昨年度の質問対応から/キヤノン株式会社よりアホウドリ調査用撮影機材一式の寄贈/GBIFを介した国際情報発信〜山階鳥研NEWS 9月号

news_1309s03_3山階鳥類研究所の広報紙「山階鳥研NEWS」9月号が発行になりました。
山階鳥研では昨年度1年間に、広報担当だけで626件の質問をいただきました。ほかに各部署の業務に関連した内容などは各部署に直接連絡をいただきます。またそれぞれの所員あてに直接質問をいただくこともあります。こういった広報担当以外への質問については統計がありませんが、これらを含めると所内全体での対応件数は年間800件以上にのぼるでしょう。今回は、広報担当によせられる質問への対応状況をご紹介しました。またキヤノン株式会社より撮影機材のご寄贈をいただいた件をご報告したほか、また、標本データの国際的情報発信としてGBIF(ジービフ)を経由した情報共有の取り組みも紹介しました。
鳥にまつわる言葉を紹介する小コラム「とりのことば」、今号は「ツイッター」です。
「山階鳥研NEWS」2013年9月号 目次
1面   表紙写真(ジョウビタキ) 賛助会員 宮 健夫
2-3面  昨年度の質問対応から
4面  キヤノン株式会社よりアホウドリ調査用機材一式を寄贈/GBIFを介した国際情報発信/ テーマトークご案内
5面  鳥学講座ご案内/見にレクチャー5ご案内
6面  関西地区賛助会員の集い開催しました/尾崎副所長が大仙市で講演
7面  鳥の骨展開催中/小笠原でアホウドリのパンフレット配布
8面  林所長が国立科博館長に就任/事務局から(賛助会員/ご寄附)/とりのことば/編集後記
「山階鳥研NEWS」は、山階鳥研の活動や、鳥学研究や鳥の話題をやさしく紹介するニュースレターです。賛助会員に入会いただきますと、隔月でお送りいたします。
※賛助会員のご入会は「ご支援のお願い」をご覧ください。
山階鳥研NEWSのこれまでの号の目次はこちらです。

アメリカの大学で研究している日本人研究者がセミナーを行いました

seminar_suzuki_yasuko今日来所したのは、オレゴン州立大学魚類・野生生物学科で博士研究員として仕事をされている、鈴木康子さんです。
セミナーは「米国コロンビア川における魚食性鳥類のサケ稚魚への食害と対策」というタイトルで、鈴木さんは、地元の漁業や釣りの重要な対象種であるサケ科の魚類にたいする、オニアジサシとミミヒメウによる食害について、科学的な方法で食害の状況を明らかにし、それぞれの種の生態に応じた対策を研究している状況を紹介しました。

中国のトキ関係者が研修しました

jica28月28日、国際協力機構(JICA)の「人とトキが共生できる地域環境づくりプロジェクト」の「モニタリング技術研修」として約1週間の予定で来日中の、中国のトキ飼育担当者ほか3名が山階鳥研を訪れ研修を行いました。
JICAの担当者2名に伴われて来所した一行は、山階鳥研の概要と鳥類標識調査についてレクチャーを受け、標本と図書の管理状況を見学しました。
※画像は、同行したJICAの研修監理員(写真奥右)とともに、鶴見みや古自然誌研究室長(奥左)から標本管理について説明を受ける中国のトキ関係者です。

自動販売機を使った絶滅危惧種ヤンバルクイナ生態調査プロジェクトの関係者が来所しました

yamabarukuina日本コカ・コーラ(株)、沖縄コカ・コーラボトリング(株)とNPO法人どうぶつたちの病院は、清涼飲料の自動販売機に設置したICレコーダーで、年間を通じてヤンバルクイナの声を録音するプロジェクトに協働して取り組んでいます。
これは本種の音声を周年録音することで、生態に不明な点の多い絶滅危惧種ヤンバルクイナの生態を明らかにし保護に役立てようとするものです。山階鳥研では企画段階からこのプロジェクトに協力していますが、本日、プロジェクトの関係者が経過報告のため山階鳥研を訪れました。
来訪したのは、音声データの分析によってこのプロジェクトに協力している沖縄工業高等専門学校の蔵屋英介先生と、宇根健一郎さん、蔵屋沙那恵さんの学生さん2名、日本コカ・コーラ(株)技術・サプライチェーン本部の中村遂彦さん、沖縄コカ・コーラボトリング(株)CSR推進課の比嘉まゆみさんです。長時間にわたる録音データからヤンバルクイナの音声を選び出すプログラムの開発の経過や、その結果わかってきた生態についての報告があり、ヤンバルクイナを研究している尾崎副所長と今後の課題や方向について討議しました。

8月9日(金)は一斉休業します

tree_sparrows_s昨年、一昨年に引き続き、夏季の節電対策として山階鳥研は、照明、空調の使用抑制等に加えて、夏季に2日間の一斉休業日をもうけました。これにより、7月26日(金)に引き続き、8月9日(金)を一斉休業とします。ご関係の皆様にはご不便をおかけいたしますが、ご了承ください。
「夏季一斉休業のお知らせ」はこちらです。

