カリガネの渡りルート追跡成功/聟島のアホウドリ第3世代誕生/創立90周年記念企画 ほか「山階鳥研NEWS」2022年5月号

山階鳥類研究所の広報紙「山階鳥研NEWS」2022年5月号(No.301)をご紹介します。

冒頭では、カリガネの渡りルート追跡に日本で初めて成功した記事を。カリガネは絶滅危惧種に指定されている渡り性のガン類で、今回の新知見は、発信器で追跡し解明されたものです。山階鳥研の澤研究員らが地球環境基金の助成を受けて実施しました。

続いてアホウドリのニュースを。新繁殖地形成を目的にアホウドリのヒナを移送した小笠原諸島聟島で、人工飼育して巣立った個体の第3世代(孫世代)が誕生したことが確認されたニュースを。

また、山階鳥研創立90周年記念の企画、今号は多摩動物公園・上野動物園の園長を歴任された齋藤勝さんに、渋谷区南平台時代の思い出をお話しいただきました。

今号の「鳥のモニュメント」は南の島の猛禽類 はいーぐる(沖縄県石垣市)です。

その他、文部科学省科学研究費補助金(特定奨励費)の研究成果発表会の報告、今年度の事業計画などのほか、イベント情報なども掲載しました。

「山階鳥研NEWS」2022年5月号(第301号) 目次(敬称略)
1面
 表紙写真(カケス) 賛助会員 河田文昭
2面 カリガネの渡りルート追跡に日本で初めて成功
3面 聟島のアホウドリ近況/「鳥の博物館基金」へのご寄附のお願い
4面
 創立90周年記念企画 山階鳥類研究所で思い出すこと (公財)東京動物園協会顧問 齋藤 勝
5面 我孫子野鳥を守る会創立50周年記念行事/手賀沼探鳥会
6面 文部科学省特定奨励費研究成果発表会を開催/所員の著書
7面 福島潟と渡り鳥のシンポジウム開催/令和4年度事業計画と収支予算
8面 鳥のサイエンストーク/山階武彦助成事業対象者/表紙写真応募御礼 /鳥のモニュメント/事務局から(賛助会員・ご寄附)/編集後記

「山階鳥研NEWS」は、山階鳥研の活動や、鳥学研究や鳥の話題をやさしく紹介するニュースレターです。賛助会員に入会いただきますと、隔月でお送りいたします。
* 賛助会員のご入会は「ご支援のお願い」をご覧ください。
* 山階鳥研NEWSのこれまでの号の目次はこちらです。

こちらも合わせてごらんください。
山階鳥研ウェブサイト イベント情報ページ

7月19日(火)は一斉休業します 

山階鳥研は、本年も夏季の節電対策として、照明、空調の使用抑制等に加えて、通常は職員がそれぞれの都合で取る夏期休暇のうち2日間について、一斉休業し、その1回目を 7月19日(火)に実施します。ご関係の皆様にはご不便をおかけいたしますが、ご承知おきください。

森本研究員が共著で執筆した『動物の体色がわかる図鑑』が出版されます。

所員の著書をご紹介します。

動物の発色の仕組みや機能について網羅的に解説した他にない和書です。鳥類、哺乳類、昆虫といった分類群別パートだけでなく、構造色や恐竜などのトピックでの解説パートもあり、どれも図や写真を豊富に使いながら分かりやすく解説されています。本書の鳥類パートを、森本元 研究員が、慶応大の秋山名誉教授との共著で執筆しています。

7月8日に店頭に並ぶ予定です。是非書店でお求めください。各販売サイトでもご購入いただけます。

<書籍情報>
書名: 動物の体色がわかる図鑑
監修:秋山 豊子
編・著:池田譲、伊藤祥輔、合田真、近藤滋、四宮愛、高橋明義、橋本寿史、廣部知久、福澤利彦、二橋美瑞子、二橋亮、持田浩治、森本元、吉岡伸也、若松一雅
発行:グラフィック社 版元サイト
判型/頁:B5判/324頁
発行日:2022年7月25日

*山階鳥研ウェブサイト「所員の著書」ページもあわせてご覧ください。 → こちら

今日、7月5日は山階芳麿博士の誕生日です

山階鳥研の創立者、山階芳麿は、122年前の今日、1900年7月5日に当時の東京市麹町で生まれ、鳥類の研究と保護に一生を捧げました。

戦前にはアジア・太平洋地域の鳥類の分類学に多大な貢献をした山階芳麿でしたが、戦後は鳥類保護に力点を移し、日本の鳥類保護のリーダーとして日本およびアジアの鳥の保全のために尽力しました。コウノトリ、トキなど、絶滅の瀬戸際にあった鳥の保全のため、各地の関係者と連絡を取り、保護への協力を依頼するとともに、自らも現地に出向いて情報収集し、保護対策を提案し、地域社会の理解を得ることに尽力しました。

