鳥類標識調査」カテゴリーアーカイブ

江戸川区の広報動画で所員が渡り鳥や渡り鳥の調査についてコメントしました

ユリカモメ足環つき東京湾に面した野鳥の生息地である葛西臨海公園を有する江戸川区の広報ビデオに、山階鳥研の所員が出演しコメントしました。

このビデオは、「水とみどり豊かなまちづくりを進めている江戸川区」と、そこに集まるさまざまな種類の鳥たちの姿を紹介するものです。

ビデオに出演したのは平岡考 自然誌研究室専門員・広報主任で、山階鳥研が環境省の委託で全国でおこなっている渡り鳥の調査である鳥類標識調査について解説するとともに、日本列島や東京湾の、渡り鳥の中継地としての役割などについて説明しました。

野鳥の楽園をいつまでも ~自然が息づくまち 江戸川区 ~
平成28年3月1日公開 江戸川区経営企画部広報課 (25分14秒)

※ 鳥類標識調査のあらましについては「渡り鳥と足環」をご覧ください
※ 「鳥類標識調査 仕事の実際と近年の成果」についてはこちらをご覧ください

アメリカコアジサシが日本で初めて「鳥類標識調査」で確認されました

アメリカコアジサシ2個体b_webアメリカコアジサシは日本で繁殖するコアジサシに極めてよく似た水鳥で、北アメリカと西インド諸島の砂浜海岸や干潟、内陸の河川で繁殖し、中南米の海岸部で越冬します。

2014年7月に、茂田良光研究員らは茨城県神栖(かみす)市の海岸で、コアジサシの標識調査を実施中、アメリカコアジサシ2羽を捕獲しました。1羽には、2012年7月にアメリカ合衆国ノース・ダコタ州でヒナの時に装着された足環がついていました。

アメリカコアジサシの記録は日本ばかりでなく東アジア全体で初めてで、3月1日に報道発表を行いました。

鳥類標識調査はカスミ網などを使って鳥類を捕獲し、個体識別用の足環を装着して放鳥するもので、鳥類の渡りや寿命などのさまざまな生態を明らかにする目的で実施されており、近年では、鳥類生息状況のモニタリングのためにも活用されています。日本では現在、環境省の委託事業として、山階鳥研が、多くのボランティアの協力を得て実施しています。

本種は近縁のコアジサシに極めてよく似ていることから、野外観察で本種の渡来に気づくことは難しいと考えられ、鳥類標識調査の有効性が示されました。

※ プレスリリースはこちらをご覧ください。
※ 鳥類標識調査については、環境省生物多様性センターのウェブページ「鳥類標識調査」、山階鳥研のウェブページ「渡り鳥と足環」「鳥類標識調査 仕事の実際と近年の成果」をご覧ください。

(写真は神栖市で捕獲されたアメリカコアジサシ。上は、アメリカ合衆国の足環を装着していた個体。下は新たに環境省の足環を装着して放鳥した個体です)

標識調査講習会を実施しました

koshukai151212月21日から23日の日程で、鳥類標識調査の従事者(バンダー)になるための講義講習会を山階鳥類研究所で実施しました。鳥類標識調査は、鳥類の移動や寿命などを番号つきの足環を使って調べる調査で、山階鳥研が環境省の委託を受けて実施しています。

今回参加したのは、北海道、東北、関東、中国からの合計7名です。講習生は、資格のあるバンダーのもとで一定のトレーニングを積んだ上で、山階鳥研の職員の野外調査に参加して実技講習を受けて今回の講義講習会に臨んだもので、標識調査に必要な知識や技術、関連法規などの講義を受けています。

現在、全国で約450名が調査に従事しており、年間約15万羽が標識放鳥(捕獲し足環をつけて放すこと)されています。

標識調査のあらまし(「渡り鳥と足環」)はこちらをご覧ください。

※ 画像はパソコンを使ったデータ入力の実習のようすです。

海鳥のマミジロアジサシがイランから沖縄県名護市に 飛来したことが「鳥類標識調査」によって確認されました

マミジロアジサシ参考d_DSC04932sマミジロアジサシは、チドリ目カモメ科の海鳥で、インド洋、太平洋、 大西洋の熱帯・亜熱帯に分布します。

このたび、イランでヒナのときに「鳥類標識調査」の足環を付けられたマミジロアジサシが、沖縄県名護市まで飛来したことが確かめられました。日本とイランの間で野鳥の移動が確かめられたのはこれが初めてで、9月25日に報道発表を行いました。

鳥類標識調査は、鳥類を捕獲し、個体識別用の足 環を装着して放鳥するもので、鳥類の渡りや寿命などの 様々な生態を明らかにする目的で実施されており、近年 では、鳥類生息状況のモニタリングのためにも活用され ています。今回のような稀な移動は、鳥類標識調査を行っていて初めてわかることです。日本に飛来する多くの種で渡りの詳細はわかっていませんので、引き続き調査を継続して、今回のような実例を積み重ねていくことが重要と考えています。

