月別アーカイブ: 2015年9月

海鳥のマミジロアジサシがイランから沖縄県名護市に 飛来したことが「鳥類標識調査」によって確認されました

マミジロアジサシ参考d_DSC04932sマミジロアジサシは、チドリ目カモメ科の海鳥で、インド洋、太平洋、 大西洋の熱帯・亜熱帯に分布します。

このたび、イランでヒナのときに「鳥類標識調査」の足環を付けられたマミジロアジサシが、沖縄県名護市まで飛来したことが確かめられました。日本とイランの間で野鳥の移動が確かめられたのはこれが初めてで、9月25日に報道発表を行いました。

鳥類標識調査は、鳥類を捕獲し、個体識別用の足 環を装着して放鳥するもので、鳥類の渡りや寿命などの 様々な生態を明らかにする目的で実施されており、近年 では、鳥類生息状況のモニタリングのためにも活用され ています。今回のような稀な移動は、鳥類標識調査を行っていて初めてわかることです。日本に飛来する多くの種で渡りの詳細はわかっていませんので、引き続き調査を継続して、今回のような実例を積み重ねていくことが重要と考えています。

※ プレスリリースはこちらをご覧ください。
※ 鳥類標識調査については、山階鳥研のウェブページ「渡り鳥と足環」をご覧ください。

(写真はマミジロアジサシ。今回移動が判明した個体ではありません)

「記録映画『鳥の道を越えて』お礼上映とトークの集い」(9月26日13:30〜、我孫子市)を開催します

マスコミ提供画像−1(メイン)山階鳥研の地元我孫子市で記録映画『鳥の道を越えて』の上映と、監修した山階鳥研保全研究室の佐藤研究員(写真下)と、今井友樹監督(写真上左)のトークが行われます。

秋になるとおびただしい数が渡ってきていた渡り鳥と、その渡り鳥を生活の糧とするため、 人々の暮らしの中で行われていた鳥猟を取り上げて、2014 年に公開された記録映画「鳥の道を越えて」は、科学技術映像祭内閣総理大臣賞など、下記のような各種の賞を受賞しました。

マスコミ提供画像−2この映画で取り上げられているカスミ網猟は現在禁止されていますが、カスミ網猟の鳥屋 場(とやば)の中には、渡り鳥の移動や生態を解明するために山階鳥類研究所で行っている調 査の調査地として引き続き活用されている場所があります。そのような中のひとつ、福井県越 前町の調査地で調査を行っている山階鳥類研究所の佐藤文男研究員がこの映画の監修を担当し ました。

そのような背景から、今回、今井友樹監督のご好意で、山階鳥研の地元我孫子市でのお礼 上映が実現する運びとなりました。さらに今回は、監修の佐藤研究員と今井監督によるトーク で、鳥類の生態や環境問題、伝統文化について考えてみたいと思います。

多くの皆様のご参加をお待ちしています。

 JBFプレイベント
記録映画『鳥の道を越えて』お礼上映とトークの集い
【映画】『鳥の道を越えて』監督:今井友樹、監修:佐藤文男、製作:工房ギャレット、93分
★☆★ 文化庁映画賞文化記録映画優秀賞、グリーンイメージ国際環境映像祭グリーンイ メージ賞、キネマ旬報ベストテン文化映画部門第1位、科学技術映像祭内閣総理大臣賞 ☆★☆
【トーク】今井友樹(映画監督)・佐藤文男(山階鳥類研究所研究員)
【日時】2015年9月26日(土)13:30〜16:00(開場 13:00)
【場所】我孫子市手賀沼親水広場・水の館 3階研修室
千葉県我孫子市高野山新田193 google map
(JR常磐線我孫子駅南口からバス 我孫子市役所下車徒歩5分) 阪東バス時刻表
【定員】150名・先着順
【参加費】無料(事前の申込みは要りません)
【主催・問い合わせ】我孫子市鳥の博物館(電話 04-7185-2212)
(公財)山階鳥類研究所(広報担当 電話 04-7182-1101)

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報道資料はこちらです。
鳥類標識調査についてはこちらをご覧ください。
山階鳥研のイベント情報はこちらです。

 

献本ありがとうございます

著者から献本いただき、紹介のご依頼もいただいた書籍です。

日本のスズメの歴史

田口文男『日本のスズメの歴史』著者自刊. (2015年8月15日発行、668ページ、非売品)

著者の田口さんからのメッセージとして、限定300部の自費出版で市販はしていませんが、全国主要都市の図書館に寄贈しているので、寄贈先の詳細については、メールアドレス passeroitaliano★gmail.com (★を@に変えてください)まで、「山階鳥類研究所広報ブログ」を見た旨書いて、お問い合わせください、とご連絡いただいています。