写真は、1959年5月に、トキの生息地である能登半島に視察に出向いた際の写真です。すでに戦後から極めて少なくなっていたトキはこの頃さらに急減しており、佐渡と能登半島をあわせて10羽あまりまでに減少していました。この時は、山階芳麿は日本野鳥の会会長の中西悟堂と石川県を訪れ、地元の鳥類保護関係者の同行をえて、輪島市洲衛と羽咋市眉丈山の2カ所の生息地を視察しています。そして実際の視察の結果と現地関係者からの聞き取りを踏まえて、伐採の見合わせや一部の水田や用水池を農業生産から切り離してトキのために取り分けること、新聞社が取材のために生息地に入ることを控えること等極めて具体的な保護施策への協力依頼をしました(中西悟堂, 1960「野鳥」25巻1号(通巻199号),  pp. 37-53)。

※写真は、前列左から中西悟堂(日本野鳥の会会長)、山階芳麿、村本義雄(後に日本鳥類保護連盟理事)、熊野正雄(金沢大学教授、日本野鳥の会石川支部長)、松田衛(後に日本野鳥の会石川支部長)、その後ろに高野伸二(山階鳥研)の顔が見えます。

※山階鳥研では、この写真も含め、従来、整理の手が回っていなかった、古い書類、書簡、写真などの資料類の整理に着手しています。

山階鳥研の創立者、山階芳麿の略歴はこちらをご覧ください。

献本ありがとうございます。『日本書紀の鳥』

著者から出版社を通じてお送りいただきました。こちらでご紹介するとともに、書庫に納めて活用いたします。ご寄贈大変ありがとうございました。

山岸 哲・宮澤 豊穂 著
『日本書紀の鳥』

京都大学学術出版会, 京都. (2022年5月15日発行, 294ページ. 2,420円 (本体:2,200円). ISBN-978-4-8140-0405-8)
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献本ありがとうございます。『探す、出あう、楽しむ 身近な野鳥の観察図鑑』

出版社を通じて著者から広報にお送りいただきました。こちらでご紹介するとともに、書庫に納めて活用いたします。ご寄贈大変ありがとうございました。

樋口広芳(監) 髙野丈(著) マツダユカ(マンガ・イラスト)
探す、出あう、楽しむ 身近な野鳥の観察図鑑

ナツメ社, 東京. (2022年3月17日発行, 384ページ. 1,650円 (本体:1,500円). ISBN-978-4-8163-7167-7)
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献本ありがとうございます。『となりのハト 身近な生きものの知られざる世界』

出版社を通じて著者から広報にお送りいただきました。山階鳥研が取材に協力しました。こちらでご紹介するとともに、書庫に納めて活用いたします。ご寄贈大変ありがとうございました。

柴田佳秀(著)
『となりのハト 身近な生きものの知られざる世界』

山と溪谷社, 東京. (2022年3月19日発行, 224ページ. 1,485円 (本体:1,350円). ISBN-978-4-635-06310-4)
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献本ありがとうございます。『散歩道の図鑑 あした出会える野鳥100』

出版社を通じて著者から広報にお送りいただきました。こちらでご紹介するとともに、書庫に納めて活用いたします。ご寄贈大変ありがとうございました。

著者: 柴田佳秀(文) 菅原貴徳(写真) piro piro piccolo(イラスト)
『散歩道の図鑑 あした出会える野鳥100』

山と溪谷社, 東京. (2022年3月19日発行, 192ページ. 1,760円 (本体:1,600円). ISBN-978-4-635-06306-7)
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献本ありがとうございます。『我孫子野鳥を守る会創立50周年 手賀沼の鳥IVー人と鳥との共存をめざしてー』『手賀沼の鳥 探鳥ガイドブック』

創立50周年を迎えた「我孫子野鳥を守る会」より、山階鳥研にご寄贈いただきました。こちらでご紹介するとともに、書庫に納めて活用いたします。ご寄贈大変ありがとうございました。

手賀沼の鳥IV編纂事業部会(編)
『我孫子野鳥を守る会創立50周年 手賀沼の鳥IVー人と鳥との共存をめざしてー』
我孫子野鳥を守る会, 千葉. (2022年3月1日発行, 244ページ.)

創立50周年記念事業実行委員会(編)
『手賀沼の鳥 探鳥ガイドブック』
我孫子野鳥を守る会, 千葉. (2022年3月10日発行, 72ページ.)

献本ありがとうございます。『人と動物の日本史図鑑⑤昭和時代後期から令和時代』

出版社を通じて著者から広報にお送りいただきました。こちらでご紹介するとともに、書庫に納めて活用いたします。ご寄贈大変ありがとうございました。

小宮輝之(著)
『人と動物の日本史図鑑 ⑤昭和時代後期から令和時代』

少年写真新聞社, 東京. (2022年3月10日発行, 48ページ. 2,750円 (本体:2,500円). ISBN-978-4-87981-747-1)
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