投稿者「平岡考」のアーカイブ

7月19日(火)は一斉休業します 

山階鳥研は、本年も夏季の節電対策として、照明、空調の使用抑制等に加えて、通常は職員がそれぞれの都合で取る夏期休暇のうち2日間について、一斉休業し、その1回目を 7月19日(火)に実施します。ご関係の皆様にはご不便をおかけいたしますが、ご承知おきください。

今日、7月5日は山階芳麿博士の誕生日です

山階鳥研の創立者、山階芳麿は、122年前の今日、1900年7月5日に当時の東京市麹町で生まれ、鳥類の研究と保護に一生を捧げました。

戦前にはアジア・太平洋地域の鳥類の分類学に多大な貢献をした山階芳麿でしたが、戦後は鳥類保護に力点を移し、日本の鳥類保護のリーダーとして日本およびアジアの鳥の保全のために尽力しました。コウノトリ、トキなど、絶滅の瀬戸際にあった鳥の保全のため、各地の関係者と連絡を取り、保護への協力を依頼するとともに、自らも現地に出向いて情報収集し、保護対策を提案し、地域社会の理解を得ることに尽力しました。

写真は、1959年5月に、トキの生息地である能登半島に視察に出向いた際の写真です。すでに戦後から極めて少なくなっていたトキはこの頃さらに急減しており、佐渡と能登半島をあわせて10羽あまりまでに減少していました。この時は、山階芳麿は日本野鳥の会会長の中西悟堂と石川県を訪れ、地元の鳥類保護関係者の同行をえて、輪島市洲衛と羽咋市眉丈山の2カ所の生息地を視察しています。そして実際の視察の結果と現地関係者からの聞き取りを踏まえて、伐採の見合わせや一部の水田や用水池を農業生産から切り離してトキのために取り分けること、新聞社が取材のために生息地に入ることを控えること等極めて具体的な保護施策への協力依頼をしました(中西悟堂, 1960「野鳥」25巻1号(通巻199号),  pp. 37-53)。

※写真は、前列左から中西悟堂(日本野鳥の会会長)、山階芳麿、村本義雄(後に日本鳥類保護連盟理事)、熊野正雄(金沢大学教授、日本野鳥の会石川支部長)、松田衛(後に日本野鳥の会石川支部長)、その後ろに高野伸二(山階鳥研)の顔が見えます。

※山階鳥研では、この写真も含め、従来、整理の手が回っていなかった、古い書類、書簡、写真などの資料類の整理に着手しています。

山階鳥研の創立者、山階芳麿の略歴はこちらをご覧ください。

小笠原諸島聟島で、伊豆諸島鳥島から移送して飼育して巣立たせた個体の孫に当たる世代の1羽の孵化が初めて確認されました

聟島で確認されたアホウドリの親(左:足環なし、右:Y75)とヒナ(第 3 世代、矢印)

小笠原諸島聟島で、伊豆諸島鳥島から移送して飼育して巣立たせた個体の孫に当たる世代の1羽の孵化が初めて確認されました。また、別に、移送個体の子の世代のヒナも1羽孵化し、初めて聟島で1シーズンに2羽が孵化しました。

新繁殖地である聟島で複数のヒナが誕生したのは初めてのことです。アホウドリは通常、巣立ち後 3〜5 年で出生地に戻り、つがいを作り、集団で営巣する習性があります。聟島で複数のヒナが誕生したことは、第3世代の誕生に合わせ、安定した新繁殖地の形成に向けて大きな進展となりました。

このことについて、2022年2月1日、東京都ならびに環境省と同時発表の形でリリースを行いました。

http://www.yamashina.or.jp/hp/p_release/p_release.html#20220201  

8月16日(月)は一斉休業します

山階鳥研は、本年も夏季の節電対策として、照明、空調の使用抑制等に加えて、通常は職員がそれぞれの都合で取る夏期休暇のうち2日間について、一斉休業し、その2回目を8月16日(月)に実施します。ご関係の皆様にはご不便をおかけいたしますが、ご承知おきください。

「夏季一斉休業のお知らせ」はこちらです。

7月21日(水)は一斉休業します

山階鳥研は、本年も夏季の節電対策として、照明、空調の使用抑制等に加えて、通常は職員がそれぞれの都合で取る夏期休暇のうち2日間について、一斉休業し、その1回目を 7月21日(水)に実施します。ご関係の皆様にはご不便をおかけいたしますが、ご承知おきください。

