保全」カテゴリーアーカイブ

興和光学株式会社から海鳥の繁殖地調査用望遠鏡3セットを寄贈いただきました

山階鳥研では環境省の「モニタリングサイト1000」の一環として、島嶼(とうしょ)の海鳥の繁殖地で調査を行っています。日本全国の30ヶ所(77島嶼)の海鳥繁殖地をそれぞれ3年から5年の調査間隔で回って、個体数や繁殖数のモニタリングをするものですが、海鳥の繁殖地は離島や岩礁などが多く、接近が難しいことも多いことから、高性能の望遠鏡が調査には欠かせません。またアホウドリの繁殖状況のモニタリングにも望遠鏡が必須です。

現在このプロジェクトで使用している望遠鏡3本はすでに15年以上使用しているもので、潮風や直射日光にさらされ、場所によって火山性の細かい砂なども吹きつける、劣悪な使用環境での長時間の使用によって老朽化が進み、性能も落ちてきていました。ところが高性能で堅牢な望遠鏡は大変高価なため、新規に購入することができず、苦慮していました。

興和光学株式会社にこの状況をお話ししたところ、このたび、「TSN-884 プロミナー」1台、「TSN-774 プロミナー」2台(いずれも、TE-11WZ25〜60倍ワイドズームアイピースつき)をご寄贈いただきました。

寄贈された望遠鏡を前にする富田直樹研究員。

「モニタリングサイト1000」を担当している富田直樹研究員は、「これまで愛用してきた興和光学製の望遠鏡が、長年の使用でさすがに見え方が低下してきているなど、しばらく前から更新の時期を迎えていると感じていました。このたび、新たに、ヘビーユースに耐えるハイエンドの機種を3台ご寄贈いただき、大変ありがたく思っています。この機材で良いデータを集めたいと思います」と話しています。

2018年3月、伊豆諸島鳥島、初寝崎コロニーの定点観察地で早速活躍しました。

ご寄贈いただいた望遠鏡で初寝崎でのアホウドリ飛来状況を観察(右奥の白い点々がアホウドリ)

興和光学株式会社公式ウェブサイト

あわせて山階鳥研ウェブサイトのこちらのページもご覧ください。
アホウドリ 復活への展望
海鳥の今を知る〜環境省モニタリングサイト1000〜
富田研究員紹介ページ

日ロ渡り鳥等保護条約会議に参加しました

2017年11月7〜8日、第11回日ロ渡り鳥等保護条約会議がモスクワで開催され、尾崎副所長が参加しました。詳しくは下記リンクから山階鳥研ウェブサイトでご覧ください。

日ロ渡り鳥等保護条約会議のようす。この条約は旧ソビエト連邦時代の1973年に署名され、今回で11回目の会議となった。

山階鳥研ウェブサイト「日ロ渡り鳥等保護条約会議に参加」

尾崎副所長紹介ページ

 

伊豆諸島御蔵島におけるノネコ問題と、島で繁殖するオオミズナギドリの保全活動について、ウェブサイトに掲載しました

伊豆諸島の御蔵島(みくらじま)は、東アジア固有の海鳥オオミズナギドリの世界最大の繁殖地です。人が持込んだネコの子孫が野外で繁殖する「ノネコ」が増え、オオミズナギドリや、島で進化した固有な動物に脅威となってきました。

オオミズナギドリ

昨年の定年退職後も、引き続きオオミズナギドリの保全活動に取り組んでいる岡奈理子さん(現・山階鳥研フェロー)によるノネコ問題についての解説を山階鳥研のウェブサイトに掲載しました。是非ご一読ください。

