日別アーカイブ: 2016年12月22日

バードカービング作家の内山春雄さんがセミナーを行いました

uchiyama_seminarリアルな鳥の彫刻であるバードカービングの日本での草分けで、我孫子市在住の内山春雄さん(日本バードカービング協会会長)が、12月22日、山階鳥研で所員を対象に、最近の活動について話をされました。

内山さんは、視覚障害者に鳥について理解してもらう教材として、触れるバードカービング、「タッチカービング」を発案され、実際に視覚障害者に対する講演等も行っていますが、今年2月にハワイで行われた太平洋海鳥グループの年次大会で「タッチカービング」について講演を行いました。このときのハワイ訪問で、ハワイミツスイの仲間の適応放散が、「タッチカービング」による生物多様性についての教材にふさわしいことに気づき、9月に、再度ハワイを訪問し、ビショップ博物館で、多数の絶滅種を含む約40種のハワイミツスイ類の標本を閲覧し、完成まで数年を要すると見込まれるハワイミツスイ類全種のカービング作成のためのデータ収集をしてこられました。

今回のセミナーでは、2月の太平洋海鳥グループの大会での研究者へのプレゼンテーションや交流のようすや、考古・民族・自然誌の分野で名高いビショップ博物館の脊椎動物学部門での標本閲覧体験、そして、ハワイミツスイ類全種のカービング作成のプロジェクトについて話されました。

『「幻の鳥」オオトラツグミはキョローンと鳴く』献本ありがとうございました

出版社から紹介の依頼を付して献本いただいた書籍です。ご寄贈大変ありがとうございました。
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水田拓(著)
『「幻の鳥」オオトラツグミはキョローンと鳴く』東海大学出版部, 平塚. (2016年12月20日発行. B6版. 218ページ. 2,000円+税. ISBN978-4-486-02118-6.)→ 版元ページはこちら。

標識調査講習会を実施しました

%e3%83%90%e3%83%b3%e3%83%80%e3%83%bc%e8%ac%9b%e7%bf%92%e4%bc%9a1612162016年12月16日から18日の日程で、鳥類標識調査の従事者(バンダー)になるための講義講習会を山階鳥類研究所で実施しました。鳥類標識調査は、鳥類の移動や寿命などを番号つきの足環を使って調べる調査で、山階鳥研が環境省の委託を受けて実施しています。

今回参加したのは、北海道、関東、中国からの合計6名です。講習生は、資格のあるバンダーのもとで一定のトレーニングを積んだ上で、山階鳥研の職員の野外調査に参加して実技講習を受けて今回の講義講習会に臨んだもので、標識調査に必要な知識や技術、関連法規などの講義を受けています。

現在、全国で約450名が調査に従事しており、年間約15万羽が標識放鳥(捕獲し足環をつけて放すこと)されています。

標識調査のあらまし(「渡り鳥と足環」)はこちらをご覧ください。

冬鳥のカシラダカがIUCN(国際自然保護連合)の絶滅危惧種に加えられました

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カシラダカはホオジロ科の小鳥で、ユーラシアの西端のスカンジナビア半島から東端の極東ロシアまで広く繁殖し、ユーラシアの温帯地方の農耕地で越冬します。今回の指定は、スウェーデンの研究者らとともに、尾崎清明副所長・保全研究室長が共著者として加わった、日本での鳥類標識調査によるモニタリング結果を含む論文で、過去30年の間に75‒87%もの個体数が減少したことが明らかにされたことがきっかけになっています。

尾崎らによるカシラダカの減少に関する論文(Edenius et al. 2016. The next common and widespread bunting to go? Global population decline in the Rustic Bunting Emberiza rustica. Bird Conservation International.)の要旨(英文)はこちらをご覧ください。

尾崎副所長は、「カシラダカのような普通種でも、個体数の減少率が大きいと絶滅危惧に指定されるという例として注目したい。」と話しています。

IUCN(国際自然保護連合)は、1948年に世界的な協力関係のもと設立された、国家、政府機関、非政府機関で構成される国際的な自然保護ネットワークです。

※ 写真は、カシラダカ(撮影:西巻実氏/我孫子野鳥を守る会)