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日本鳥学会100周年記念「鳥類の多様性」〜貴重資料展示、いよいよ残りわずかです!

kahaku_entrance_2日本鳥学会が今年100周年を迎えたことから、山階鳥研では2つの記念展示を共催および後援し、所蔵資料を出展してきましたが、その第2弾「鳥類の多様性〜日本の鳥類研究の歴史と成果〜」(国立科学博物館)が、12月9日(日)までと、残すところあと4日となりました。
このブログでも10月15日にすでに一度お伝えしていますが、この展示には山階鳥研から標本等15点と図書2点を出展しています。今年の2回の展示が30年ぶりの一般公開となったカンムリツクシガモの雌雄の標本のほか、この標本以外には観察、撮影、採集の記録がないという宮古島のミヤコショウビンの標本も出展されています。
kahaku_kimpuカンムリツクシガモは、独立種であることの根拠として今回展示されている標本が役立ったほかに、江戸時代の絵図によってたしかにこういう鳥が過去に生きていたことがわかったわけですが、今回、東京国立博物館所蔵の江戸時代の博物図譜、「観文禽譜」からカンムリツクシガモの図が展示されており、実物の標本と稀な対面をしているのも見逃せないところです。
また、これは山階鳥研の標本ではありませんが、2011年に新種として記載されたオガサワラヒメミズナギドリの日本における第2標本(国立科学博物館所蔵)も展示されていて間近に見ることができます。
kahaku_ostrich展示の全体は、「日本における鳥類研究の歴史」「分類と種多様性の研究」「生態研究」「生物多様性と保全研究」のセクションとトピック展示からなり、日本鳥類学の始まりから、ハイテクを使った現代のさまざまな研究までを紹介しています。
山階鳥研をはじめとする研究機関や博物館の貴重資料を見るとともに、日本鳥類学の現在を概観することのできるこの機会をぜひお見逃しなく。
日本鳥学会100周年記念 鳥類の多様性〜日本の鳥類研究の歴史と成果〜
【会期】2012年10月6日(土)〜12月9日(日)
※休館日は、毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は火曜日)
【場所】国立科学博物館
東京都台東区上野公園7-20 Tel. 03-5777-8600(ハローダイヤル)
【料金】通常の入館料でご覧になれます。
(大人・大学生600円、高校生(高等専門学校生含む)以下 無料)
【主催】国立科学博物館
【後援】日本鳥学会・(公財)山階鳥類研究所
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※画像は上から、カンムリツクシガモが出迎える展示入り口、「観文禽譜」(東京国立博物館所蔵)のカンムリツクシガモの図、最新の系統分類の展示、日長のデータから鳥の位置情報を得るジオロケーターによるブッポウソウの渡り研究の展示です。
国立科学博物館による告知はこちらです。
国立科学博物館のアクセスはこちらです。
「所蔵名品から 世界に3点しかない絶滅鳥カンムリツクシガモ」はこちらです。
海外にあるもう1点のカンムリツクシガモ(第一標本)についてはこちらです。
「所蔵名品から 第17回 空前絶後の1点の標本の謎― ミヤコショウビン)―」はこちらです。
山階鳥類研究所のイベント情報はこちらです。

10月のテーマトークは「普段は入ることができない博物館の裏側」(10月13日(土))です

amnh_hall_s山階鳥類研究所の所員が我孫子市鳥の博物館で出前トークをする、第2土曜日恒例の「テーマトーク」、8月は下記の要領で今週末です。標本担当として海外の博物館もいくつか訪れている小林さやか・専門員が、博物館のなかなか見られないバックヤードで何が起こっているかをご紹介します。

