投稿者「山階鳥研広報」のアーカイブ

手賀沼学会大会が7月7日(土)に開催されます

老若男女が気楽に、手賀沼集水域の社会や自然も含めた文化の総体について学ぼうという、手賀沼学会の第9回大会が開催されます。会員・非会員をとわず参加できますのでふるってご参加ください。
【日時】2012年7月7日(土) 12:00〜16:20
【場所】中央学院大学30周年記念館611号室
【内容】
基調講演1:「東葛地方の鉄道の発達と水運の衰退」
青木更吉氏(流山市立博物館友の会会員、歴史・民俗研究者)
基調講演2:「柏駅と駅前の歴史」
小林康達(やすみち)氏(我孫子市教育委員会嘱託職員・我孫子市史編纂委員会参与)
特別発表:「私の第二の故郷」
邢燕(けい・えん)氏(中央学院大学国際交流センター)ほか
【問い合わせ】手賀沼学会事務局(中央学院大学社会システム研究所)
電話:04-7183-6522
詳細(手賀沼学会ウェブサイト)はこちら
手賀沼学会発足趣意書はこちら
山階鳥類研究所イベント情報はこちら

中国遼寧省にズグロカモメの調査に行ってきました

img_6544_b尾崎清明・保全研究室長と平岡(自然誌研究室専門員・広報主任)は、6月11日から20まで、中国遼寧省にズグロカモメの調査に行ってきました。山階鳥研からJICA(国際協力機構)のプロジェクトで中国西安に赴任している米田重玄・専門家も応援に合流しました。
ズグロカモメは、世界分布の極限された種で、中国の渤海と黄海沿岸部で繁殖し、冬は朝鮮半島、日本、中国南東部、ベトナムなどに渡ります。海岸の干潟上部の塩性植物群落で繁殖するため、埋め立てなどの影響を受けやすく、環境省のレッドデータブックでは絶滅危惧第2類に指定されています。
今回の調査は、環境省の日中韓ズグロカモメ共同調査業務として実施されたもので、中華人民共和国環志中心(バンディングセンター)、遼寧省双台河口国家級自然保護区のスタッフ等の協力を得て、同保護区にある繁殖地で、4羽のズグロカモメ成鳥に人工衛星発信器を装着したほか、200羽ちかい幼鳥に番号つきの赤いカラーフラッグ(脚に装着して野外観察で識別可能なプラスチック製の「旗」)と金属製足環を装着しました。
発信器装着個体を含め、今回標識を装着した個体が、いくつかある越冬地のどこに渡るかが注目されます。発信器装着個体については衛星からのデータを順次取得してゆきます。カラーフラッグ装着個体を観察された方は山階鳥類研究所にぜひご一報お願いいたします。
※画像は人工衛星発信器を装着したズグロカモメの成鳥です。
「渡り鳥と足環」(山階鳥類研究所)はこちら。

東日本地区賛助会員の集いを開催しました

tsudoi_higashinihon20127月3日に東京都千代田区の霞会館で、東日本地区賛助会員の集いを開催しました。
冒頭、3名の高額寄附者に総裁の秋篠宮殿下から感謝状をお贈りしました。出口智広研究員の活動報告などのあと、後半は懇親会を行い、約200名の参加者が和やかに懇談しました。

※山階鳥類研究所では、研究や活動を支えてくださる賛助会員・ご寄付を広く募集しています。賛助会員になっていただくと、賛助会員の集いに出席していただけるほか、隔月刊のニュースレター「山階鳥研NEWS」などをお送りします。賛助会員のお願いはこちらです。

カンムリツクシガモの第1標本

山階鳥類研究所には、世界に3点しかないカンムリツクシガモという希少なカモ類の標本のうちの2点があります。この鳥は、かつてユーラシア大陸東部に生息しており、現在は絶滅した可能性が高いと考えられている美しいカモで、世界の3点の標本のうち残りの1点はデンマークの博物館にあることが知られていますが、日本の鳥類研究者で、デンマークの標本を見たことがあるという話は聞いたことがありません。
アメリカ合衆国で開催された、自然史標本の保存に関する国際学会大会(The 27th Annual Meeting of the Society for the Preservation of Natural History Collections (June 11-16, 2012, Yale University)に出席した小林さやか専門員は、同学会に参加していたデンマーク国立自然史博物館(Zoological Museum, Natural History Museum of Denmark)のヤン・クリステンセンさん(Jan Bolding Kristensen)と面識ができ、この標本についてお話を伺うことができました。
crested_shelduck小林専門員が帰国後電子メールでやりとりし、先方の博物館が所蔵する、カンムリツクシガモの標本とクリステンセンさんの画像を送っていただきましたのでブログでご紹介します。
このコペンハーゲンの標本が、学問の世界にこの鳥が初めて知られた「第1標本」ですが、これは当初雑種と考えられており、山階鳥類研究所所蔵の第2標本が見つかってから、江戸時代の絵図にもこの鳥が描かれていることがわかり、また第3標本も見つかって、雑種ではなく新種であると判明したというエピソードがあります。
small_2日本でこの鳥の第1標本の画像が紹介されたのはことによると初めてかもしれません。山階鳥類研究所所蔵のカンムリツクシガモの第2、第3標本の画像もご紹介し(右の写真、奧が第2標本)、贅沢なページにしてみましたのでお楽しみください。
「所蔵名品から第5回 世界に3点しかない絶滅鳥-カンムリツクシガモ(ガンカモ目ガンカモ科)-」はこちら。上で簡単に説明したカンムリツクシガモの発見と命名のエピソードについてより詳しく紹介しています。

