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世界アルバトロスデー バナーチャレンジに山階鳥研も参加しました!

6月19日の、初めての「世界アルバトロスデー」を祝うため、「アホウドリ類とミズナギドリ類の保全に関する協定(ACAP(エイキャップ); Agreement on the Conservation of Albatrosses and Petrels)」の事務局から、世界各地のアホウドリ類の繁殖地で調査研究している、あるいは生息地で船上調査をしている研究チームにたいして、世界アルバトロスデーのバナーと一緒に調査地で撮影した写真を送る、「バナーチャレンジ」への参加の呼びかけがありました。

山階鳥研でもこのバナーチャレンジに応じて、今年初めの調査で、伊豆諸島鳥島と小笠原諸島聟島で、それぞれ写真を撮影して、ACAP事務局に送りました。

7人が写っている上の画像が鳥島の画像です。鳥島初寝崎でデコイ(実物大のアホウドリの模型、現在は設置されていません)を使って誘致された初寝崎の繁殖地をバックに、富田直樹研究員(左から2人め)以下の調査員がバナーを掲げています。後ろに白く点々と見えるのが繁殖しているアホウドリ、黒い点々がそのヒナです。

もう1コマ、2人が写っているのが小笠原諸島聟島での画像。向かって左が、調査を率いた油田照秋研究員で、手前の黒い鳥は、アホウドリの愛称「イチロー」と「ユキ」のつがいが今年孵化させたこのつがいの5羽めのヒナです。

ACAPのウェブサイトにはもっとたくさんの画像があります。

バナーチャレンジ(鳥島)※ 研究員の家族がバナーを準備する微笑ましい写真もどうぞ 

バナーチャレンジ(聟島)※ コアホウドリ、クロアシアホウドリのヒナと一緒の写真もあります 

世界各地のバナーチャレンジのリンク集 ※5月末時点で、アホウドリ類が繁殖する世界の22の離島と、研究者が乗船した2隻の漁船から写真が送られています

世界アルバトロスデーは、ACAPが6 月 19 日と定めて 2020 年 から開始したもので、世界の海洋を生息地とするアホウドリ類が、漁業による混獲や海洋 汚染などの人間活動由来の原因によって危機にさらされていることから、国際的な協力を 必要とするこの仲間の保全について普及啓発することを目的としています。今年の世界ア ルバトロスデーのテーマとして「有害外来生物の根絶」が掲げられています。世界各地の 離島にある繁殖地で、人為的に移入されたネズミ類、ノネコ、半野生のブタなどによって アホウドリ類の繁殖と生存が脅かされているためです。世界アルバトロスデーは日本でも実行委員会が組織されており、山階鳥類研究所も実行委員として参加しています

BIRDR 1月号をご覧ください〜標本室・オオトラツグミ、山階鳥研関係の記事2件をお読みいただけます

現在書店に並んでいる、バードウォッチングの雑誌「バーダー」(Birder)誌1月号に山階鳥研関係の記事が2件掲載されています。

「元・『幻の鳥』オオトラツグミの暮らし」(水田拓・山階鳥研保全研究室長)(pp. 30-31)
「”日本の至宝”に会いにいく!〜山階鳥類研究所・標本室見学」(神戸宇孝)(pp. 40-41)

前者の記事は、長らく環境省の奄美野生生物保護センターに勤務してきた水田保全研究室長が、九州以北産の亜種トラツグミのヒー、ヒョーという不気味なさえずりとことなり、抑揚のある澄んださえずりをもつ、奄美大島特産の亜種オオトラツグミの生態や現状について紹介しています。

後者の記事は、日本鳥学会で行われた我孫子市鳥の博物館と山階鳥研へのエクスカーションの同行記としてライターの神戸宇孝さんが山階鳥研の標本室を紹介したもので、中のようすや、貴重標本、標本はどのように研究に役立てられているか等が写真入りで紹介されています。

1/16には次の2月号の販売開始になります。ぜひ急いで書店で1月号をご覧ください。   



10月のテーマトークは「「我孫子駅前におけるイソヒヨドリの繁殖調査」(10/19(土))です

台風19号の豪雨、洪水により被災された皆様にお見舞い申し上げます。浸水や停電の続く地域が一刻も早く復旧し、皆様に一日も早く日常の生活が戻ることをお祈りいたします。山階鳥研にも安否のお問い合わせをいただきありがとうございました。特に被害はなく、平常どおり仕事をしています。