「夏季一斉休業のお知らせ」はこちらです。

今日、7月5日は山階芳麿博士の誕生日です

※ 東海・関東地方の大雨による災害で亡くなられた皆様にお悔やみ申し上げますとともに、行方不明の皆様が一刻も早く救出されることをお祈り致します。また被災された皆様にお見舞い申し上げます。引き続いて降雨が予想されております。ご無事をお祈りいたします。どうぞお気をつけてお過ごしください。

**************************************

山階鳥研の創立者、山階芳麿は、121年前の今日、1900年7月5日に当時の東京市麹町で生まれ、鳥類の研究と保護に一生を捧げました。

戦前にはアジア・太平洋地域の鳥類の分類学に多大な貢献をした山階芳麿でしたが、戦後は鳥類保護に力点を移し、日本の鳥類保護のリーダーとして日本およびアジアの鳥の保全のために尽力しました。その中で、研究、保護を含め、海外の研究者や保護関係者との交流や情報交換も行いました。

写真は、1958年1月に、前年末にバンコクであった国際会議の帰途、日本に立ち寄った、アメリカ合衆国の鳥類研究者ロバート・クシュマン・マーフィ夫妻との東京での記念撮影の1コマです。マーフィ氏は、アメリカ自然史博物館に所属する海鳥研究の大家で、鳥類保護にも熱心に取り組んだ研究者です。アメリカ鳥学会(American Ornithologists’ Union)やナショナル・オーデュボン協会の会長を歴任しました。

山階芳麿は、この時のマーフィ夫妻の来日について書いた記事の中で、氏が海鳥研究の大家である一方で、「アメリカ第一流のコンサベーショニストである」と紹介しています。これに続けて、コンサベーショニストというと「保存する人」といった意味に取れるが、近年はアメリカ合衆国や欧米各国でひとつの特別な意味を持たせるようになってきた、すなわちコンサベーションは、「自然物を大切にし、これを利用する場合には自然のバランスを破壊しないように巧みに永続的にこれを利用する」という意味で、コンサベーショニストはこの実践の普及に努力する人であると解説しています(「野鳥」23巻2号p. 32., 1958)。

こういった海外の研究者や「コンサベーショニスト」との情報交換は、環境破壊や鳥類の減少を目の当たりにして、鳥類保護に取り組んだ山階芳麿自身の活動にも非常に大きな意味があったものと思われます。

※写真は、前列左から、黒田長禮(ながみち)、ロバート・クシュマン・マーフィ、グレース・マーフィ(夫人)。後列左から、鷹司信輔、徳見泰、中西悟堂、コーン中佐、黒田長久、山階芳麿が写っています。

※山階鳥研では、この写真も含め、従来、整理の手が回っていなかった、古い書類、書簡、写真などの資料類の整理に着手しています。

今日6/19は世界アルバトロスデーです

「世界アルバトロスデー」は、アホウドリ類・ミズナギドリ類の繁殖地を擁する13カ国が加盟した「アホウドリ類とミズナギドリ類の保全に関する協定(ACAP; Agreement on the Conservation of Albatrosses and Petrels; エイキャップ。未加盟の日本からは研究者や保護団体関係者がオブザーバーとして参加しています)が、同協定が2001年に初めて調印された日付である6月19日と定めて 2020 年から開始したもので、世界の海洋を生息地とするアホウドリ類が、漁業による混獲や海洋 汚染などの人間活動由来の原因によって危機にさらされていることから、国際的な協力を必要とするこの仲間の保全について普及啓発することを目的としています。

初めての世界アルバトロスデーだった昨年のテーマは「有害外来生物の根絶」でしたが、今年のテーマは「アホウドリにやさしい漁業の確立」です。そもそも、漁業の混獲(漁業で目的とする以外の生物が捕獲されること)で多数のアホウドリ類やミズナギドリ類などが命を落とすことへの対策の必要性の認識が、20年前にACAPが協定された主要な動機でした。このことは現在でも引き続きこの協定の主要な課題です。



世界アルバトロスデーは日本でも実行委員会が組織されており、山階鳥研も実行委員として参加しています。日本の実行委員会として、本日、記念イベントの開催を予定していましたが、新型コロナウイルス感染症拡大のため、会場イベントは中止となり、オンラインの特別講演会が開催されます。本日、長谷川博東邦大学名誉教授・NPO法人OWS会長、油田照秋山階鳥研保全研究室研究員ほかによる6題の講演が行われます。多数の皆様のお申し込みをいただき、申込は締め切りとなりました。大変ありがとうございました。

