2024年11月13日更新
山階鳥研所員の最近の著書・訳書(共著を含む)をご紹介します。お近くの書店でお求めください。
日本で鳥類標識調査が開始されて今年でちょうど100年になることを機に、標識調査を広く一般に紹介することを目的とした書籍を出版しました。標識調査にかかわるさまざまなトピックについて、14名の所員が分担で紹介しています。この書籍を通じて、生き物を継続的にモニタリングすることの意義や、生物多様性保全の重要性について伝えることができればと思います。
国内で記録された鳥類を列挙し、分類上の位置づけを明らかにし、生息状況を記した、日本の鳥類に関する基礎的文献「日本鳥類目録」の改訂第8版です。日本最大の鳥類研究者団体である日本鳥学会が、1922年に初版を刊行して以来、改訂を重ねてきたもので、今回の改訂では、DNAを用いた分子系統学的研究の新知見をふまえた分類の改訂とともに、分布情報についても入念な情報収集と検討をもとに書き直しが行われました。同学会の鳥類目録編集委員会(委員長 西海功 国立科学博物館動物研究部研究主幹・山階鳥研特任研究員)が編集したもので、山階鳥研からはほかに、山崎剛史 研究員が副委員長として、齋藤武馬 研究員と平岡考 専門員が運営委員として参加しました。
「日本鳥類目録改訂第8版」は、1冊5,500円(日本鳥学会の会員の場合4,000円。別途送料がかかります)、日本鳥学会のウェブサイトの当該出版物のページ(https://ornithology.jp/checklist.html)から注文できます。
野生鳥類の調査研究に必要な実践的な手法を、背景となる理論とあわせて記述した書籍で、個体群調査法、繁殖生態調査法、群集・生態系調査法、形態調査法、絶滅危惧種保全および個体群管理手法、環境影響評価調査法の6章を、第一線の研究者17名が分担執筆しています。学生、研究者、調査研究に関心のあるアマチュアばかりでなく、環境評価の実務家にも必須の書籍となっています。山階鳥研から、森本元、富田直樹、岩見恭子の3名の研究員が執筆したほか、平岡考専門員がイラストの一部を担当しました。
生態、行動、分類、形態、進化などの鳥の生物学から文化、歴史、さらには「へぇ〜」というトリビアに至るまで、鳥類に関するさまざまな知識を、山階鳥研の所員が4章82項目にわたってわかりやすく解説しました。本書は、2004年に刊行された『おもしろくてためになる鳥の雑学事典』(日本実業出版社)の内容を改訂して文庫化したものです。
「水辺に暮らすSDGs」と題したシリーズ(全3巻)は「“水辺”と人との関わり」をテーマに、“水辺”を通じて持続可能な社会を成立させるための道のりを考えることを狙いとしています。
3巻「水辺を守る」の「7.2 渡り性の水鳥をバイオロギングで追う」では、澤祐介 研究員がこれまで実施してきたコクガンの研究成果とそれに基づいた保全活動について執筆しています。
カワセミ類の生態や特徴について全体像から日本産カワセミ類各種のこと、さらにはカワセミが暮らす河川や水環境、人との関わりに関する話題まで、まとめて知ることが出来るありそうでなかった1冊です。著者である笠原氏のフィールドである長野県千曲川での話題を中心としながらも、日本や欧州でのカワセミの渡りや、河川の維持管理・環境保全といったさまざまな話題を紹介しています。森本 元 研究員が監修を務めるとともに構造色とバイオミメティクスに関するコラムも執筆しています。
ナショナルジオグラフィックの動物写真図鑑「いのちの惑星、地球。」シリーズの第3弾で、既刊の哺乳類と海洋生物に続き、本書は鳥を扱っています。
大きな写真やイラストと共に、野鳥に関する様々な話題が盛り込まれています。鳥の形態や機能、欧米で身近な野鳥の紹介、足の速さや体の大きさといったさまざまな世界一の鳥種はどれかなどの解説に加え、ある研究者のストーリーや、世界の鳥の童話、庭への鳥の招き方など、多くの話題を収録しています。森本 元 研究員が翻訳・監修しています。