※ プレスリリースはこちらをご覧ください。
※ 鳥類標識調査については、山階鳥研のウェブページ「渡り鳥と足環」をご覧ください。

(写真はマミジロアジサシ。今回移動が判明した個体ではありません)

「記録映画『鳥の道を越えて』お礼上映とトークの集い」(9月26日13:30〜、我孫子市)を開催します

マスコミ提供画像−1(メイン)山階鳥研の地元我孫子市で記録映画『鳥の道を越えて』の上映と、監修した山階鳥研保全研究室の佐藤研究員(写真下)と、今井友樹監督(写真上左)のトークが行われます。

秋になるとおびただしい数が渡ってきていた渡り鳥と、その渡り鳥を生活の糧とするため、 人々の暮らしの中で行われていた鳥猟を取り上げて、2014 年に公開された記録映画「鳥の道を越えて」は、科学技術映像祭内閣総理大臣賞など、下記のような各種の賞を受賞しました。

マスコミ提供画像−2この映画で取り上げられているカスミ網猟は現在禁止されていますが、カスミ網猟の鳥屋 場(とやば)の中には、渡り鳥の移動や生態を解明するために山階鳥類研究所で行っている調 査の調査地として引き続き活用されている場所があります。そのような中のひとつ、福井県越 前町の調査地で調査を行っている山階鳥類研究所の佐藤文男研究員がこの映画の監修を担当し ました。

そのような背景から、今回、今井友樹監督のご好意で、山階鳥研の地元我孫子市でのお礼 上映が実現する運びとなりました。さらに今回は、監修の佐藤研究員と今井監督によるトーク で、鳥類の生態や環境問題、伝統文化について考えてみたいと思います。

多くの皆様のご参加をお待ちしています。

 JBFプレイベント
記録映画『鳥の道を越えて』お礼上映とトークの集い
【映画】『鳥の道を越えて』監督:今井友樹、監修:佐藤文男、製作:工房ギャレット、93分
★☆★ 文化庁映画賞文化記録映画優秀賞、グリーンイメージ国際環境映像祭グリーンイ メージ賞、キネマ旬報ベストテン文化映画部門第1位、科学技術映像祭内閣総理大臣賞 ☆★☆
【トーク】今井友樹(映画監督)・佐藤文男(山階鳥類研究所研究員)
【日時】2015年9月26日(土)13:30〜16:00(開場 13:00)
【場所】我孫子市手賀沼親水広場・水の館 3階研修室
千葉県我孫子市高野山新田193 google map
(JR常磐線我孫子駅南口からバス 我孫子市役所下車徒歩5分) 阪東バス時刻表
【定員】150名・先着順
【参加費】無料(事前の申込みは要りません)
【主催・問い合わせ】我孫子市鳥の博物館(電話 04-7185-2212)
(公財)山階鳥類研究所(広報担当 電話 04-7182-1101)

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報道資料はこちらです。
鳥類標識調査についてはこちらをご覧ください。
山階鳥研のイベント情報はこちらです。

 

鳥類標識調査のビッグデータから地球温暖化に対する鳥類の応答について検討した結果がまとまり、論文発表しました

oyoshikiri_web鳥類標識調査は、カスミ網などを使って鳥類を捕獲し、個体識別用の足環を装着して放鳥するもので、始まった当初は、鳥類の渡りや寿命などの生態を明らかにすることが主な目的でした。近年、人為的な要因による環境の変動が問題になってきたことにともない、鳥類の生息状況のモニタリングへの活用が世界的に探られています。

日本での鳥類標識調査はすでに戦前から開始されていましたが、山階鳥研では1961年に林野庁によって再開されたときから携わっており、現在は環境省の委託事業として、多くのボランティアの協力を得て実施しています。1961年以降、足環を装着して放鳥した500万羽以上のデータが蓄積されています。

このたび、この鳥類標識調査データなどを分析し、地球温暖化に対する鳥類の応答について検討した結果がまとまり、報道発表しましたのでご案内します。

プレスリリース
東南アジアから日本に渡ってくる夏鳥4種のうち、3種で渡来と繁殖時期が早期化している傾向が見いだされました。
リリースの資料はこちらのリンクから、5月13日の内容をご覧ください。

※ 鳥類標識調査についてはこちらの「渡り鳥と足環」をご覧ください。

5月のテーマトークは「バンディングってなあに?」(5月9日(土))です

1982織田山-1_for_webゴールデンウィーク、関東地方は連日の晴天にめぐまれましたが、皆様楽しい休日を過ごされたでしょうか。

山階鳥類研究所の所員が我孫子市鳥の博物館でトークをする、第2土曜日恒例の「テーマトーク」、5月は今週末、5月9日の開催です。吉安京子・保全研究室専門員にバンディング(鳥類標識調査)について話してもらいます。