「世界最大のオオミズナギドリ繁殖島のノネコ問題」

→  岡奈理子 山階鳥研フェローの紹介ページ

寄稿「風力発電が鳥類に及ぼす影響」をウェブサイトに掲載しました

広報誌「山階鳥研NEWS」3月号に、北海道大学水産科学院の風間健太郎さんが寄稿してくださった「風力発電が鳥類に及ぼす影響」をウェブサイトにも掲載しました。

原野にそびえ立つ風車。北海道稚内市にて風間氏撮影。

風力発電は、“安価で環境に優しい有望な発電方法” とクリーンなイメージで捉えられています。しかし風力発電は本当にクリーンな発電なのでしょうか?日本でも近い将来急増すると予想される風力発電の利点と問題点について、特に鳥類に及ぼす影響に注目してご説明くださっています。

是非こちらのリンクからお読みください。→ 「風力発電が鳥類に及ぼす影響」

その他の読み物はこちら → 読み物コーナー目次

アホウドリ小笠原移送開始から10年、NHKで取り上げられました

山階鳥研は小笠原諸島へのアホウドリ再導入のプロジェクトとして、2008年〜2012年の5年間で合計70羽のヒナを移送し人工飼育しました。今年は最初の移送から10周年にあたります。

この10周年の機会に、NHKでアホウドリの保全の歩みと現在が取り上げられました。3月19日にテレビニュースで紹介されたほか、WEB特集という形で、文字情報の記事としても特集が組まれています。動画と記事は下記のリンクからご覧いただけますのでぜひご覧ください。

【ニュース動画】アホウドリ移住10年で定着進む( 3月19日; NHK NEWS WEB, 首都圏NEWS WEB)
※ ニュース動画は放送から一週間ほど閲覧が可能です。

【記事】世界が注目!日本の絶滅鳥が復活(3月16日; NHK NEWS WEB, WEB特集)

アホウドリの小笠原への再導入の事業は、山階鳥研が、環境省、東京都、米国魚類野生生物局、朝日新聞社、三井物産環境基金、公益信託サントリー世界愛鳥基金等の支援を得て進めているものです。

岡上席研究員がノネコ問題をテーマにした講演会で講演します


岡奈理子上席研究員が、ノネコ問題をテーマとして開催される、日本女性獣医師の会 創立30周年記念講演会で講演します。一般の方も参加いただけますのでふるってご参加ください。

日本女性獣医師の会 創立30周年記念講演会
【日時】 2017年7月9日(日)13時-16時半
【講演内容】
 (1)ノネコ天国の御蔵島でオオミズナギドリは生き残れるか
岡 奈理子((公財)山階鳥類研究所 上席研究員)
(2)それでも、私たちはネコを飼う ~野生化するネコが奪い続ける命~
長嶺 隆(NPOどうぶつたちの病院沖縄 理事長)
(3)島しょのノネコ対策、東京都獣医師会の挑戦
高橋 恒彦((公財)東京都獣医師会 理事)
【場所】 中野サンプラザ8階 研修室2
JR中央線・総武線、東京メトロ東西線中野駅北口1分 → 交通案内(外部サイト)
【参加費】無料
【主催】日本女性獣医師の会
【後援】LAV臨床研究会・公益社団法人東京都獣医師会
【申込・問合せ】TEL. 03-5701-0325, FAX. 03-3723-5167 幅田

※ 岡上席研究員が携わっている「オオミズナギドリの繁殖地 御蔵島 ノネコ里親プロジェクト」についてはこちらをご覧ください。
※ 山階鳥研のイベント情報はこちらをご覧ください。

「オープンフォレスト in 松戸」でふだんは入れない松戸市内の緑地が公開されます(5/20〜28、松戸市内)

千葉県松戸市内の樹林地保全活動を広く市民に知ってもらう目的で「第6回オープンフォレスト in 松戸」が開催されます。市民のボランティアによって守られている、市内17ヶ所の民有林が公開されます(一部公園含む)。