研究者等による19の新種発見に関するエピソードを集めた、一般向けの分類学の啓発本です。扱う分類群は昆虫、鳥類、魚類、植物、菌類、アンモナイトなど、多岐にわたりますが、発見者が新種を発見した時の喜びや興奮がいきいきと伝わり、とても楽しく分かり易い本となっています。
齋藤武馬研究員が、分担執筆者として、自身が携わった、メボソムシクイの分類を見直して1種を3種に分けた研究のエピソードを執筆しました。
日本産の動植物、菌類の絶滅危惧種、絶滅種293種について解説した図鑑です。「環境省レッドリスト」に準拠するかたちでまとめられており、写真、形態的特徴、生態、分布、絶滅危惧もしくは絶滅に至った原因、保護のための取り組みが掲載されています。脚注には生物学用語の解説も付されています。鳥類の本文の執筆を山崎剛史研究員が担当しています。
日本最初の正史として奈良時代に成立した「日本書紀」には、鳥がさまざまな場面に登場し、しばしば重要な役割を演じます。本書は、セキレイ、ニワトリ、ミソサザイなど、日本書紀に登場する34分類群の鳥について、同書に現れる神話や古代史を出発点に、現代の鳥類学の成果を紹介し、考察をくわえたもので、日本人と鳥の関係を考える、時間と学問分野の垣根を越える意欲的な読み物となっています。山岸哲 山階鳥研元所長と、日本書紀の現代語への全訳をおこなった宮澤豊穂氏との共著です。
動物の発色の仕組みや機能について網羅的に解説した他にない和書です。鳥類、哺乳類、昆虫といった分類群別パートだけでなく、構造色や恐竜などのトピックでの解説パートもあり、どれも図や写真を豊富に使いながら分かりやすく解説されています。本書の鳥類パートを、森本元 研究員が、慶応大の秋山名誉教授との共著で執筆しています。
「冬の平地で出会いたい3大小鳥」(本書の記事による)というジョウビタキ・ルリビタキ・オジロビタキについて、基礎知識とともに、最新の知見に基づいた生態や、観察・撮影の楽しみまでを紹介したムックです。平岡考 専門員が「ヒタキ科」の分類の変遷についての章を、森本元 研究員が鳥類の垂直分布についての章とルリビタキの羽色変化についての章を担当しました。
日本野鳥の会が発行している会員向け雑誌「野鳥」から近年の記事をベースにして、約20編の幅広い話題が掲載された1冊です。 様々な分野の研究者十数名が分担執筆しています。山階鳥類研究所からは、鶴見みや古 コレクションディレクターが鳥の巣に寄生するダニについての章、森本元 研究員が鳥の羽の色に関する章を担当しています。
人間は、鳥の渡りがどのように行われているかについて古くから関心を持ってきましたが、近年、人工衛星やジオロケータ、レーダーなどのハイテク技術の発展も相まって新しい知見が急速に集積されてきています。本書では、さまざまな鳥類の渡りと、渡りにまつわる研究の最前線を15名の著者が12章に分けて論じています。山階鳥研から、澤祐介研究員が、NPO法人 バードリサーチのシンバ・チャン氏とともに、「渡り鳥の保全をめぐる諸問題」の章を執筆しました。
ガンカモ類の生態や特徴について全体像から各種のこと、さらにはガンカモ類を中心とした環境保全に関する話題まで、まとめて学べるありそうでなかった1冊です。著者である嶋田氏のフィールドである宮城県の伊豆沼・内沼での事例を話題の中心としながらも、日本に渡来する各ガンカモ種の渡りといった研究知見もさまざま紹介しています。森本元研究員が監修を務めるとともに標識調査や羽毛に関するコラムも執筆しています。
昨年発行された「ツバメのひみつ」の姉妹書です。今回は「ツバメが見て感じている世界とはどのようなものなのか」に焦点を当てた内容となっています。人々にとってもっとも身近な野鳥であるツバメについて、本書のみでも最新の研究知見を知ることができますし、前刊と合わせてお読みいただくことで、より広く深くツバメについて知ることができる1冊です。