献本ありがとうございます

出版社から紹介の依頼を付して献本いただいた書籍です。ご寄贈大変ありがとうございました。

世界の美しき鳥の羽根s

藤井幹(著)、松橋利光(写真)、舘野鴻・かわしまはるこ(イラスト)
『世界の美しき鳥の羽根』誠文堂新光社, 東京. (2015年9月10日発行、192ページ、3,200円+税、ISBN978-4-416-71553-6) → 版元ページはこちら

9月のテーマトークはお休みです

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山階鳥類研究所の所員が我孫子市鳥の博物館でトークをする、第2土曜日恒例の「テーマトーク」、9月は明日、9月12日が開催日となりますが、都合により9月はお休みします

次回の開催は、10月10日(土)です。お楽しみに。

※ 山階鳥類研究所のイベント情報はこちらです。

★なお、テーマトークの今年のその後の予定ですが、10月に開催のあと、11月はお休みさせていただき、その次は、12月12日(土)の開催です。よろしくお願いします。

 

アホウドリが大人の羽色になるのは何歳か、ご存じですか?〜「アホウドリ展」があと2日、今週日曜日までです!

ageing_STALこの夏、我孫子市鳥の博物館で開催されてご好評をいただいている「アホウドリ展ー復活への挑戦ー」もいよいよ会期が残すところあとこの土日のみになりました。

アホウドリの歴史、生態、保護活動などさまざまな情報を展示物で紹介した見応えのある展示です。まだご覧になっていないかたはぜひお急ぎください。

展示の中から今日は少し、マニアごのみの話題を・・。アホウドリは大人の羽色になるのに時間がかかることが知られていますが、本によって5年以上とか、7〜8年といったことが書いてあることもあると思います。今回の展示では、足環で個体識別して年齢がわかっている個体の写真が年齢ごとに展示してあります。それを見ると驚いたことに、こんな年になってもまだ完全な大人の羽色にならないのか、というのがわかります(写真上;詳細は実際に展示をご覧ください)。

さらに、最近、遺伝的に相当距離が離れていることが明らかにされた、尖閣諸島の個体群の鳥と、従来から知られていた鳥島の鳥の「顔が違う」という話題も展示になっています(写真下)。
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第72回鳥の博物館企画展「アホウドリ展-復活への挑戦-」

【期間】2015年7月11日(土)〜 9月6日(日)
【場所】我孫子市鳥の博物館 2階企画展示室 → 交通案内
【共催】公益財団法人山階鳥類研究所・我孫子市鳥の博物館
【料金】無料(入館料がかかります)
【問合せ】電話04-7185-2212(我孫子市鳥の博物館)

※ 山階鳥研ウェブサイトの「アホウドリ最新情報」はこちらです。
※ 同じく「アホウドリ 復活への展望」はこちらです。
※ 山階鳥類研究所のイベント情報はこちらです。

 

またの名をトケン類、カッコウの仲間が、越冬地への旅立ち前に無言のまま我孫子を通過してゆきます

tsutsudori01山階鳥研のすぐ目の前に広がる手賀沼沿いにある遊歩道の桜並木に、ふだんは見慣れない鳥がとまっています。

この鳥はツツドリといって、日本には夏鳥として、つまり初夏に繁殖のために渡ってくる鳥です。日本の山地の森林での繁殖を終えて、東南アジアなどの越冬地への旅立ち前に、平野部を通過してゆくのです。

山登りをする方は、5月から6月のころ、緑の深い森のなかから、ポポ、ポポ、・・・というこの鳥の声がするのを聞かれたことがあるでしょう。この鳥はカッコウ科という、カッコウやホトトギスの仲間で、カッコウやホトトギスと同様、自分では巣を作らず、他の種の鳥の巣に卵を産みこんで育てさせる「托卵」という習性を持っています。

カッコウの仲間の鳥たちはガの幼虫(毛虫)が好物です。このツツドリがとまっているサクラの木も、毛虫のせいで、丸坊主になってしまっているのが写真でおわかりと思います。

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毛虫がたくさんいて、彼らにはご馳走なのでしょう、遊歩道にはあちらこちらと何羽もツツドリがいるようです。地元の熱心な鳥好きの方たちによるとホトトギスも観察されたとのこと。この仲間は姿が互いにそっくりで、識別に役立つ声も今は出すことがなく、見分けが非常に難しいのですが、そこがまたたまらない、という鳥好きもいそうです。

これから南の越冬地へ旅立つカッコウ類たちの毛虫パーティはひとときのこととは思いますが、いつごろまで見られるでしょうか。個体が入れ替わっているのか、同じ個体が長くいるのかなども興味深いところです。

