの協力を得て実施しています。

本種は近縁のコアジサシに極めてよく似ていることから、野外観察で本種の渡来に気づくことは難しいと考えられ、鳥類標識調査の有効性が示されました。

※ プレスリリースはこちらをご覧ください。
※ 鳥類標識調査については、環境省生物多様性センターのウェブページ「鳥類標識調査」、山階鳥研のウェブページ「渡り鳥と足環」「鳥類標識調査 仕事の実際と近年の成果」をご覧ください。

(写真は神栖市で捕獲されたアメリカコアジサシ。上は、アメリカ合衆国の足環を装着していた個体。下は新たに環境省の足環を装着して放鳥した個体です)