自然史標本の国際学会で、震災後の標本レスキューなどについて発表しました

iwami_poster_36月11〜16日にアメリカ合衆国コネチカット州ニューヘイヴンにある、イェール大学ピーボディ博物館で開催された自然史標本の保存に関する国際学会の年次大会に、岩見恭子、小林さやかの2名の所員が参加しました。
kobayashi_poster_3岩見研究員は、東日本大震災の津波で破壊された鳥類標本の救出について、また小林専門員は、山階鳥類研究所の標本コレクションの管理と収集活動についてポスター発表しました。学会大会では、自然史標本の分野の最先端の成果や技術について情報収集するとともに、海外の標本担当者ほかと交流を深めることができたようです。
ogasawaramashiko2人はこの学会の終了後、世界最大級の鳥類標本コレクションを所蔵するアメリカ自然史博物館(ニューヨーク)に足を運び、標本収集管理や修復の現状について研修しました。
※学会の英文名称と発表タイトル等はつぎのとおりです。
The 27th Annual Meeting of the Society for the Preservation of Natural History Collections (June 11-16, 2012, Yale University, New Haven, Conneticut USA)
Iwami, Y., Kumagai, M., Tomioka, N., and Yamasaki, T.
Salvage and restoration activity for the bird specimens destroyed by tsunami in the Tohoku Earthquake, Japan.
Kobayashi, S., Yamasaki, T., Saitoh, T., Asai, S., and Iwami, Y.
The bird collection and the management at the Yamashina Institute for Ornithology: Overview.
(この学会参加は、コロラド大学自然史博物館・コレクションマネージャーで同学会の評議員でもある蔭山麻里子さんの勧めで実現しました。また、山階武彦助成事業から助成を受けています)
※画像は、(上)学会会場のポスターの前の岩見研究員、(中)小林専門員と蔭山麻里子さん(向かって左)、そして、(下)アメリカ自然史博物館希少鳥類コレクション所蔵の、小笠原の絶滅鳥で日本には標本のないオガサワラマシコを手に取る小林専門員です。
「山階鳥類研究所の標本について」はこちらをご覧ください。
山階鳥類研究所標本データベースはこちらをご覧ください。

鳥類標識調査の合計放鳥数が500万羽を越えました。生物多様性センターのウェブサイトで成果が見られます

2s鳥類標識調査は野鳥に番号付きの足環などをつけて放し、再捕獲や観察をすることで、渡りや寿命をはじめとする情報を収集するもので、データの解析によってさまざまな生態が明らかになり、その成果は鳥類の保護施策の立案のためにもたいへん有用です。
日本では1924年以来、途中戦争の影響による中断があったものの、約90年の歴史があります。現在は山階鳥類研究所が環境省の委託事業として実施しています。
この鳥類標識調査で、継続的にデータが蓄積された1961〜2011年の合計放鳥数が500万羽を突破しました。このことを機に、調査の成果がパソコンからグーグルアース上で閲覧できる、鳥類アトラスweb-GIS版が環境省生物多様性センターのウェブサイトとして公開になりました。
尾崎清明副所長・保全研究室長は、500万羽突破について「この数字は、多くの関係者の努力で、長期間にわたって継続してきたことの成果です。世界的には十数番目の達成になり、アジア諸国では例のない数字です。長期間にわたるデータの大半がデジタル化されているので、今後さまざまな分析に活用できます。さらに調査を継続発展させ、鳥類の保全に役立つ基礎データとしてゆきたいと考えています」と話しています。
※画像はさまざまな大きさの鳥類にあわせて作られた足環です。それぞれ鳥の体に負担にならない形状と重量に設計されています。
報道発表資料はこちらです。
環境省生物多様性センター 鳥類アトラスweb-GIS版はこちらです。
環境省生物多様性センター 鳥類標識調査ページのトップはこちらです。

