2010年3月25日掲載
2008年9月カムチャツカで渡り調査のための足環を装着されたシメが1月に北海道で回収されました。カムチャツカで繁殖期を過ごすシメが日本に渡来することが確認されたのは初めてのことです。
(『山階鳥研ニュース』 2009年3月号より)
シメは2009年1月6日に北海道亀田郡七飯町(ななえちょう)の北川興一さん宅の窓ガラスに衝突して死亡したもので、「TA64510 MOSKVA」の刻印のある足環があったことから山階鳥類研究所に連絡がありました。調査の結果、この足環は、2008年9月14日に、山階鳥研の米田重玄・茂田良光両研究員らが、カムチャツカ半島南部のホラモビツキー保護区で捕獲、足環を装着して放鳥したものとわかりました。
米田・茂田両研究員のカムチャツカでの調査は、「極東ロシアにおける鳥類標識調査の推進」のテーマで、(財)自然保護助成基金の助成を受け、2008年9月11日~19日にかけて行ったものです。ロシア科学アカデミー極東支所のユーリ・ゲラシモフ博士と共同で、期間中に23種762羽の鳥を捕獲し、渡り研究のための足環標識を装着しました。このうちシメは2羽でしたがその中の1羽が今回北海道で回収されたものです。
米田研究員は、「シメは、北日本で少数が繁殖するほか、ユーラシア大陸東部から冬鳥として渡来していることが従来から知られていましたが、カムチャツカの個体が日本に渡来しているのが足環の証拠で確認されたのは初めてで貴重な成果です」と話しています。