第18回「普段は入ることができない博物館の裏側」
【講師】小林さやか 山階鳥研自然誌研究室専門員
【日付】10月13日(土)
【時間】13時15分~ ※30分のテーマトーク終了後、質疑応答の時間あり
【場所】我孫子市鳥の博物館 2階多目的ホール
【参加費】無料(入館料が必要です)
【定員】先着50名
【主催・問い合わせ先】
山階鳥類研究所(TEL. 04-7182-1101)、我孫子市鳥の博物館(TEL. 04-7185-2212)
※画像は、鳥類標本を100万点所蔵しているといわれるニューヨークのアメリカ自然史博物館のエントランスホールです。当日はこの博物館の鳥類部門の裏側も見られることでしょう。
山階鳥類研究所の標本についてはこちらをご覧ください。
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カンムリツクシガモに加えてミヤコショウビンも登場!〜日本鳥学会100周年記念展示の第2弾です

miyako_shobin日本鳥学会が今年100周年を迎えたことから、山階鳥研では2つの記念展示を共催および後援し、所蔵資料を出展しています。その第1弾「日本鳥学会の100年」(東京大学総合研究博物館)は9月21日に好評のうちに終了しましたが、第2弾、国立科学博物館での展示が明日から始まります。

日本鳥学会100周年記念 鳥類の多様性〜日本の鳥類研究の歴史と成果〜
【会期】2012年10月6日(土)〜12月9日(日)
※休館日は、毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は火曜日)
【場所】国立科学博物館
東京都台東区上野公園7-20 Tel. 03-5777-8600(ハローダイヤル)
【料金】通常の入館料でご覧になれます。
(大人・大学生600円、高校生(高等専門学校生含む)以下 無料)
【主催】国立科学博物館
【後援】日本鳥学会・(公財)山階鳥類研究所

今回の展示には山階鳥研から標本15点と図書2点を出展します。東大総合研究博物館に引き続き、カンムリツクシガモの雌雄の標本が出展されるほか、この標本以外には観察、撮影、採集の記録がないという宮古島のミヤコショウビンの標本も出展されます。また絶滅鳥ドードーの骨(ホンモノ!)とレプリカの剥製も目を引くことでしょう。dodo
※写真上はミヤコショウビンの標本、下は梱包作業中のドードーのレプリカです。
日本鳥学会による告知はこちらです。
国立科学博物館による告知はこちらです。
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「所蔵名品から 世界に3点しかない絶滅鳥カンムリツクシガモ」はこちらです。
海外にあるもう1点のカンムリツクシガモ(第一標本)についてはこちらです。
「所蔵名品から 第17回 空前絶後の1点の標本の謎― ミヤコショウビン)―」はこちらです。
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カンムリツクシガモの公開は30年ぶりでした

1982s_rev_2日本鳥学会が今年100周年を迎えるにあたり、山階鳥研では2つ行われる記念展示を共催および後援し、所蔵資料を出展することを、8月16日付けのブログで紹介し、その中で、「カンムリツクシガモの標本の公開は50年ぶり」とお知らせしましたが、これは「30年ぶり」の誤りでした。お詫びして訂正いたします。
下記は訂正済みの当該ページです。
カンムリツクシガモを30年ぶりに展示します〜日本鳥学会100周年記念展示
50年ぶりとしたのは、1962年に東京で開かれた日本鳥学会50周年記念の「世界の鳥展」に前所蔵者の黒田長禮(くろだ・ながみち)博士から出展されたのが最後と考えたものです。しかし、この情報を流したあと、これを読んだ40代の関係者から連絡があり、「自分は池袋のサンシャインでカンムリツクシガモを見て、スケッチもした」ということでした。40代の人が50年前の展示を見ているというのは計算があいません。改めて調査したところ、1982年にサンシャインシティ三越で開催した「山階鳥類研究所設立50周年記念 鳥の世界展」で確かにカンムリツクシガモを展示していたことが確認できました。
というわけで、確認不十分で関係の皆様にご迷惑をおかけしましたが、実際には30年ぶりの公開ということになります。
※画像は、古い資料の中から出てきた、1982年のカンムリツクシガモの展示のようすです。右端の標本がカンムリツクシガモ(雌)、標本の前に立つのは、柴田敏隆・資料室長(当時)と、その陰に白いスーツの、山階芳麿・所長(当時)です。

カンムリツクシガモを30年ぶりに展示します〜日本鳥学会100周年記念展示

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日本鳥学会が今年100周年を迎えるにあたり、山階鳥研では2つ行われる記念展示を共催および後援し、所蔵資料を出展します。その第1弾が、明日8月17日から東京大学総合研究博物館で開催されます。このため昨日8月15日には、山階鳥研から資料類の搬出作業が行われました。

