2013年7月4日掲載
環境省の委託で山階鳥研が行っている鳥類標識調査で、オオミズナギドリの36年8ヶ月超という記録が確認され、日本の野鳥の最長寿記録が更新されました。
(『山階鳥研ニュース』 2012年7月号より)
このオオミズナギドリは、2012年1月26日にマレーシアのボルネオ島沖ラブアン島で、衰弱して保護されたもので、金属製の足環から、36年8ヶ月前の1975年5月16日に鳥類標識調査のため、京都府舞鶴市の若狭湾にある冠島で捕獲し、足環をつけて放鳥された個体であることがわかりました。
この個体は最初に足環を装着されて放鳥された後、冠島で4回再捕獲されています。冠島は本種の集団繁殖地で、この個体も、繁殖のために繰り返し島に戻ってきていたと考えられます。本種が繁殖のために島に帰ってくるのは孵化して4年後とされているので、それを加えるとこの個体は40歳以上であったと推定されます。
鳥類標識調査で1961年から2010年の50年間に足環を装着して放した野鳥のうち、この記録に次ぐのは、コアホウドリの33年1ヶ月、ウミネコの32年10ヶ月があります。
野鳥の寿命は足環などで個体識別するしか知る手だてがなく、今回得られたような長寿記録の一例一例がそれぞれの種の生物学的な基礎的知見として重要なものです。