お客様二組が来所しました

台湾から来所したのは、国立自然科学博物館の姚秋如(ヤオ・チョウルー)さんと中央研究員生物多様性研究中心(センター)の蔡佩妤(ツァイ・ペイユー)さんです。姚さんは山崎剛史研究員から山階鳥研の標本データベースについての情報収集をしたほか、二人とも、それぞれの研究テーマのために標本を閲覧しました。

また、都内に事務所をかまえる鳥類保護団体、バードライフ・インターナショナル東京からシンバ・チャンさんが来所されました。チャンさんは、尾崎清明副所長、齋藤武馬・浅井芝樹両研究員と絶滅危惧種シマアオジの保全研究について打ち合せを行い、同種についての文献を閲覧をしました。

※ 写真上は、左から蔡佩妤さん、姚秋如さん、山崎剛史研究員、写真下は、シンバ・チャンさんです。
※ 山階鳥研の標本データベースはこちらです。

新緑の中を移動してゆくセンダイムシクイ


山階鳥研のある我孫子ではツバメが去年の巣場所に戻って、巣の前の電線などでさかんに囀っています。皆様のお住まいの近くはいかがでしょうか?

一昨日4月17日と昨日4月18日、山階鳥研に接した林で、センダイムシクイのさえずりが聞かれました。

センダイムシクイは、スズメよりやや小さい、ウグイスによく似た黄緑色の鳥で、極東ロシアや中国東北地方、朝鮮半島、日本などで春から初夏に繁殖し、冬は東南アジアに渡って過ごします。日本では北海道から九州までの低山の落葉広葉樹林などで繁殖するいわゆる夏鳥です。我孫子の林でさえずりが聞かれるのは、越冬地から繁殖地への移動の途中に立ち寄ったものです。我孫子を通過するものがどこで繁殖するのかを知るのは難しいですが、これから日本の山地にある繁殖地に渡るのかもしれません。繁殖地にたどり着いたら雄は早速雌にアピールするためにさえずるのですが、そのためかどうか、すでに移動の途中からさえずっているのです。

鳥の鳴き声が、意味のある人の言葉を言っているように聞くのを「聞きなし」と言います。センダイムシクイのさえずりは、片仮名で書くと「チヨチヨビ〜ィ」と書くことができますが、聞きなしとして、「焼酎一杯ぐ〜い」という有名なものがあります。録音してみたので、そんなふうに聞こえるか聞いてみてください。1つめの録音では全部で5声聞こえます。1声めと2声め、3声めと4声めが互いに接するように聞こえるのは、おそらく2個体の雄がいてそれぞれ囀っているのだと思います。ほかにメジロのさえずり、大型ツグミ類の地鳴き、キジバトの鳴き声などが聞こえます。1つめの録音は他の鳥の声がいろいろ聞こえますので、2つめの録音はセンダイムシクイのさえずりだけが聞こえる部分を切り出しました。

【音声】センダイムシクイのさえずり(メジロ、大型ツグミ類、キジバトなどと一緒に。2017年4月17日、約30秒)

【音声】センダイムシクイのさえずり(2017年4月17日、約13秒)

 

これから、ゴールデンウィーク明けぐらいまで、さまざまな小鳥類などが、東南アジアなどの越冬地から繁殖地へ向かう途中で、平野部や都市部の思いがけない小さな緑地などに立ち寄ってほんの1日だったり数日だけさえずりを聞かせてくれます。この春はほかにどんな鳥たちが通過してゆくのか楽しみにしています。

【参考】「新緑の我孫子 エゾムシクイのさえずり」は、2013年5月にやはり山階鳥研でさえずりが聞かれた,センダイムシクイに近縁の同じく夏鳥、エゾムシクイの鳴き声に関する記事です。

※ 写真にはセンダイムシクイは写っていません。

4月のテーマトークは「生き物の不思議を暮らしに活かす『バイオミメティクス』 ~鳥の色の話題を中心に~」(4月8日(土))です


関東南部ではソメイヨシノが7〜8分咲きから満開という咲き具合ですが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?山階鳥類研究所の所員が我孫子市鳥の博物館でトークをする、第2土曜日恒例の「テーマトーク」は今月は3月11日(土)に、森本元(もりもと・げん) 保全研究室・自然誌研究室研究員が、鳥の色彩についてお話します。

鳥類は、色鮮やかな生物と言われています。鳥の色にはどのような機能があり、どのように発色しているのでしょうか。また、最近、生物や自然の特徴を人間の暮らしに生かす「バイオミメティクス」という研究分野が発展してきました。カラフルな鳥の羽毛の色彩をまねした衣料品や装飾品を作る試みはされているのでしょうか?羽の色を活かした最新の研究の話題など、鳥の色、特に羽の色について話してもらいます。

第64回「生き物の不思議を暮らしに活かす『バイオミメティクス』〜鳥の色の話題を中心に〜」
【講師】森本元(山階鳥研自然誌研究室・保全研究室研究員)
【日程】4月8日(土)

【時間】13時30分~ ※30分のテーマトーク終了後、質疑応答の時間あり
【場所】我孫子市鳥の博物館 2階多目的ホール → 交通案内(外部サイト)
【参加費】無料(入館料が必要です)
【定員】各回とも先着50名
【主催・問い合わせ先】
山階鳥類研究所(TEL. 04-7182-1101)、我孫子市鳥の博物館(TEL. 04-7185-2212)

※ 山階鳥類研究所のイベント情報はこちらです。

Facebookページのファンの数が1,000人を突破しました!