都市に残された貴重な森を未来に引き継ぐためにおこなわれている地道な活動の成果に触れてみませんか。山階鳥研はこのイベントを後援しています。

第6回 オープンフォレスト in 松戸
● 森の公開
【日時】5月20日(土)〜28日(日)
【場所】松戸市内17ヶ所の民有林
※一部公園含む
※場所により公開日と時間が異なります
【共催・問い合わせ先】オープンフォレスト in 松戸実行委員会(事務局 Tel. 070-3861-8001)、松戸市(みどりと花の課 Tel. 047-366-7378)
【後援】(公財)山階鳥類研究所
【詳細】オープンフォレストの公式サイトでご確認ください
(同サイト 「お知らせ」→「森の公開詳細」(ページ右下))

※ 山階鳥類研究所のイベント情報はこちらです。

5月のテーマトークは「なぜアホウドリやトキを保護するの ?」(5月13日(土))です

関東南部では初夏の気候になり、鳥たちは巣作りや子育てに追われていますが、皆様のお近くではいかがでしょうか?山階鳥類研究所の所員が我孫子市鳥の博物館でトークをする、第2土曜日恒例の「テーマトーク」は今月は5月13日(土)に、尾崎清明副所長が、希少種の保護についてお話します。

世界の鳥類の 14 パーセントが絶滅の恐れがあり、日本でもアホウドリ、トキ、 ヤンバルクイナなどの数が減って、保護活動がなされています。希少種の調査研究や保全に長年携わってきた尾崎清明副所長を講師に迎え、その最新の状況を紹介してもらいながら、なぜ保護が必要なのかご一緒に考えてゆきたいと思います。

第65回「なぜアホウドリやトキを保護するの?」
【講師】尾崎清明(山階鳥研副所長)
【日程】5月13日(土)
【時間】13時30分~ ※30分のテーマトーク終了後、質疑応答の時間あり
【場所】我孫子市鳥の博物館 2階多目的ホール → 交通案内(外部サイト)
【参加費】無料(入館料が必要です)
【定員】先着50名
【主催・問い合わせ先】
山階鳥類研究所(TEL. 04-7182-1101)、我孫子市鳥の博物館(TEL. 04-7185-2212)

※ 山階鳥類研究所のイベント情報はこちらです。

お客様二組が来所しました

台湾から来所したのは、国立自然科学博物館の姚秋如(ヤオ・チョウルー)さんと中央研究員生物多様性研究中心(センター)の蔡佩妤(ツァイ・ペイユー)さんです。姚さんは山崎剛史研究員から山階鳥研の標本データベースについての情報収集をしたほか、二人とも、それぞれの研究テーマのために標本を閲覧しました。

また、都内に事務所をかまえる鳥類保護団体、バードライフ・インターナショナル東京からシンバ・チャンさんが来所されました。チャンさんは、尾崎清明副所長、齋藤武馬・浅井芝樹両研究員と絶滅危惧種シマアオジの保全研究について打ち合せを行い、同種についての文献を閲覧をしました。

※ 写真上は、左から蔡佩妤さん、姚秋如さん、山崎剛史研究員、写真下は、シンバ・チャンさんです。
※ 山階鳥研の標本データベースはこちらです。

アホウドリの小笠原への移送個体から生まれた子が小笠原に初めて帰って来たのが確認されました

小笠原諸島聟島におけるアホウドリの新繁殖地形成事業において、聟島(むこじま)
から約5キロ南の媒島(なこうどじま)で、人工飼育個体から生まれ、2014年5月に巣立っ
た個体が、本年3月1日、東京都の委託調査中に聟島に戻ってきて成長した
姿で観察され、本日、環境省・東京都と同時発表いたしました。

リリース資料は下記リンクからご覧になれます。

山階鳥類研究所プレスリリース(2017年3月24日)

※ 画像は、今年3月1日に小笠原諸島聟島で撮影された親子の対面ショットです。左は親鳥の人工飼育個体Y11(2009年に鳥島から聟島に移送され人工飼育で巣立った個体)で、右がY11の子で2014年5月に媒島で巣立った雌個体(カラーリング番号 緑M170)です。
* 山階鳥研のアホウドリ保護のページ「アホウドリ 復活への展望」はこちらです。