「山階鳥類研究所のこれまでと今後」が「私たちの自然」に掲載されました

(公財)日本鳥類保護連盟の機関誌「私たちの自然」3・4月号に尾崎清明・山階鳥研副所長が「山階鳥類研究所のこれまでと今後」という見開き2ページの記事を寄稿しています。

「私たちの自然」では、2021年が、1971年に環境庁(現在の環境省)が発足してから50年の節目の年であることから、本年1・2月号では「50年を振り返りこの先50年を考える」という特集を、さらに3・4月号で「日本の自然を支えてきた仲間たち」という特集を組んでおり、尾崎副所長の記事は後者の特集のために依頼があったものです。

尾崎副所長は記事の中で、創立者山階芳麿博士の「山階家鳥類標本館」を出発点とする沿革から説き起こし、1960年に東京で開催された国際会議、国際鳥類保護会議で、アジアでの鳥類標識調査の開始が勧告されたことを受けて、日本でも太平洋戦争によって中断されていた鳥類標識調査が1964年から再開され、成果が上がり、貴重な基礎データとして役立っていることを述べています。さらに、山階鳥研は、トキ、コウノトリ、アホウドリの保全、ヤンバルクイナの発見と保全といった希少鳥類の保全に関わり、重要な役割を果たしてきたことが紹介されています。創立当初から収集されてきた鳥類標本については、新たな技術によって、さまざまな研究の可能性があると述べ、最後に、さまざまな資料と長期間の野外調査データ、保全の経験などに立脚して、国際的連携を深めつつ、地球温暖化、生物多様性の喪失、新興感染症問題等への対応や、鳥類学の人材育成、情報公開にも貢献することが求められると結んでいます。

それぞれの特集は、下記のような記事からなっています。

特集「50年を振り返りこの先50年を考える」(「私たちの自然」1・2月号)
「鳥獣行政の50年を振り返って」(遠矢俊一郎)
「50年で変わった野鳥たち」(松田道生)
「鼎談 日本鳥類保護連盟の50年」(柳沢紀夫・名執芳博・藤井幹)

特集「日本の自然を支えてきた仲間たち」(「私たちの自然」3・4月号)
「日本野鳥の会の過去50年の歩みとこれから」(遠藤孝一)
「日本鳥学会の50年、そして未来へ」(上田恵介)
「日本自然保護協会の50年を振り返り、向こう50年を見通す」(亀山章)
「世界の自然環境の50年とこれからの未来に向けて」(東梅貞義)
「山階鳥類研究所のこれまでと今後」(尾崎清明)

「私たちの自然」は日本鳥類保護連盟の会員になると読むことができます(日本鳥類保護連盟のウェブサイトはこちらです)。