鳥類標識調査

仕事の実際と近年の成果

2013年7月4日掲載

出雲市で越冬するヒシクイを衛星追跡 日本海を渡るルート解明

島根県出雲市で越冬するガンの仲間ヒシクイ(亜種不明)の繁殖地を解明するため、3月に衛星追跡用の発信器を装着した3個体が、日本海経由で中国東北地方からロシア極東地方に渡ったことがわかり、渡りルートに関する新知見が得られました。

山階鳥研ニュース 2010年7月号より)

これらの個体は4月初めまでにハンカ湖周辺に到着し、その後4月末〜5月中頃に相次いでアムール川下流域のバロン湖周辺に到着、このうちの2羽はオホーツク海の北西部を越えて北極海に注ぐコリマ川流域に到着し、そのうち1羽は、東シベリア海(北極海)から約200キロの所に達しています。

衛星用発信器を装着されたヒシクイ
(ホシザキグリーン財団提供)

日本で越冬するガン類やハクチョウ類が日本海を縦断してロシアへ渡るのが確認されたのは、1994年に米子市からウラジオストクまで渡ったコハクチョウに続いて2例めで、ガン類では初めてのことです。また、従来、北日本で越冬するヒシクイは、カムチャツカから渡来することが知られており、中国東北部経由の渡りは新知見となります。山陰地方で越冬するヒシクイは形態的にも遺伝的にも北日本で越冬するものとは異なる点があり、引き続きこれらの分析を実施する計画です。

出雲市で越冬したヒシクイの人工衛星追跡状況

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