2015年11月初めから開始した山階鳥研のFacebookページですが、おかげさまで皆様に関心を寄せていただき、この2017年3月11日に「いいね」いただいているファンの数が、1,000人を突破しました。

画像で示したのは、3月11日時点でページに「いいね」してくださっている皆さんの国と地域別の人数です。1,000人のうち、日本に約93パーセントの929人の方がいらっしゃり、台湾24人、韓国とアメリカ合衆国が5人ずつ、オーストラリア4人、カナダ、香港、マレーシアが3人ずつ、シンガポール、ケニア、インド、タイ、フィリピンが2名ずつ、クエート以下13カ国がそれぞれ1人ずつで、合計26の国と地域から、山階鳥研の投稿を見ていただいています。その後も順調に増加しており、今日(3月27日)現在、1,012人の方に「いいね」していただいています。

ちなみに、同時に始めたTwitterですが、こちらは、2016年10月にフォロワーが1.000人を突破しており、今日(3月28日)現在のフォロワー数は1,167人です。このうち98%が日本からで、1%未満が、オーストラリア、アメリカ合衆国、台湾、カナダ、シンガポール、イタリア、バングラデシュ、ドイツ、モンゴルで、あわせると日本を含め10の国と地域からフォローしていただいています。

SNSで多数の日本国内の皆様とともに、世界各地の皆様からも「いいね」/フォローしていただき大変うれしくありがたく思っています。引き続き、山階鳥研Facebook山階鳥研Twitter に「いいね」/フォローをよろしくお願いいたします。

どうして派手な鳥と地味な鳥がいる/「北ユーラシアにおけるガンカモ類」会議に参加して/エピオルニスの祖先はマダガスカルに渡ってから巨大化した〜「山階鳥研NEWS」3月号

山階鳥類研究所の広報紙「山階鳥研NEWS」3月号をご紹介します。

2〜3頁では、森本元(もりもと・げん)研究員が、美しい種がたくさんいる鳥において、色彩がどんな役目を果たしているのか、どんなふうに進化してきたかをわかりやすく解説します。4頁は、国際会議等に参加する研究者等を助成する、山階武彦助成事業を受けて国際会議に参加した、牛山さんの活動報告です。6頁では、総裁の秋篠宮殿下が中心となって立ち上げられた「象鳥の総合的研究チーム」のプロジェクトのひとつとして行われた研究の成果をご紹介します。それによるとダチョウの仲間である走鳥類のDNAを、絶滅鳥まで含めて検討した結果、ダチョウ、エミュー、レアの祖先は小さな飛べる鳥で、マダガスカルに棲んでいた巨大な絶滅鳥エピオルニス(象鳥)は、南極から海を飛んで渡って、そのあと巨大化したと考えられたそうです。

鳥にまつわる言葉を紹介する小コラム「とりのことば」、今号は「鳶が鷹を産む」です。

「山階鳥研NEWS」2017年3月号 目次
1面 表紙写真(オオバン) 賛助会員 佐野昌男
2〜3面 どうして派手な鳥と地味な鳥がいるのか〜鳥における色の機能と背景〜 保全研究室 森本 元
4面 山階武彦助成金活動レポート「国際会議『北ユーラシアにおけるガンカモ類』に参加して」 牛山克巳
5面 JBF2016報告/全日本バードカービングコンクール所長賞
6面 エピオルニスの古代DNA研究/中国地区賛助会員の集い告知
7面 絶滅危惧種シマアオジの国際ワークショップに参加/カシラダカがIUCNの絶滅危惧種に/テーマトーク告知
8面 アホウドリの羽毛布団寄贈/とりのことば/事務局から(賛助会員/ご寄附)

「山階鳥研NEWS」は、山階鳥研の活動や、鳥学研究や鳥の話題をやさしく紹介するニュースレターです。賛助会員に入会いただきますと、隔月でお送りいたします。

※賛助会員のご入会は「ご支援のお願い」をご覧ください。
山階鳥研NEWSのこれまでの号の目次はこちらです。

アホウドリの小笠原への移送個体から生まれた子が小笠原に初めて帰って来たのが確認されました

小笠原諸島聟島におけるアホウドリの新繁殖地形成事業において、聟島(むこじま)
から約5キロ南の媒島(なこうどじま)で、人工飼育個体から生まれ、2014年5月に巣立っ
た個体が、本年3月1日、東京都の委託調査中に聟島に戻ってきて成長した
姿で観察され、本日、環境省・東京都と同時発表いたしました。

リリース資料は下記リンクからご覧になれます。

山階鳥類研究所プレスリリース(2017年3月24日)