さて、我孫子市鳥の博物館で開催する、第3土曜日恒例の「テーマトーク」ですが、従来、講師は山階鳥研の所員が担当してきましたが、今年度からは山階鳥研の所員だけでなく、我孫子市鳥の博物館の学芸員も担当することになりました。10月19日(土)開催の今回はその第一回目で、岩本二郎学芸員が、我孫子駅前のイソヒヨドリの繁殖の調査についてお話しします。

従来、イソヒヨドリはその名前のとおり、海岸近くの岩場や崖などで見られる鳥とされてきました。しかし近年では海岸からは遠い内陸の市街地で観察されることが増えており、注目を集めています。講師の岩本学芸員は、2017年から、山階鳥研と我孫子市鳥の博物館の地元であり、もっとも近い海岸から20kmほど内陸に位置する我孫子市の、JR我孫子駅前でイソヒヨドリの繁殖活動を調査してきました。「街の新参者」イソヒヨドリの生態について話してもらいます。

第89回 「我孫子駅前におけるイソヒヨドリの繁殖調査」
【講師】岩本二郎(我孫子市鳥の博物館学芸員)
  → この人(外部サイト) 
【日程】10月19日(土)
【時間】13時30分~ ※30分のテーマトーク終了後、質疑応答の時間あり
【場所】我孫子市鳥の博物館 2階多目的ホール
   → 交通案内(外部サイト)
【参加費】無料(入館料が必要です)
【定員】各回とも先着50名
【主催・問い合わせ先】山階鳥類研究所(TEL. 04-7182-1101)、我孫子市鳥の博物館(TEL. 04-7185-2212)

多くの皆様のご参加をお待ちしています。

※ なお、11月のテーマトークはお休みです。11月2日(土)・3日(日・祝)に我孫子市で開催されるジャパン・バード・フェスティバルにぜひお越しください。10月の次のテーマトークは、12月21日(土)に開催されます。

日本で繁殖する海鳥類の長期的な個体数変化を調べたところ、ウミネコやオオセグロカモメのような広く分布して数が多いと思われていた種類も減少していました

山階鳥研の富田直樹 研究員と佐藤文男 研究員(現・フェロー)は、北海道大学大学院地球環境科学研究院の先崎理之 助教、同水産科学研究員の綿貫豊 教授らの研究グループに参加して、日本で繁殖する海鳥10種類の過去36年間の個体数変化を解析しました。その結果が論文として発表されましたので、この9月2日にこのことについて北海道大学と山階鳥研の共同でプレスリリースを行いました

海鳥の個体数は世界的に長期的に減少し続けており、日本で繁殖している海鳥40種についても半数以上の22種類が環境省レッドリストの絶滅危惧種に指定されています。ですが、日本産の海鳥類の個体数が長期的にどのように変化してきたかは詳しく分かっていませんでした。

今回の研究の結果、ウミガラスやエトピリカといった絶滅危惧種だけでなく、ウミネコやオオセグロカモメといった分布が広く個体数が多いと思われていた種類も長期的に減少していることが明らかになりました。

佐藤研究員(現・フェロー)、富田研究員らは環境省の「モニタリングサイト1000」の一環として島嶼の海鳥の繁殖地の調査を行ってきており、結果は環境省の日本海鳥コロニーデータベースに反映されています。今回の分析はこのデータベースのデータに基づいて実施されました。

研究論文は、Senzaki, M. et al. (2019) Long-term declines in common breeding seabirds in Japan. Bird Conservation International, pp. 1-13.  として2019年8月29日に発表されました。

※ 画像は、今回の分析で長期的な減少が認められた4種(ウミガラス(左上)、エトピリカ(右上)、ウミネコ(左下)、オオセグロカモメ(右下))です。

海鳥が食べていたプラスチックから紫外線吸収剤や臭素系難燃剤などの添加物を検出し報道発表を行いました

国立大学法人東京農工大学の高田秀重教授をはじめとする国際研究グループは、海鳥が食べていたプラスチック片から添加剤が検出されたことを、このたび国際誌Marine Pollution Bulletinに発表しました。この研究グループには、出口智広・前保全研究室長(現在、兵庫県立大学大学院准教授)が参加しています。