野生鳥類の生態を調べる手法のひとつにバンディング(鳥類標識調査)があり、世界各国で行われてさまざまな成果を挙げています。日本では山階鳥類研究所がバンディングのとりまとめのセンターとなっており、全国で多数のアマチュアの協力調査員(バンダー)がボランティアで参加して行われています。多数の当事者がかかわって渡り鳥の移動や寿命についてデータを集めるバンディングのあらましをご紹介します。

第47回「バンディングってなあに?」
【講師】吉安京子 山階鳥研保全研究室専門員
【日付】5月9日(土)
【時間】13時30分~ ※30分のテーマトーク終了後、質疑応答の時間あり
【場所】我孫子市鳥の博物館 2階多目的ホール → 交通案内
【参加費】無料(入館料が必要です)
【定員】先着50名
【主催・問い合わせ先】
山階鳥類研究所(TEL. 04-7182-1101)、我孫子市鳥の博物館(TEL. 04-7185-2212)

※ 山階鳥研ウェブサイトの標識調査紹介ページ「渡り鳥と足環」はこちらです。
※ 同じく「鳥類標識調査 仕事の実際と近年の成果」はこちらです。
※ 山階鳥類研究所のイベント情報はこちらです。

標識調査講習会を実施しました

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12月14日から16日までの日程で、鳥類標識調査の従事者(バンダー)になるための講義講習会を山階鳥類研究所で実施しました。鳥類標識調査は、鳥類の移動や寿命などを番号つきの足環を使って調べる調査で、山階鳥研が環境省の委託を受けて実施しています。

今回参加したのは、北海道、関東、北陸、近畿、中国、沖縄からの合計7名と、中部から参加したすでに資格のある聴講バンダー1名です。講習生は、資格のあるバンダーのもとで一定のトレーニングを積んだ上で、山階鳥研の職員の野外調査に参加して実技講習を受けて今回の講義講習会に臨んだもので、標識調査に必要な知識や技術、関連法規などの講義を受けています。

現在、全国で約450名が調査に従事しており、年間約15万羽が標識放鳥(捕獲し足環をつけて放すこと)されています。

標識調査のあらまし(「渡り鳥と足環」)はこちらをご覧ください。

※ 画像は研究用の仮剥製標本での実習のようすです。

ドイツから渡りの研究者が来所しました

seminar_wikelski0111月29日、ドイツの渡り鳥研究者ら3名が来所しました。ドイツのマックス・プランク鳥類学研究所が中心になって進めている、人工衛星を使った新しい渡り鳥研究の国際プロジェクトについて、日本の渡り研究者との協力関係構築の可能性を探りに来訪したものです。
同研究所の渡り・免疫生態学部の、マーティン・ヴィケルスキ(Martin Wikelski)教授がセミナーを行い、小鳥類にも応用可能で、取得できるデータも多い、人工衛星を利用した地球規模の研究プロジェクトについて紹介し、尾崎清明・保全研究室長らと意見交換しました。

11月のテーマトークは「標識調査による陸鳥の繁殖モニタリング調査(MAPS)」(11月9日(土))です

mapsfuukei_revジャパン・バード・フェスティバル(JBF)の興奮もまださめやりませんが、今週の土曜日は、JBFの「山階鳥研 見にレクチャー」では野外調査のためお話をしなかった、仲村昇・保全研究室研究員がお話しします。
福島第一原子力発電所の事故で拡散した放射性物質が鳥類に与える影響が心配されています。こういった環境の汚染や変化について把握する方法として、広い範囲で長期間、鳥の繁殖成功の割合などに変化がないかを調べることがが考えられます。鳥類標識調査は、もともと、足環を装着して放した野鳥が再度発見された場合に、渡りや寿命についての情報がわかることを期待して始められたものですが、こういったモニタリングの手法としても期待されるようになってきています。今回ご紹介する調査は、全国の複数箇所の調査地で、決まった努力量で繁殖期に長期間調査し、幼鳥の捕獲割合など繁殖の指標となるデータを取ることで、環境の変化を把握しようというもので、イギリスやアメリカでも同様な調査が行われています。昨年から開始したこの調査について、予備的な結果を紹介します。
第31回 標識調査による陸鳥の繁殖モニタリング調査(MAPS)
【講師】仲村昇 山階鳥研保全研究室研究員
【日付】11月9日(土)
【時間】13時15分~ ※30分のテーマトーク終了後、質疑応答の時間あり
【場所】我孫子市鳥の博物館 2階多目的ホール
交通案内はこちら
【参加費】無料(入館料が必要です)
【定員】各回とも先着50名
【主催・問い合わせ先】
山階鳥類研究所(TEL. 04-7182-1101)、我孫子市鳥の博物館(TEL. 04-7185-2212)
山階鳥類研究所のイベント情報はこちらです。