※ 「トケン(杜鵑)」とはホトトギスのことで、杜鵑類とは、現在はカッコウ科と言われているこの仲間の古い呼び方です。

奥野卓司副所長就任/鳥類標識調査の最近の成果(長寿記録と驚くべき移動、そして地球温暖化に対する鳥類の応答)/オンライン蔵書検索リニューアル〜「山階鳥研NEWS」9月号

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山階鳥類研究所の広報紙「山階鳥研NEWS」9月号の内容紹介です。

この号は、さながら鳥類標識調査の小特集のようになりました。足環による個体識別をする標識調査はまず渡りの調査というイメージがあるでしょうが、寿命のデータを得ることも大きな目的です。近年は渡り経路を知るためには各種の発信器やロガーと呼ばれるハイテクな器機も使われていますが、野鳥の寿命については足環に代わるハイテク器機は存在しないのです。今回わかったホウロクシギの20年3ヶ月の記録も足環でしか得られない重要なデータです。さらに移動、渡りの新情報としてマミジロアジサシとマミチャジナイでめざましい成果が得られました。さらにこの号ではこういった標識調査の古典的な成果にくわえ、再捕獲のデータに限らず、最初に捕獲した際のデータをもとに、地球温暖化への鳥類の応答を探った、新しいタイプの成果もお知らせすることができました。この地球温暖化への応答に関する成果については、5月に報道発表して、メディアにも取り上げられました。

鳥にまつわる言葉を紹介する小コラム「とりのことば」、今号は「若い燕」です。至ってまじめな内容です(^^)のでご一読ください。

「山階鳥研NEWS」2015年9月号 目次

1面 表紙写真(カンムリワシ) 賛助会員 佐野昌男
2面 奥野卓司副所長就任/ホウロクシギの長寿記録/イランからマミジロアジサシが飛来
3面 マミチャジナイがボルネオで越冬
4面 東南アジアからの渡り鳥 渡来と繁殖時期早期化の傾向
5面 オンライン蔵書検索リニューアル/野田市でコウノトリが放鳥
6面 イベント告知(「鳥の道を越えて」上映会/JBF鳥学講座スペシャル/JBF見にレクチャー)
7面 関西地区賛助会員集い報告/イベント告知(手賀沼流域フォーラム/テーマトーク)
8面 事務局から/とりのことば

鳥類標識調査については、山階鳥研のウェブサイトから「渡り鳥と足環」をご覧ください。

「山階鳥研NEWS」は、山階鳥研の活動や、鳥学研究や鳥の話題をやさしく紹介するニュースレターです。賛助会員に入会いただきますと、隔月でお送りいたします。

※賛助会員のご入会は「ご支援のお願い」をご覧ください。
※山階鳥研NEWSのこれまでの号の目次はこちらです。

新旧理事長のご挨拶/タマシギの繁殖生態/ツバメの巣の放射性セシウム調査/H26年度寄附金・賛助会員収入と会員数ご報告〜「山階鳥研NEWS」7月号

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山階鳥類研究所の広報紙「山階鳥研NEWS」7月号の内容紹介をまだ掲載していませんでした。

6月12日をもって島津久永理事長が退任し、壬生基博理事長が就任いたしましたので、それぞれ「退任のごあいさつ」「就任のごあいさつ」を掲載しました。さらに、2015年3月末をもって定年退職した、米田研究員が執筆したタマシギの繁殖生態の記事を掲載しました。鳥はほとんどが一夫一妻ですが、一夫多妻、一妻多夫、多夫多妻などの繁殖形態もあります。米田研究員はまずさまざまな繁殖形態について概観してから、一妻多夫とされるタマシギの事例を考察しており、わかりやすい記事になっていると思います。ツバメの巣の放射性セシウム調査は5月に報道発表して、メディアにも取り上げられた内容です。

鳥にまつわる言葉を紹介する小コラム「とりのことば」、今号は「アルバトロス」です。

「山階鳥研NEWS」2015年7月号 目次
1面 表紙写真(ヤマガラ) 賛助会員 大浦晴壽
2面 退任のご挨拶  島津久永
3面 就任のご挨拶  壬生基博/アホウドリ展を見にきませんか
4〜5面 タマシギの繁殖生態「一妻多夫?」米田重玄 元保全研究室研究員
6面 全国のツバメの巣の放射性セシウムを調査/平成26年度寄附金・賛助会員収入と会員数ご報告
7面 平成26年度決算報告/中国地区賛助会員の集い報告/イベント告知(テーマトーク)
8面 事務局から/とりのことば
壬生新理事長の「就任のごあいさつ」はこちらからご覧になれます。

「山階鳥研NEWS」は、山階鳥研の活動や、鳥学研究や鳥の話題をやさしく紹介するニュースレターです。賛助会員に入会いただきますと、隔月でお送りいたします。

※賛助会員のご入会は「ご支援のお願い」をご覧ください。
山階鳥研NEWSのこれまでの号の目次はこちらです。