これまでの研究から、 プラスチックから添加剤が移行して、海鳥の体内に蓄積することは確認されていることから、今回の 結果と併せて、食べたプラスチックから溶出した添加剤が、海鳥の体内に蓄積する実態が明らかとなりました。

東京農工大と共同発表の形で、本日報道発表資料を公開しました。

※ リリース資料はこちら(8/19付け)をご覧ください。

※ 論文(Kosuke Tanaka et al. 2019. Piece-by-piece analysis of additives and manufacturing byproducts in plastics
ingested by seabirds: Implication for risk of exposure to seabirds. Marine Pollution Bulletin, Volume 145, August 2019, Pages 36-41. )はこちら
をご覧ください。





4月のテーマトークは「フラッグ付きシギ・チドリの観察記録 〜窓口担当者のよもやま話〜」(4/20(土))です

山階鳥類研究所の所員が我孫子市鳥の博物館でトークをする、第3土曜日恒例の「テーマトーク」、今月は4月20日(土)に、千田万里子保全研究室専門員が、日本の海辺を通過して地球上を渡ってゆくシギ・チドリ類という鳥達の渡りを調べるお話をします。

長距離の渡りをするシギやチドリの仲間は、渡りの中継地である湿地が減少したことで、生息数を減らしています。彼らの渡りについて理解し、保全に役立てるために、フラッグをつける調査が世界中で行われています。

フラッグは写真のような足に取り付けるプラスチック片で、足から飛び出すように小さな長方形の部分が作ってあり、遠くから望遠鏡などで観察してもわかりやすいようになっています。また鳥に害の及ばないように設計されていて、世界中でシギやチドリの仲間の渡り調査に活用されています。

一般の方から寄せられた貴重な観察報告を中心に、自称「ヒヨッコ窓口担当者」の千田専門員が、自身の奮闘振りを紹介してくれます。

第84回「フラッグ付きシギ・チドリの観察記録 〜窓口担当者のよもやま話〜」

【講師】千田万里子(山階鳥研 保全研究室専門員)
【日程】4月20日(土)

【時間】13時30分~ ※30分のテーマトーク終了後、質疑応答の時間あり
【場所】我孫子市鳥の博物館 2階多目的ホール → 交通案内(外部サイト)
【参加費】無料(入館料が必要です)
【定員】先着50名
【主催・問い合わせ先】
山階鳥類研究所(TEL. 04-7182-1101)、我孫子市鳥の博物館(TEL. 04-7185-2212)

※ 写真は、フラッグのついたシギ(トウネン、撮影:高橋徳安氏)です。
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4月のテーマトークは森本研究員による「富士山の野鳥と垂直分布~どの鳥がどの高さに棲んでいるのか~」(4/21(土))です

写真:様々な山林の鳥達が生息する富士山

山階鳥類研究所の所員が我孫子市鳥の博物館でトークをする、第3土曜日恒例の「テーマトーク」、次回は4月21日(土)に、森本 元 保全研究室・自然誌研究室研究員(兼務)が、富士山で見られる鳥についてお話をします。

日本の地理的特徴の一つは国土の大半を占める山林です。そして、そこには様々な鳥達が生息しています。山林の鳥たちの分布は、標高や環境によって違っています。約20年近くの富士山での鳥類研究から、身近な鳥達が山でどのように暮らしているかをご紹介します。

ぜひ多くの皆さんのご来場をお待ちしております。

※4月より開催日が毎月第3土曜日に変更となっていますのでご注意ください。

第74回「富士山の野鳥と垂直分布~どの鳥がどの高さに棲んでいるのか~」
【講師】森本 元(山階鳥研 保全研究室・自然誌研究室研究員(兼務))
【日程】4月21日(土)
【時間】13時30分~ ※30分のテーマトーク終了後、質疑応答の時間あり
【場所】我孫子市鳥の博物館 2階多目的ホール
交通案内(外部サイト)
【参加費】無料(入館料が必要です)
【定員】先着50名
【主催・問い合わせ先】
山階鳥類研究所(TEL. 04-7182-1101)、我孫子市鳥の博物館(TEL. 04-7185-2212)

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12月のテーマトークは「都心で繁殖を始めたウミネコの生態と人との関係」(12/9(土))です

山階鳥類研究所の所員が我孫子市鳥の博物館でトークをする、第2土曜日恒例の「テーマトーク」、11月はお休みをいただきましたが、今月から再開です。今月は12月9日(土)に、富田直樹・保全研究室研究員が、東京の街中で子育てを始めたウミネコについてご紹介します。