日本鳥学会の百年
【会期】2012年8月17日(金)〜9月21日(金)white_stork
(土曜日、日曜日、祝日は休館。但し、8月18日、25日、9月1日の各土曜日は開館予定。なお、日本鳥学会2012年大会期間中(9月15〜17日)は同大会参加者のみ入場可能です(大会の名札をご呈示ください)。休館日はこちらでご確認ください)
【場所】東京大学総合研究博物館
東京都文京区本郷7-3-1 Tel. 03-5841-8451
【料金】無料
【共催】東京大学総合研究博物館・日本鳥学会・(公財)山階鳥類研究所
この展示には山階鳥研から標本27点と図書資料73点を展示しますが、その白眉はなんといっても、30年ぶりの一般公開となる、カンムリツクシガモの雌雄の標本でしょう。この鳥は世界で3点しか標本がないもので、日本の鳥学史に残る発見の例として、ヤンバルクイナのタイプ標本(命名のさいに使われた標本)ほかとともに展示されます。
truck※写真上は美術梱包業者さんの手で丁寧に梱包されるカンムリツクシガモの雄、写真中は梱包されたコウノトリの標本です。
日本鳥学会による告知はこちらです。
東大総合研究博物館による告知はこちらです。
東大総合研究博物館へのアクセスはこちらです。
「所蔵名品から 世界に3点しかない絶滅鳥カンムリツクシガモ」はこちらです。
海外にあるもう1点のカンムリツクシガモ(第一標本)についてはこちらです。

山階鳥類研究所のイベント情報はこちらです。

カンムリツクシガモの第1標本

山階鳥類研究所には、世界に3点しかないカンムリツクシガモという希少なカモ類の標本のうちの2点があります。この鳥は、かつてユーラシア大陸東部に生息しており、現在は絶滅した可能性が高いと考えられている美しいカモで、世界の3点の標本のうち残りの1点はデンマークの博物館にあることが知られていますが、日本の鳥類研究者で、デンマークの標本を見たことがあるという話は聞いたことがありません。
アメリカ合衆国で開催された、自然史標本の保存に関する国際学会大会(The 27th Annual Meeting of the Society for the Preservation of Natural History Collections (June 11-16, 2012, Yale University)に出席した小林さやか専門員は、同学会に参加していたデンマーク国立自然史博物館(Zoological Museum, Natural History Museum of Denmark)のヤン・クリステンセンさん(Jan Bolding Kristensen)と面識ができ、この標本についてお話を伺うことができました。
crested_shelduck小林専門員が帰国後電子メールでやりとりし、先方の博物館が所蔵する、カンムリツクシガモの標本とクリステンセンさんの画像を送っていただきましたのでブログでご紹介します。
このコペンハーゲンの標本が、学問の世界にこの鳥が初めて知られた「第1標本」ですが、これは当初雑種と考えられており、山階鳥類研究所所蔵の第2標本が見つかってから、江戸時代の絵図にもこの鳥が描かれていることがわかり、また第3標本も見つかって、雑種ではなく新種であると判明したというエピソードがあります。
small_2日本でこの鳥の第1標本の画像が紹介されたのはことによると初めてかもしれません。山階鳥類研究所所蔵のカンムリツクシガモの第2、第3標本の画像もご紹介し(右の写真、奧が第2標本)、贅沢なページにしてみましたのでお楽しみください。
「所蔵名品から第5回 世界に3点しかない絶滅鳥-カンムリツクシガモ(ガンカモ目ガンカモ科)-」はこちら。上で簡単に説明したカンムリツクシガモの発見と命名のエピソードについてより詳しく紹介しています。

