形態学」カテゴリーアーカイブ

中学生が標本閲覧に来所しました

サギ類の頸骨を測定する渡邉さん。奥は書記役のお母さんです。

3月29日、東京都荒川区の中学生、渡邉真央(わたなべ・まなか)さんがお母さんと一緒に標本閲覧に来所しました。

渡邉さんは小学生の頃からバードウォッチングをしており、6年生の時にはすでに鳥の骨について調べてレポートを書いていたそうですが、今回は今日と3月30日の2日の予定で、サギ類の頸椎(首の骨)を比較検討するために来所したものです。

話を伺うと、日本鳥学会大会での発表を目指しているとのこと。日本鳥学会では、例年、高校生とそれ以下の年齢の方たちに研究発表していただくポスター発表の枠を設けています。成果を学会でうかがうのが楽しみです。

特別天然記念物・アホウドリに 2種が含まれることを解明し、論文発表しました

北海道大学総合博物館の江田真毅(えだ・まさき)准教授らと山階鳥研の研究グループは,伊豆諸島の鳥島と尖閣諸島に由来する国の特別天然記念物・アホウドリの形態を比較し、鳥島タイプの鳥は尖閣タイプの鳥 よりほとんどの計測値で大きい一方,尖閣タイプの鳥のくちばしは相対的に長いことを解明しました。本研究で明らかになった形態的な違いと,これまでに知られていた遺伝的・生態的な違いから, 両タイプの鳥は別種とするべきと結論しました。このことを述べた論文が、このたび、国際的学術誌 Endangered Species Research 誌に2020 年 11 月 19 日(木)にオンライン公開の形で掲載され、北海道大学と山階鳥研では報道発表を行いました。

報道発表資料PDF『特別天然記念物・アホウドリに 2 種が含まれることを解明~伊豆諸島鳥島の「アホウドリ」と尖閣諸島の「センカクアホウドリ」は別種としての保全が必要~』(2020年11月20日)はこちらです。

論文PDF Eda et al. 2020. Cryptic species in a Vulnerable seabird: short-tailed albatross consists of two species. Endangered Species Research, 43: 375-386. はこちらです。

この研究によって、両地域の「アホウドリ」は約 60 万年もの間、 異なる歴史を歩んできた別種であることがわかりました。かつては多数の島々で繁殖していたと考えら れる両種ですが、現在の繁殖地はそれぞれ鳥島と尖閣諸島に限られてしまっています。これまで考えら れていた以上に、希少な鳥であることは明らかです。今後、それぞれの独自性を保つことを念頭に置い た保全政策の実施が必要と考えられます。

8月のテーマトークは「鳥類標本の作り方―いろんな標本を作ってみよう― 」(8/17(土))です

我孫子市鳥の博物館で開催する、第3土曜日恒例の「テーマトーク」、今月は8月17日(土)に、岩見恭子山階鳥研自然誌研究室研究員が、鳥類標本の作り方についてお話しします。

鳥類の標本といっても剥製標本だけではなく、骨格や卵などいろいろな標本があります。ぬいぐるみをつかって剥製標本がどのように作られるのか説明し、実際に卵標本の製作の実演も行う予定です。また、標本がどんな研究に役立つのかについても紹介します。

剥製作成の過程をわかりやすく見ていただけるぬいぐるみ「かけすちゃん」(写真)も準備しています。岩見研究員によるとお子さんにも楽しんでいただけることを意識して準備しているとのことです。もちろん大人の方も楽しんでいただけると思います。

多くの皆様のご参加をお待ちしています。

 第88回「鳥類標本の作り方―いろんな標本を作ってみよう― 」

【講師】岩見恭子(山階鳥研 自然誌研究室研究員)
    → この人
【日程】8月17日(土)
【時間】13時30分~ ※30分のテーマトーク終了後、質疑応答の時間あり
【場所】我孫子市鳥の博物館 2階多目的ホール 
    → 交通案内(外部サイト)
【参加費】無料(入館料が必要です)
【定員】先着50名
【主催・問い合わせ先】
山階鳥類研究所(TEL. 04-7182-1101)、我孫子市鳥の博物館(TEL. 04-7185-2212)

※【お知らせ】9月のテーマトークはお休みです。次回は10月19日(土)の開催です。

※ 画像は、 特製ぬいぐるみ「かけすちゃん」です。
※ テーマトークでのこれまでの講演実績はこちらです
※ 山階鳥研のイベント情報はこちらです

    

山階鳥研の所員がNHKの番組「ダーウィンが来た!」(9/4(日)放送)に取材協力をしました。

NHKの番組を製作しているNHKエンタープライズの取材に対して、大型のフクロウ類、カラフトフクロウの顔盤集音効果について岩見恭子研究員が協力していましたが、NHKの「ワイルドライフ」での放送に続いて「ダーウィンが来た!」でも放送されることになりました。

ご家族皆様で是非ご覧ください。

ダーウィンが来た!生き物新伝説
「大きな顔 が命!巨大フクロウ 謎の狩り」
【放送日時】2016年9月4日(日)19:30〜20:00(NHK総合テレビ)

NHKダーウィンが来た!公式サイト(外部サイト)
* ちなみに岩見研究員の出演はありません。

国立科学博物館でバイオミメティクス(生物模倣)の企画展と講演会があります

企画展「生き物に学びくらしに活かす―博物館

山階鳥研は、国立科学博物館ほかと共催で、バイオミメティクス(生物模倣)の企画展を開催します。

バイオミメティクスというのはちょっと聞き慣れない言葉ですが、生物に学びながら、私たちのくらしをより良くすることを目指す、生物学と工学が連携、恊働する新しい学問分野です。

たとえば、ハスの葉が水をはじく能力は、身近な品物に役立てられないでしょうか?フクロウが暗闇の中を静かに飛ぶしくみは、騒音の大きなプロペラなどに応用できないのでしょうか?

