鳥類標識調査

仕事の実際と近年の成果

2018年3月29日更新

渡り鳥等保護条約会議

渡り鳥や絶滅のおそれがある鳥類とその生息環境を守る目的で、日本ではアメリカ合衆国、ロシア、オーストラリア、中国と2国間の条約や協定を締結しています。それぞれの条約ごとに、約2年おきに、2国の代表が会議を開催して、学術的な新知見や保全の進捗状況、法整備の状況について情報交換し、今後の課題や共同研究の計画について協議します。山階鳥研は、鳥類の渡りについて研究する鳥類標識調査の日本のセンターであり、従来からこれらの会議に参加してきました。

ここではその一例として、2017年11月7~8日にモスクワで開催された第11回日ロ渡り鳥等保護条約会議についてご紹介します。この会議には山階鳥研から尾崎清明副所長が参加しました。

日ロ渡り鳥等保護条約会議

日ロ渡り鳥等保護条約会議のようす。この条約は旧ソビエト連邦時代の1973年に署名され、今回で11回目の会議となった。

今回の会議の日本側参加者として、環境省から堀上勝 野生生物課長、有山義昭 計画係長、民間団体から、尾崎副所長のほか、呉地正行氏(日本雁を保護する会会長)ほかが参加しました。会議では、ヘラシギ・ハマシギ、ガンカモ類、海ワシ類、シマアオジ・カシラダカ・オオジュリンなどの鳥類のグループごとに意見交換が行われました。日本でも環境省レッドデータブックの絶滅危惧I類に選定されているシマアオジの保全と陸棲の小鳥類のモニタリングについて尾崎副所長が情報提供を行いました。

付随して行われたエクスカーションでは、ロシアの鳥類標識調査センターを視察しました。同センターは、鳥類標識調査の足環の回収情報等について、山階鳥研と平素から連絡を取り合っている施設です。

ロシア鳥類標識センター

セルゲイ・ハリトーノフ ロシア科学アカデミー生態・進化研究所鳥類標識センター副所長の案内で同センターを視察する日本側参加者。

(『山階鳥研ニュース』 2018年1月号を一部修正)

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