自然史標本の国際学会で、震災後の標本レスキューなどについて発表しました

iwami_poster_36月11〜16日にアメリカ合衆国コネチカット州ニューヘイヴンにある、イェール大学ピーボディ博物館で開催された自然史標本の保存に関する国際学会の年次大会に、岩見恭子、小林さやかの2名の所員が参加しました。
kobayashi_poster_3岩見研究員は、東日本大震災の津波で破壊された鳥類標本の救出について、また小林専門員は、山階鳥類研究所の標本コレクションの管理と収集活動についてポスター発表しました。学会大会では、自然史標本の分野の最先端の成果や技術について情報収集するとともに、海外の標本担当者ほかと交流を深めることができたようです。
ogasawaramashiko2人はこの学会の終了後、世界最大級の鳥類標本コレクションを所蔵するアメリカ自然史博物館(ニューヨーク)に足を運び、標本収集管理や修復の現状について研修しました。
※学会の英文名称と発表タイトル等はつぎのとおりです。
The 27th Annual Meeting of the Society for the Preservation of Natural History Collections (June 11-16, 2012, Yale University, New Haven, Conneticut USA)
Iwami, Y., Kumagai, M., Tomioka, N., and Yamasaki, T.
Salvage and restoration activity for the bird specimens destroyed by tsunami in the Tohoku Earthquake, Japan.
Kobayashi, S., Yamasaki, T., Saitoh, T., Asai, S., and Iwami, Y.
The bird collection and the management at the Yamashina Institute for Ornithology: Overview.
(この学会参加は、コロラド大学自然史博物館・コレクションマネージャーで同学会の評議員でもある蔭山麻里子さんの勧めで実現しました。また、山階武彦助成事業から助成を受けています)
※画像は、(上)学会会場のポスターの前の岩見研究員、(中)小林専門員と蔭山麻里子さん(向かって左)、そして、(下)アメリカ自然史博物館希少鳥類コレクション所蔵の、小笠原の絶滅鳥で日本には標本のないオガサワラマシコを手に取る小林専門員です。
「山階鳥類研究所の標本について」はこちらをご覧ください。
山階鳥類研究所標本データベースはこちらをご覧ください。

4月のテーマトークは「鳥類標本の製作技法の研究」(4月14日(土))です

iwami_with_specimens山階鳥類研究所の所員が我孫子市鳥の博物館で出前トークをする、第2土曜日恒例の「テーマトーク」、4月は下記の要領で今週末です。演者の岩見さんは右の画像で、自分で作った仮剥製(研究用の剥製)と写っている人です。ぜひ多数のご来場をお待ちしています。
第12回「鳥類標本の製作技法の研究」
【講師】岩見恭子 山階鳥研自然誌研究室研究員
【日付】4月14日(土)
【時間】13時15分~ ※30分のテーマトーク終了後、質疑応答の時間あり
【場所】我孫子市鳥の博物館 2階多目的ホール
【参加費】無料(入館料が必要です)
【定員】先着50名
【主催・問い合わせ先】
山階鳥類研究所(TEL. 04-7182-1101)、我孫子市鳥の博物館(TEL. 04-7185-2212)
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エトピリカのくちばしの装飾は外れるのです

etopirika_bill_2エトピリカは北太平洋で繁殖する海鳥で、その名前がアイヌ語「エト(嘴)ピリカ(美しい)」に由来していることからもわかるように、美しい嘴が特徴です。
この嘴の装飾が繁殖期だけにあることは知られていても、繁殖期の終わりに外れることはあまり知られていないでしょう。画像のエトピリカは、拾得死体を標本材料としてご寄贈いただいたものですが、たまたま繁殖期のおわりの個体で、嘴の装飾(象牙色の部分)が外れるタイミングだったようです。
多くの鳥では、上嘴、下嘴それぞれが1枚の角質の鞘に覆われていますが、エトピリカ、ツノメドリなどのウミスズメ科の鳥のいくつかや、ペリカン類、ペンギン類の一部などで、角質の鞘の一部が繁殖期の間だけ大きくなり、繁殖期が終わると落ちてしまうことが鳥類学の教科書に書かれています。これは求愛のための装飾と考えられています。
繁殖期の終わりに生息地の海に行くとこういう装飾が外れて浮かんでいるのでしょうか?興味深いです。
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ダチョウの仮剥製を作成しました

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昨年のうちに材料を渡して発注してあった、ダチョウの仮剥製(研究用の標本として使う剥製)が、2月16日、その他の鳥類の仮剥製とともに剥製業者さんから納品されました。このダチョウは飼育業者さんから死亡した飼育個体を譲り受けたものです。ダチョウの大きさがわかるでしょうか。
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