2013年7月4日掲載
山階鳥研では、鳥インフルエンザの防疫体制強化のため、国際獣疫事務局の委託を受けて、2008年度からアジア各国で野鳥の調査を行っています。2011年7月にはモンゴルで野鳥の調査を行いました。
(山階鳥研ニュース 2011年9月号より)
国際獣疫事務局(OIE)は、世界の動物衛生の向上を目的とした政府間機関で、この調査は、「アジアにおける鳥インフルエンザの防疫体制強化プログラム・野鳥サーベイランス事業」として2008年度から行われています。調査の目的は、アジアにおける鳥インフルエンザの防疫体制強化のために、渡り鳥の飛来ルートの調査・分析を行い、かつそのルートに沿って野鳥からサンプルを採取するものです。
7月13日から26日まで、保全研究室の尾崎清明室長と茂田良光研究員が、モンゴルを訪れました。調査地はモンゴル西部のブーン・ツァガーン湖とサンギイン・ダライ湖で、現地で繁殖後のオオハクチョウ12羽を捕獲し、人工衛星追跡のための発信器を装着したほか、これらのオオハクチョウを含め鳥類15種58羽を捕獲し、鳥インフルエンザへの感染検査のためのサンプル110検体を採取しました。
2008年度から昨年度まで、モンゴル、ベトナム、ラオスで行った調査では、モンゴルで繁殖するオオハクチョウの越冬地について新知見が得られたほか、3国で合計600個体以上からサンプルを採取しました。これらのサンプルからは高病原性鳥インフルエンザウイルスは検出されていません。
この調査は来年度まで5年計画で続けられます。