ウミネコは、日本の海辺ではもっとも普通なカモメ類で、日本周辺の海岸や離島などで集団で繁殖します。風光明媚な海辺の観光地で、遊覧船に乗ると飛んでいる鳥という印象がありますが、1990年代から東京都心で繁殖するようになりました。最初は、上野動物園内や不忍池で巣作りしていたのですが、最近はビルやマンションの屋上に移動して、人間との間にトラブルも起こっています。富田研究員に、都心で繁殖するウミネコの生態と、人間との関係について紹介してもらいます。

ぜひ多くの皆さんのご来場をお待ちしております。

第70回「都心で繁殖を始めたウミネコの生態とヒトとの関係」
【講師】富田直樹 山階鳥研 保全研究室 研究員
【日程】12月9日(土)
【時間】13時30分~ ※30分のテーマトーク終了後、質疑応答の時間あり
【場所】我孫子市鳥の博物館 2階多目的ホール
交通案内(外部サイト)
【参加費】無料(入館料が必要です)
【定員】先着50名
【主催・問い合わせ先】
山階鳥類研究所(TEL. 04-7182-1101)、我孫子市鳥の博物館(TEL. 04-7185-2212)

※ 写真は、上野の不忍池で繁殖するウミネコです。
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10/8 (日)の「ダーウィンが来た!」、山階鳥研所員の協力で、誰も知らない山の上のヒバリの生態があきらかに!

毎週日曜日にNHKで放送される「ダーウィンが来た!」、生き物好きの方はご覧になっている方が多いと思います。

10/8 (日)放送の「ダーウィンが来た!」は「なぜ富士山に?草原のヒバリ」です。

ヒバリという鳥の名前は皆さんよく聞かれるでしょうし、実際に農村地帯では身近な鳥です。しかし、その生態は意外と知られていません。今回の番組では、そのヒバリの繁殖生態をじっくりと紹介しています。平地での普通のヒバリの生態だけでなく、面白い点は、山の上で繁殖する通称「高山ヒバリ」を初めて紹介していることです。山の高い場所でヒバリが繁殖しているというのは、ほとんど知られていませんでした。ルリビタキの研究で知られる山階鳥研の森本元(もりもと・げん)研究員の長年の調査地である富士山にて、その手伝いに訪れた上田恵介立教大学名誉教授/山階鳥研特任研究員が、その存在に気付き、学会に報告したことで広く知られることとなりました。今回の番組でも、上田名誉教授が出演すると共に、森本研究員は現地で1ヶ月近く密着した協力と監修を行っています。誰も知らない山の上でのヒバリの生活を、お楽しみください。

生きもの新伝説 ダーウィンが来た!「なぜ富士山に?草原のヒバリ」
2017年10月8日(日)19:30〜20:00 NHK総合

※ 生きもの新伝説 ダーウィンが来た!の番組ウェブサイトはこちらです。
※ なお、上田名誉教授は画面に登場しますが、森本研究員の画面への出演はありません。
※ 写真は森本研究員が「高山ヒバリ」の生息地での撮影時に撮ったものです。

 

最近いらっしゃったお客様から


5月26日、フィギュアを製作されている、海洋堂の宮脇修一社長とペイントデザイナーの古田悟郎さんの一行が来所し、所内を見学しました。宮脇社長はさまざまの部署を見て回っていろいろなアイディアが湧いたようすでした(写真は標本室でアホウドリの仮剥製標本を見る、左から2人目が宮脇社長、3人目が古田さんです。左端は山崎剛史研究員、右端は鶴見みや古自然誌研究室長です)。


6月19日、チューリッヒ大学解剖学研究所の、ハンス=ペーター・リップ(Hans-Peter Lipp)名誉教授(写真)が来所しました。リップ名誉教授は、渡り鳥やデンショバトが目的地にたどり着くための「航法」の原理について研究しており、尾崎清明・副所長ほかと意見交換したほか、自身が携わった航法の研究成果についてのセミナーを行いました。


6月21日、日本野鳥の会の前理事長で、現在副会長の佐藤仁志さん(写真)が理事長退任の挨拶のため来所しました。佐藤さんは中国地方に渡来するガンの仲間ヒシクイの分類学的な位置づけにも関心を持っており、研究用標本の閲覧も行いました。