※ 画像は、今年3月1日に小笠原諸島聟島で撮影された親子の対面ショットです。左は親鳥の人工飼育個体Y11(2009年に鳥島から聟島に移送され人工飼育で巣立った個体)で、右がY11の子で2014年5月に媒島で巣立った雌個体(カラーリング番号 緑M170)です。
* 山階鳥研のアホウドリ保護のページ「アホウドリ 復活への展望」はこちらです。

3月のテーマトークは「毎日運行する漁船で営巣したツバメ」(3月11日(土))です


山階鳥類研究所の所員が我孫子市鳥の博物館でトークをする、第2土曜日恒例の「テーマトーク」は今月は3月11日(土)に、自然誌研究室専門員・広報主任の平岡考が、漁船に営巣したツバメについてお話します。

ごぞんじのように鳥は、それが地上であれ、木の枝先であれ、岩だなの上であれ、動かない場所に巣を作るのが普通で、日常的に移動するものに巣を作る例はごく稀です。ツバメはふつう、人家の軒先などに巣を作りますが、今回のトークでは、毎日運行する漁船にツバメが営巣した事例についてご紹介します。

第63回「毎日運行する漁船で営巣したツバメ」
【講師】平岡考(山階鳥研自然誌研究室専門員・広報主任)
【日程】3月11日(土)
【時間】13時30分~ ※30分のテーマトーク終了後、質疑応答の時間あり
【場所】我孫子市鳥の博物館 2階多目的ホール → 交通案内(外部サイト)
【参加費】無料(入館料が必要です)
【定員】先着50名
【主催・問い合わせ先】
山階鳥類研究所(TEL. 04-7182-1101)、我孫子市鳥の博物館(TEL. 04-7185-2212)

山階鳥類研究所のイベント情報はこちらです。

我孫子市鳥の博物館 斉藤館長の講演「手賀沼の鳥-ここ25年で増えた鳥、減った鳥-」は2/22(水)です

我孫子市鳥の博物館館長による講演会が山階鳥研の地元、我孫子市で行われます。

1984年の山階鳥研の我孫子移転をきっかけに、1990年に山階鳥研の隣接地に開館した我孫子市鳥の博物館では、当時から約25年間、手賀沼の水面の水鳥のセンサス(個体数調査)を継続しています。調査開始当初は、山階鳥研との共同調査として行われていました。その調査に当初から取り組んできた斉藤館長が、手賀沼の水鳥のこの四半世紀の変遷についてお話しされます。

多数の皆様のご来聴をお待ちしています。

講演会「手賀沼の鳥-ここ25年で増えた鳥、減った鳥-」
【日時】2017年2月22日(水)14:00~16:00 質疑応答を含む(開場13:30)
【場所】我孫子北近隣センター並木本館 多目的ホール(千葉県我孫子市並木5丁目4番6号)
JR我孫子駅北口徒歩8分 Google map
※ 会場は鳥の博物館ではありませんのでご注意ください。
【講師】斉藤安行さん(我孫子市鳥の博物館 館長)
【申込】不要 【参加費】無料
【主催】我孫子野鳥を守る会我孫子市鳥の博物館友の会
【後援】我孫子市、我孫子市教育委員会

※ 山階鳥類研究所のイベント情報はこちらです。

アホウドリの再導入プロジェクトを進めている小笠原の聟島で、昨シーズンに引き続いてヒナが孵化しました


<親鳥(右:Y01, 左奥:野生個体)の間に雛が見える。撮影:山階鳥類研究所(小笠原群島聟島2017 年1 月16 日)、提供:東京都>

アホウドリ新繁殖地形成事業を行っている小笠原群島聟島(むこじま)で、昨シーズンに引き続いて今シーズンも、2008年に聟島を巣立った人工飼育個体と野生個体のつがいの間で、産卵・孵化が成功し、この度ヒナが確認されました。本日環境省、東京都と同時で報道発表を行いました。

プレスリリース(2017年2月13日付)

このつがいは、NHK「ダーウィンが来た!」などでもおなじみの、2008(平成20)年に巣立った個体(カラーリング番号赤色Y01、9歳、雄)いわゆる「イチローくん」と、野生個体(足環なし、雌)「ユキちゃん」です。3シーズン続けて産卵まであって孵化しなかったのですが、昨シーズン初めてヒナが孵化し巣立ちました。今シーズンは昨シーズンに続いて2度目の孵化です。

多くの皆様に関心を寄せていただきありがとうございます。引き続き応援よろしくお願いいたします。

※ 2月14日朝のNHKのニュースで紹介されました。こちらのリンクからだいたい1週間ほどニュースの動画が見られるそうです。今年1月で現地で撮影した親子の動画が使われています。「アホウドリ 新たな繁殖地で2羽目のヒナが誕生」 2月14日 8時24分 NHK NEWS WEB。

※ 昨シーズンの孵化についてのブログ記事「おめでとう!ユキ、イチロー!小笠原群島聟島のアホウドリのつがいにヒナが誕生しました」はこちらです
※ 山階鳥類研究所「アホウドリ復活への展望」(アホウドリ最新ニュース)はこちらです