こういった関心をもとにした製品の研究開発がバイオミメティクスです。こういった研究開発は実際に行われるようになってきており、一部は実用化されているものもあります。この展示では、昆虫・魚類・鳥類を中心に、バイオミメティクスの実例とそのモデルになった生物、生物標本を所蔵する博物館や研究機関が果たす役割などを紹介します。

企画展 生き物に学び、くらしに生かすー博物館とバイオミメティクス
【日時】2016 年4 月19 日(火)〜6 月12 日(日)
【休館日】毎週月曜日※月曜日が祝休日の場合は翌火曜日/
ただし、5 月2 日(月)と6月6 日(月)は開館
【場所】国立科学博物館(東京・上野)日本館1 階
【入館料】一般・大学生:620 円、高校生以下・65 歳以上: 無料
【主催】(独)国立科学博物館 科研費新学術領域「生物規範工学」
【共催】(公財)山階鳥類研究所、高分子学会バイオミメティクス研究会
★ 詳細は国立科学博物館のウェブページでご確認ください。

この企画展に付随して講演会がふたつ開催され、山階鳥研の研究員2名を含む4名の講師が講演します。

講演会1(対象:小学校5年生以上)
【日時】4月23日(土)14:00~15:20
【場所】国立科学博物館日本館2階講堂
【講演内容と講師】
昆虫とバイオミメティクス 国立科学博物館 動物研究部 野村 周平
鳥の動きのバイオミメティクス 山階鳥類研究所 山崎 剛史
★ 要申込み(4月8日 17時締切、申込多数の場合は抽選;国立科学博物館のウェブページから申し込んでください)

講演会2(対象:小学校5年生以上)
【日時】5月21日(土)14:00~15:20
【場所】国立科学博物館日本館2階講堂
【講演内容と講師】
海洋生物とバイオミメティクス 国立科学博物館 動物研究部 篠原 現人
鳥の色のバイオミメティクス 山階鳥類研究所 森本 元
★ 要申込み(5月6日 17時締切、申込多数の場合は抽選;国立科学博物館のウェブページから申し込んでください)

多数の皆様のご来場をお待ちしています。

※ 山階鳥研のイベント情報はこちらです。

4月のテーマトークは「オス?メス?見た目でわかる?雄化(ゆうか)する鳥の謎」(4月9日(土))です

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山階鳥研の地元我孫子では、ソメイヨシノが8〜9分咲き程度というところで空模様がはっきりしないという、これぞ典型的なサクラの季節という状況ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか?

山階鳥類研究所の所員が我孫子市鳥の博物館でトークをする、第2土曜日恒例の「テーマトーク」、今月は、4月9日(土)の開催です。岩見恭子・自然誌研究室研究員に、雄化(ゆうか)という現象について話してもらいます。

鳥は雄が綺麗で雌は地味など、外見で見分けられる種類がいますが、雄だと思っているその鳥はほんとに雄でしょうか?いやそうじゃない、という事例があるそうです。雄の姿をした雌、つまり雄化した美しい雌について紹介してもらいます。

第56回「オス?メス?見た目でわかる?雄化する鳥の謎」
【日程】2016年4月9日(土)
【講師】岩見恭子(山階鳥研自然誌研究室・研究員)
【時間】13時30分~ ※30分のテーマトーク終了後、質疑応答の時間あり
【場所】我孫子市鳥の博物館 2階多目的ホール
交通案内(外部サイト)
【参加費】無料(入館料が必要です)
【定員】先着50名
【主催・問い合わせ先】
山階鳥類研究所(TEL. 04-7182-1101)、我孫子市鳥の博物館(TEL. 04-7185-2212)

※ 山階鳥類研究所のイベント情報はこちらです。

カレドニアガラスの嘴が道具を使いやすい特殊な形に進化していることを発見しました

crow_7_s02南太平洋のニューカレドニアだけに生息するカレドニアガラスは、先端を鈎状に整えた小枝や葉を嘴でくわえ、木の穴などにつっこんで中から昆虫やその幼虫を引っぱりだして食べる、道具を使う鳥であることが知られています。慶應義塾大学ほかの国際共同研究チームは、さまざまな種のカラス類の嘴の三次元形態を比較解析して、カレドニアガラスが道具の使用に適した特殊な形態に進化していることを発見しました。この研究チームには山階鳥研の山崎剛史研究員が参加しています。

詳細は、慶應義塾大学のプレスリリース「道具を使うカラスの嘴が特殊な形に進化していることを発見」(2016年3月10日)をご覧ください。

この結果は、2016 年3月9日に「Scientific Reports」オンライン版にMatsui et al. 2016. Adaptive bill morphology for enhanced tool manipulation in New Caledonian crows. として発表されました。

※ 画像は、木の中に潜むカミキリムシの幼虫を道具を使って捕まえるカレドニアガラス(写真:オークランド大学Gavin R.Hunt 博士)