山階鳥研の富田直樹 研究員と佐藤文男 研究員(現・フェロー)は、北海道大学大学院地球環境科学研究院の先崎理之 助教、同水産科学研究員の綿貫豊 教授らの研究グループに参加して、日本で繁殖する海鳥10種類の過去36年間の個体数変化を解析しました。その結果が論文として発表されましたので、この9月2日にこのことについて北海道大学と山階鳥研の共同でプレスリリースを行いました。
海鳥の個体数は世界的に長期的に減少し続けており、日本で繁殖している海鳥40種についても半数以上の22種類が環境省レッドリストの絶滅危惧種に指定されています。ですが、日本産の海鳥類の個体数が長期的にどのように変化してきたかは詳しく分かっていませんでした。
今回の研究の結果、ウミガラスやエトピリカといった絶滅危惧種だけでなく、ウミネコやオオセグロカモメといった分布が広く個体数が多いと思われていた種類も長期的に減少していることが明らかになりました。
佐藤研究員(現・フェロー)、富田研究員らは環境省の「モニタリングサイト1000」の一環として島嶼の海鳥の繁殖地の調査を行ってきており、結果は環境省の日本海鳥コロニーデータベースに反映されています。今回の分析はこのデータベースのデータに基づいて実施されました。
研究論文は、Senzaki, M. et al. (2019) Long-term declines in common breeding seabirds in Japan. Bird Conservation International, pp. 1-13. として2019年8月29日に発表されました。
※ 画像は、今回の分析で長期的な減少が認められた4種(ウミガラス(左上)、エトピリカ(右上)、ウミネコ(左下)、オオセグロカモメ(右下))です。