5月22日午前に、愛知県内の中学校から、修学旅行で関東に来ている中学3年生4名の訪問学習を受け入れました。
この学校では、生徒がそれぞれ、個別に課題を見つけて、3年間で解決をはかったり追究を深めたりする学習に取り組んでおり、今回来訪したのは、生物関係をテーマとした班の4名です。3ヶ月前には訪問の打診があり、訪問をお受けしました。
4名は午前中の2時間をかけて、班のメンバーが取り組んでいる鳥類の生態研究について研究員からアドバイスを受けたほか、所内で行われている仕事を見学しました。
※ 画像は書庫での見学のようすです。
「今日の鳥研」カテゴリーアーカイブ
所外の共同研究者がDNAを用いた実験の実習に訪れています
鷹ひとつ見つけてうれしこうの山
暑さ寒さも彼岸まで、異常な暑さだった夏もやっと過ぎていったようですが皆様いかがお過ごしでしょうか。
さて、秋は鳥が南へ渡る季節。タカの渡りも9月中下旬には各地で観察され、多くのバードウォッチャーが観察スポットに集まったことと思います。
そんな南へ渡るタカの代表格であるサシバが今日、山階鳥研に1羽現れました。裏山の木のてっぺんにとまっているのを、所員が見つけたものです。
イベント記録用の、焦点距離のたいして長くないズームレンズで、半逆光の角度から撮影したので大変見づらくお恥ずかしいかぎりですが、拡大して見ていただくと、胸がべったりと赤褐色で、腹にかけては横斑があり、頭部はやや灰色っぽく、喉に太い縦斑が一本あり、蝋膜(嘴のつけねの裸出部)と目が黄色っぽいといったサシバの特徴がなんとかわかるかと思います。
サシバはハシボソガラスぐらいの大きさのタカで、おもな餌は、ヘビやカエル、昆虫類などです。春から夏に日本ではおもに本州、四国、九州の里山や低山で繁殖し、南西諸島や東南アジアまで渡って越冬します。冬に南に渡るのは、九州以北で冬にこういった餌を得るのは難しいためと考えられます。この個体も南へ渡る途中でひととき翼をやすめたものでしょう。これからどこまで飛んでゆくのでしょうか。来年も無事に帰ってくることを祈りたいと思います。
※ 表題は、松尾芭蕉「笈の小文」所収の「鷹一つ見付てうれしいらご崎」のもじり、「高野山(こうのやま)」は山階鳥研のある場所の地名です。
発展途上国で生物多様性保全にかかわる行政担当者が研修しました
9月6日、国際協力機構(JICA)の「生物多様性情報システム」研修で8月上旬から約1ヶ月の日程で来日中の発展途上国の行政官が、山階鳥研を訪れ研修を行いました。
この研修は、重要で希少な種の主な生息地となっている発展途上国の、生物多様性保全に係る計画の企画・立案を担当する行政官に、生物多様性情報の収集・管理や、インターネット等を通じた普及について学んでもらい、この分野の人材育成に資する目的で実施されているものです。
研修したのは、アルゼンチン、コンゴ民主共和国、マレーシア、タイ、東ティモールから訪れた9名で、山階鳥研の概要と、標本や図書、DNA情報の収集管理、鳥類標識調査の概略とそれぞれから得られたデータのデータベースでの公開などにについてレクチャーを受け、標本と図書の管理状況を見学しました。
アメリカの大学で研究している日本人研究者がセミナーを行いました
中国のトキ関係者が研修しました
自動販売機を使った絶滅危惧種ヤンバルクイナ生態調査プロジェクトの関係者が来所しました
日本コカ・コーラ(株)、沖縄コカ・コーラボトリング(株)とNPO法人どうぶつたちの病院は、清涼飲料の自動販売機に設置したICレコーダーで、年間を通じてヤンバルクイナの声を録音するプロジェクトに協働して取り組んでいます。
これは本種の音声を周年録音することで、生態に不明な点の多い絶滅危惧種ヤンバルクイナの生態を明らかにし保護に役立てようとするものです。山階鳥研では企画段階からこのプロジェクトに協力していますが、本日、プロジェクトの関係者が経過報告のため山階鳥研を訪れました。
来訪したのは、音声データの分析によってこのプロジェクトに協力している沖縄工業高等専門学校の蔵屋英介先生と、宇根健一郎さん、蔵屋沙那恵さんの学生さん2名、日本コカ・コーラ(株)技術・サプライチェーン本部の中村遂彦さん、沖縄コカ・コーラボトリング(株)CSR推進課の比嘉まゆみさんです。長時間にわたる録音データからヤンバルクイナの音声を選び出すプログラムの開発の経過や、その結果わかってきた生態についての報告があり、ヤンバルクイナを研究している尾崎副所長と今後の課題や方向について討議しました。
キヤノン株式会社よりアホウドリ調査用撮影機材一式を寄贈いただきました
絶滅危惧種アホウドリの小笠原再導入プロジェクトでは、2008年から5年間にわたり伊豆諸島鳥島から小笠原群島聟島に移送して巣立たせた個体がぞくぞくと聟島に帰還しつつあります。これらの個体は番号つきの色足環を装着していますが、帰還した個体を驚かさずに足環を記録するため超望遠レンズによる撮影が必要です。
この度、キヤノン株式会社よりこのために800ミリ望遠レンズとデジタルカメラ本体を含む撮影機材一式をご寄贈いただけることが決まり、本日山階鳥類研究所で同社の渉外本部CSR推進部の木村純子部長から出口智広研究員に機材一式をお渡しいただきました。
この機材で、アホウドリの帰還状況の把握を進めたいと考えています。ご寄贈大変ありがとうございました。
ドードー、出発!
