日別アーカイブ: 2019年3月4日

イチローとユキの最初の子が聟島に帰還しました

小笠原群島聟島におけるアホウドリの新繁殖地形成事業※において、イチローとユキの愛称で呼ばれるつがいから、2016年に最初に生まれた個体が、この繁殖期に聟島(むこじま)に帰還したことが、東京都の委託による山階鳥研の調査で確認されました。

イチローはこの事業で2008 年に聟島を巣立った人工飼育個体(色足環 赤Y01、11歳、雄)、ユキは野生個体(足環なし、雌)で、このつがいは2015〜16年の繁殖期以来、過去3シーズン連続で繁殖に成功しています。

山階鳥研が2019 年 2 月10日から17日まで聟島で行った調査において、イチローとユキの最初の子である2016年生まれの個体(色足環 赤Y75)の帰還が確認されました。

聟島で人工飼育した個体の子が小笠原諸島に帰還した事例はこれまでに、聟島から約5キロ南の媒島(なこうどじま)で、2009年生まれの人工飼育個体(色足環 赤Y11)から生まれ、2014年5月に巣立った雌個体(色脚環 緑M170)が、2017年3月1日に聟島に帰還した例があります。

なお、イチローとユキは今シーズンも繁殖して、現在、ヒナを順調に育てていますが、2017〜18年の繁殖期に産卵した卵が孵化に至らなかったつがい (2009年巣立ちの色足環番号 赤Y11の人工飼育雌個体と、未特定の雄)は今シーズンも産卵していましたが卵は孵化していませんでした。

※ この事業は、山階鳥研が、環境省、東京都、米国魚類野生生物局、 三井物産環境基金、公益信託サントリー世界愛鳥基金等の支援を得て、新しい繁殖地 を形成する目的で、伊豆諸島鳥島のアホウドリの雛を小笠原諸島聟島に移送(2008~ 2012 年)し、その後、東京都の委託調査としてモニタリングを実施しているものです。

※ 写真は、左から、Y75(イチローとユキの2016年生まれの子)、イチロー(2008年巣立ちの人工飼育個体)、ユキ(野生個体)、イチローとユキの今年生まれのヒナ(2019年2月15日、小笠原諸島聟島)。