8月のテーマトークは「鳥類の分類はなぜ変わるのか、どのように変わったか」(8月10日(土))です

peregrinefalcons_w_cap_2太平洋高気圧が今日あたりから勢いを盛り返し、関東地方ではしばらく猛暑が続くという予報ですが、皆様夏ばてなどされていませんでしょうか。
山階鳥類研究所の所員が我孫子市鳥の博物館で出前トークをする、第2土曜日恒例の「テーマトーク」、8月は下記の要領で今週末です。
今回は鳥の分類のお話です。熱心なバードウォッチャーの皆さんは、昨年秋に日本鳥学会から、日本鳥類目録改訂第7版が出版されたことをご存じの方も多いでしょう。
この第7版では、ハヤブサ類がタカ目から切り離され、インコ目とスズメ目のあいだに配置されるなど、前版までの分類体系に大幅な変更が加えられています。分類体系はなぜ変化するのでしょうか。また第7版の体系は第6版のものからどのように変化したのでしょうか。日本鳥学会の第7版分類担当編集委員の山崎剛史・自然誌研究室研究員が解説します。
第28回 「鳥類の分類はなぜ変わるのか、どのように変わったか」
【講師】山崎剛史 山階鳥研自然誌研究室研究員
【日付】8月10日(土)
【時間】13時15分~ ※30分のテーマトーク終了後、質疑応答の時間あり
【場所】我孫子市鳥の博物館 2階多目的ホール
【参加費】無料(入館料が必要です)
【定員】先着50名
【主催・問い合わせ先】
山階鳥類研究所(TEL. 04-7182-1101)、我孫子市鳥の博物館(TEL. 04-7185-2212)
日本鳥類目録改訂第7版については日本鳥学会のこちらのページをご覧ください。
山階鳥類研究所のイベント情報はこちらです。
我孫子市鳥の博物館では、「鳥の骨展」(我孫子市鳥の博物館・山階鳥類研究所 共催)が開催中です。

研修生を受け入れました

goto_yuka_san_mist_netting7月18日〜8月1日の2週間、大阪コミュニケーションアート専門学校エコスペシャリスト科野生動物保護専攻の後藤由香さんを、同校からの依頼で、「業界研修」として受け入れました。
後藤さんは、自然誌研究室での図書・標本の整理や、保全研究室での、鳥類標識調査やデータ整理の研修を行いました。

※画像は、尾崎清明副所長の指導でカスミ網による鳥類標識調査の研修をおこなう後藤由香さん。

我孫子市鳥の博物館で「鳥の骨展」が始まっています

torinohoneten_03_3コアなファンがいて最近評判の、生き物の「骨」ですが、鳥の骨にも、鳥そのものの生き方が現れており、またそれぞれの種ごとの違いは、それぞれの種の生態の違いが反映しています。
我孫子市鳥の博物館で開催中の企画展「鳥の骨展」は、こういった鳥の骨をとことん掘り下げるもので、山階鳥類研究所と同博物館の共催で7月13日(土)から始まっています。この展示を見れば、鳥がどんな生き物かについてまたひとつ新たな視点をえることができるでしょう。
山階鳥類研究所が協力したX線CT(コンピュータ断層撮影)を用いた骨のアニメーション(写真下)も必見です。
夏休みのお子さんには興味つきない展示と思いますし、また大人の鳥好きの方にも楽しんでいただけると思います。ぜひ多数の皆さんのご来観をお待ちしています。
我孫子市鳥の博物館 第66 回企画展
鳥の骨展 ー空飛ぶ骨組みー

【日時】2013年7月13日(土)〜12月1日(日)9時30分~16時30分
月曜休館(祝日の場合は翌平日休館)
【場所】我孫子市鳥の博物館(千葉県我孫子市 電話 04-7185-2212)
アクセスは こちら
【入館料】一般 300円 高校・大学生 200円 くわしくはこちら
【共催】我孫子市鳥の博物館、公益財団法人山階鳥類研究所
【後援】文部科学省科学研究費補助金新学術領域生物規範工学
【協力】千葉大学大学院工学研究科劉浩研究室、鳥博友の会
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「鳥の骨展 」のようすをもっとご覧になりたい方はこちらをご覧ください。
山階鳥類研究所の、X線CTを用いた鳥の形態データベース構築はこちらをご覧ください。
山階鳥類研究所のイベント情報はこちらです。

キヤノン株式会社よりアホウドリ調査用撮影機材一式を寄贈いただきました

canon_dentatusiki絶滅危惧種アホウドリの小笠原再導入プロジェクトでは、2008年から5年間にわたり伊豆諸島鳥島から小笠原群島聟島に移送して巣立たせた個体がぞくぞくと聟島に帰還しつつあります。これらの個体は番号つきの色足環を装着していますが、帰還した個体を驚かさずに足環を記録するため超望遠レンズによる撮影が必要です。

この度、キヤノン株式会社よりこのために800ミリ望遠レンズとデジタルカメラ本体を含む撮影機材一式をご寄贈いただけることが決まり、本日山階鳥類研究所で同社の渉外本部CSR推進部の木村純子部長から出口智広研究員に機材一式をお渡しいただきました。

この機材で、アホウドリの帰還状況の把握を進めたいと考えています。ご寄贈大変ありがとうございました。

山階鳥研のウェブページ「アホウドリ 復活への展望」はこちらです。