インド洋に浮かぶマスカリン諸島に17世紀ごろまで生存していたとされるドードー、そのドードーのレプリカが6月21日、梱包されて山階鳥研から搬出されました。
ドードーは、ハトに近縁とされる飛べない鳥で、人間が乱獲したり、持ち込まれたサルやブタ、ネズミなどによって卵やヒナが食べられた結果絶滅してしまったとされ、ルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」にも登場するので、多くの方が名前をご存知と思いますが、じつは完全な剥製は世界のどこにも残されていません。
このレプリカは剥製師さんが、コンテスト出品のためにいろいろな鳥の羽毛を活用してつくられたレプリカで、コンテスト出品後、山階鳥研にご寄贈いただきました。今回は、萩博物館で開催される、「トレジャーアニマル探究記」の展示のために貸し出されたものです。
この夏休み、もし萩の近くに行かれる機会がありましたら、このドードーの顔も見にぜひお立ち寄りください。山階鳥研の鳥の資料のなかでも人気者のひとつです。
【名称】 萩博物館特別展「トレジャーアニマル探究記」
【会期】 平成25年7月6日~9月8日
【会場】 萩博物館
〒758-0057 山口県萩市堀内355
電話 0838-25-6447 (萩博物館)
※ 詳細は萩博物館公式ウェブサイト、萩市観光ポータルサイトをご覧ください。
アオバト お江戸日本橋に飛来
関東地方の平野部で普通見られるハトというと、しばしば「山鳩」と呼ばれるキジバトと、家禽由来のドバト(カワラバト)があげられます。アオバトは、東京周辺では、秩父、奥多摩、丹沢などの山に登ると、遠くで「オアオ〜」という声が聞こえるというような鳥です。また、アオバトは海岸の岩礁などに、山中から海水を飲みに飛来することが知られている興味深い鳥でもあります。
昨日、そのアオバトが1羽、東京日本橋のデパートの屋上のガラスに衝突して死んでしまいました。デパートの総務の方から電話をいただき、研究材料としてご寄贈いただけるということで、本日、山階鳥研に到着しました。ご寄贈ありがとうございました。
キジバトよりも大きく、ご覧のように頭から体の上面が抹茶のような濃い緑色をした美しいハトです。尾羽の下側を支える下尾筒(かびとう)の羽毛の中央が緑色で、ふちが幅広くクリーム白色をした美しいパターンをしています。
近くまで来て屋上緑化に引き寄せられたのはわかるとしても、今の時期は山地の森林で繁殖している時期のはずで、そもそもこの時期に東京の都心に飛来した理由が何なのか、興味をそそられます。
山階鳥研では研究用に拾得死体を収集しており、鳥体の状態や、山階鳥研の既存の標本等の所蔵状況をみながら、研究用剥製標本、骨格標本、DNAバーコーディングなどのためのDNA分析用の組織サンプル、CTスキャンによる骨格の3次元データの取得などを行って研究に役立てています。このアオバトもこれから状態を判断してしかるべき標本やサンプル、データ等を採取することになります。
この記事をお読みの皆さんも、野鳥の死体を見つけられましたら、山階鳥研までご一報いただければ幸いです。
山階鳥研の研究用鳥類標本についてはこちらをご覧ください。
山階鳥研でこれまでに収集した標本のデータベースはこちらをご覧ください。
DNA配列をもとにして生物の種を簡便に判別する取り組み「DNAバーコーディング」はこちらをご覧ください。
CTによる骨格の3次元データの取得についてはこちらご覧ください。