6月のテーマトークは「日本の海鳥は今 〜繁殖地で見られた諸問題〜」(6月9日(土))です

onagamizunagidori山階鳥類研究所の所員が我孫子市鳥の博物館で出前トークをする、第2土曜日恒例の「テーマトーク」、6月は下記の要領で今週末です。全国の海鳥の繁殖地を調査している仲村昇研究員が、離島など、私たちがふつうは訪れることが難しい場所にある繁殖地で海鳥がどのように生活しているか、彼らがどんな問題に直面しているかをご紹介します。
第14回「日本の海鳥は今 〜繁殖地で見られた諸問題〜」
【講師】仲村昇 山階鳥研保全研究室研究員
【日付】6月9日(土)
【時間】13時15分~ ※30分のテーマトーク終了後、質疑応答の時間あり
【場所】我孫子市鳥の博物館 2階多目的ホール
【参加費】無料(入館料が必要です)
【定員】先着50名
【主催・問い合わせ先】
山階鳥類研究所(TEL. 04-7182-1101)、我孫子市鳥の博物館(TEL. 04-7185-2212)
画像は小笠原諸島北之島で営巣するオナガミズナギドリです。
山階鳥類研究所のイベント情報はこちらです。

写真展「OGASAWARA」(6/1〜6/18)で、アホウドリの保護活動が紹介されます

konica_02今週金曜日(6/1)から東京新宿のコニカミノルタプラザで開催される、小笠原諸島にかんする写真展で、山階鳥類研究所が行っている、アホウドリの小笠原再導入にかんする写真が紹介されます。会場には募金箱が設置され、募金はアホウドリの保護活動にあてられます。会場にはアホウドリを誘引するために用いられたデコイ(鳥の実物大の模型)も展示されます。
会期中6月9日(土)には、山階鳥研のアホウドリ小笠原導入のプロジェクトにも参加されている地元の写真家、南俊夫さんのトークイベントがあります。
コニカミノルタプラザ環境企画展『OGASAWARA』~小笠原、未来へつなぐ自然展~
【日時】2012年6月1日(金)~6月18日(月)(期間中無休)
10:30~19:00  ※ 最終日は15:00まで
【場所】コニカミノルタプラザ ギャラリーB&C
東京都新宿区新宿3-26-11 新宿高野ビル4F (Tel: 03-3225-5001)
【入場料】無料
【主催】コニカミノルタプラザ(コニカミノルタホールディングス株式会社)
南俊夫氏トークイベント「小笠原の自然」
【日時】2012年6月9日(土)14:00~15:00
【会場】コニカミノルタプラザ イベントスペース (参加料無料)
【定員】50名(先着順*開演2時間前より、会場にて整理券を配布。)
※画像は6/9(土)に撮影しました。
コニカミノルタプラザ環境企画展「OGASAWARA」のウェブページはこちらです。
山階鳥類研究所のイベント情報のページはこちらです。
山階鳥研のウェブページ「アホウドリ 復活への展望」
はこちらです。

放鳥トキの繁殖について取材を受けています

koshitsunikki_s_2小笠原諸島聟島での人工飼育のアホウドリの巣立ちと日を同じくして、環境省から、放鳥されたトキの野外での繁殖によるヒナの巣立ちが発表されました。
山階鳥類研究所は、アホウドリと並んで長らくトキの保護にもかかわってきており、今回のトキの繁殖についても報道機関からコメントを求められるなどの取材を受けています。
画像は少しかわりだねですが、本日、「皇室日記」(日本テレビ)からトキの取材を受けたようすです(画像中央は同番組キャスターの井田由美さんと、アナウンサーの青木源太さん)。
番組では、山岸哲・名誉所長へのインタビューが紹介されます。今週末、6月3日(日)午前6:30〜6:45に日本テレビ「皇室日記」で放送の予定とのことです。

聟島のアホウドリ 巣立ちが終了しました

y67_56s絶滅危惧種アホウドリの小笠原再導入のため、2月11日に伊豆諸島鳥島から小笠原諸島聟島(むこじま)に移送したヒナ15羽のうち、3月に死亡した1羽をのぞき、14羽すべてが今日までに巣立ちました。
移送・人工飼育は今年で5年めの最終年で、初年度から合計69羽のヒナが巣立ちました。これまでの皆さんの暖かいご支援にあつく御礼申し上げます。
また、今シーズンは、昨年までに巣立った個体のうち、3歳個体(2009年巣立ち)4羽と、4歳個体(2008年巣立ち)2羽の合計6羽が、聟島に帰還したことを確認しました。
帰還個体の中から聟島で繁殖するつがいが生まれ、最終的にはこの場所で彼らの子孫が多数繁殖するようになるのがこのプロジェクトの目標ですので、来シーズン以降も引き続き現地のモニタリングを続けてゆきます。引き続きご関心をお寄せいただきご支援いただけますようお願いします。
報道発表資料はこちらです。
山階鳥研のウェブページ「アホウドリ 復活への展望」はこちらです。