山階鳥研のある我孫子ではツバメが去年の巣場所に戻って、巣の前の電線などでさかんに囀っています。皆様のお住まいの近くはいかがでしょうか?
一昨日4月17日と昨日4月18日、山階鳥研に接した林で、センダイムシクイのさえずりが聞かれました。
センダイムシクイは、スズメよりやや小さい、ウグイスによく似た黄緑色の鳥で、極東ロシアや中国東北地方、朝鮮半島、日本などで春から初夏に繁殖し、冬は東南アジアに渡って過ごします。日本では北海道から九州までの低山の落葉広葉樹林などで繁殖するいわゆる夏鳥です。我孫子の林でさえずりが聞かれるのは、越冬地から繁殖地への移動の途中に立ち寄ったものです。我孫子を通過するものがどこで繁殖するのかを知るのは難しいですが、これから日本の山地にある繁殖地に渡るのかもしれません。繁殖地にたどり着いたら雄は早速雌にアピールするためにさえずるのですが、そのためかどうか、すでに移動の途中からさえずっているのです。
鳥の鳴き声が、意味のある人の言葉を言っているように聞くのを「聞きなし」と言います。センダイムシクイのさえずりは、片仮名で書くと「チヨチヨビ〜ィ」と書くことができますが、聞きなしとして、「焼酎一杯ぐ〜い」という有名なものがあります。録音してみたので、そんなふうに聞こえるか聞いてみてください。1つめの録音では全部で5声聞こえます。1声めと2声め、3声めと4声めが互いに接するように聞こえるのは、おそらく2個体の雄がいてそれぞれ囀っているのだと思います。ほかにメジロのさえずり、大型ツグミ類の地鳴き、キジバトの鳴き声などが聞こえます。1つめの録音は他の鳥の声がいろいろ聞こえますので、2つめの録音はセンダイムシクイのさえずりだけが聞こえる部分を切り出しました。
【音声】センダイムシクイのさえずり(メジロ、大型ツグミ類、キジバトなどと一緒に。2017年4月17日、約30秒)
【音声】センダイムシクイのさえずり(2017年4月17日、約13秒)
これから、ゴールデンウィーク明けぐらいまで、さまざまな小鳥類などが、東南アジアなどの越冬地から繁殖地へ向かう途中で、平野部や都市部の思いがけない小さな緑地などに立ち寄ってほんの1日だったり数日だけさえずりを聞かせてくれます。この春はほかにどんな鳥たちが通過してゆくのか楽しみにしています。
【参考】「新緑の我孫子 エゾムシクイのさえずり」は、2013年5月にやはり山階鳥研でさえずりが聞かれた,センダイムシクイに近縁の同じく夏鳥、エゾムシクイの鳴き声に関する記事です。
※ 写真にはセンダイムシクイは写っていません。