「博士ちゃん」が山階鳥研に訪ねてきます

小森日菜子さん(右)と、取材対応した小林さやか自然誌研究室専門員

テレビ朝日で放送の「サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん」 は、「大人顔負けの知識を身につけた子供の“博士ちゃん”」が主役のバラエティです。

5月22日(土)の放送では、絶滅動物博士ちゃん、小森日菜子さん(10歳)が山階鳥研を訪れます。博士ちゃんが山階鳥研で見たかったものはなんでしょうか?放送をお楽しみに。

「サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん」
テレビ朝日
2021年5月22日(土)  18:56〜20:00 



ヤンバルクイナ、ヘビから卵やヒナを守った!


写真を見てください。ヤンバルクイナが、沖縄の在来ヘビで、鳥も捕食するアカマタに脚を乗せています。間隔を空けて撮影する自動カメラの映像ですので、詳細が不明ですが、このあと、3羽のヒナが巣の外で無事な写真が撮影され、まさに孵化の途中だったヒナを捕食しようと巣に侵入してきたアカマタに対して、親鳥がなんらかの行動を取って捕食を回避したものと思われます。

この親鳥は、「再導入」(保全のために、いなくなってしまった場所に飼育下で増やした個体を放すこと)の技術確立のために、2019年9月に放鳥し、行動を追跡している個体です。関係者も、親鳥はこんな行動をするのかとびっくりしています。

ヤンバルクイナがこういった行動をするのは知られていないことから、山階鳥研では5月12日、この件について報道発表を行いました。

報道発表資料についてはこちらをご覧ください。

「山階鳥類研究所のこれまでと今後」が「私たちの自然」に掲載されました

(公財)日本鳥類保護連盟の機関誌「私たちの自然」3・4月号に尾崎清明・山階鳥研副所長が「山階鳥類研究所のこれまでと今後」という見開き2ページの記事を寄稿しています。

「私たちの自然」では、2021年が、1971年に環境庁(現在の環境省)が発足してから50年の節目の年であることから、本年1・2月号では「50年を振り返りこの先50年を考える」という特集を、さらに3・4月号で「日本の自然を支えてきた仲間たち」という特集を組んでおり、尾崎副所長の記事は後者の特集のために依頼があったものです。

尾崎副所長は記事の中で、創立者山階芳麿博士の「山階家鳥類標本館」を出発点とする沿革から説き起こし、1960年に東京で開催された国際会議、国際鳥類保護会議で、アジアでの鳥類標識調査の開始が勧告されたことを受けて、日本でも太平洋戦争によって中断されていた鳥類標識調査が1964年から再開され、成果が上がり、貴重な基礎データとして役立っていることを述べています。さらに、山階鳥研は、トキ、コウノトリ、アホウドリの保全、ヤンバルクイナの発見と保全といった希少鳥類の保全に関わり、重要な役割を果たしてきたことが紹介されています。創立当初から収集されてきた鳥類標本については、新たな技術によって、さまざまな研究の可能性があると述べ、最後に、さまざまな資料と長期間の野外調査データ、保全の経験などに立脚して、国際的連携を深めつつ、地球温暖化、生物多様性の喪失、新興感染症問題等への対応や、鳥類学の人材育成、情報公開にも貢献することが求められると結んでいます。

それぞれの特集は、下記のような記事からなっています。

特集「50年を振り返りこの先50年を考える」(「私たちの自然」1・2月号)
「鳥獣行政の50年を振り返って」(遠矢俊一郎)
「50年で変わった野鳥たち」(松田道生)
「鼎談 日本鳥類保護連盟の50年」(柳沢紀夫・名執芳博・藤井幹)

特集「日本の自然を支えてきた仲間たち」(「私たちの自然」3・4月号)
「日本野鳥の会の過去50年の歩みとこれから」(遠藤孝一)
「日本鳥学会の50年、そして未来へ」(上田恵介)
「日本自然保護協会の50年を振り返り、向こう50年を見通す」(亀山章)
「世界の自然環境の50年とこれからの未来に向けて」(東梅貞義)
「山階鳥類研究所のこれまでと今後」(尾崎清明)

「私たちの自然」は日本鳥類保護連盟の会員になると読むことができます(日本鳥類保護連盟のウェブサイトはこちらです)。