鳥の渡りは鳥を代表する行動であり、多くの人々の関心をひいてきました。そのための調査研究として、世界中で鳥に足環を付けて追跡する標識調査が長年行われています。また、近年では追跡機器の劇的な発展により、新しい知見が急速に増えてきています。本書は渡りに焦点を当てた、和書ではユニークな1冊です。海鳥から陸鳥まで様々な興味深い渡りを行う67種を取り上げており、大きな写真を使って読み物的に解説しています。森本元研究員が監訳しています。
生物に学んだ技術開発などをさすバイオミメティクスという学問があります。これは、さらに自然に学んだ持続可能社会をめざす研究分野へと発展してきています。本書はそうしたバイオミメティクスの情報に関して、50名を超える多様な著者らによって執筆された網羅的な1冊です。森本元 研究員が「バイオミメティクスデータベースとしての鳥類インベントリー」章を担当執筆しています。
2019年の(一財)染色体学会の創立70周年記念事業として、同学会の発展に貢献した研究者や、染色体関連への貢献が大きく、日本の染色体研究史上、忘れられない研究者を紹介した、同学会の学術雑誌”Chromosome Science"の特別号が2020年に刊行されました。この中で、山階鳥研の創立者の山階芳麿博士について執筆依頼を受け、山崎剛史研究員と平岡考専門員が2ページの紹介記事を執筆しました。
国の特別天然記念物であるライチョウは古来より神と崇められてきました。そのライチョウに関する様々な知見を盛り込んだ本です。生態や保全だけでなく、人との関わりなど幅広い情報を70名に及ぶ専門家が執筆しています。ライチョウの体について岩見恭子研究員が執筆しました。
生物の鱗に着目した他にないユニークな書籍です。魚類、爬虫類、鳥類について、それぞれの体の表面構造に着眼し解説しています。他にはコラムとして文化の中での鱗といったトピック記事も掲載されています。魚類や爬虫類では体表面構造である鱗のタイプ別に掲載されており、鱗をアップで写した写真が多用されています。鳥類パートでは、3趾足(しそく)や弁足といった脚部の種類毎の解説だけでなく、羽毛の記事を主体に構成されています。これは、羽毛は鳥類の体表面構造の大半を占め、ウロコ様に覆っているからです。この鳥類パートを森本元 研究員が担当しています。
恐竜、ゾウ・マンモス・サイなどの大型哺乳類、クジラ・サメ・魚竜などの海生生物、アホウドリ・ハクチョウ・アルゲンタヴィス・翼竜など空を飛ぶ生物、またモア・エレファントバードなど飛翔力をなくした鳥類、巨大昆虫など、大まかなカテゴリに分けて、現生種ばかりでなく絶滅種も含めた巨大生物を、美しいカラー写真やイラストを駆使して科学的に紹介しています。冒頭の一章では、巨大な生物が共通して直面する物理学や生態学的な問題について解説されています。11 名の研究者が翻訳の監修に携わっており、このうち鳥類に関する監修を岩見恭子研究員が担当しました。
東日本大震災では津波などによって文化財が大きな被害を受けました。他の文化財と同様、自然史標本も被災後の専門的な処置を必要とします。このDVD とハンドブックでは、専門家による被災標本の処置例と、災害による標本の被害を少なくするための方法が紹介されています。鳥類標本の処置について、岩見恭子研究員が監修し、動画に出演しています。一般向けの頒布は行われていませんが、DVDと同一の内容がインターネットの動画として、またハンドブックがPDFとして、文化財防災ネットワークのウェブサイト https://ch-drm.nich.go.jp で公開されています。
人々にとってもっとも身近な野鳥であるツバメについて、最新の実態に迫る読みやすい一般書です。基本的な生態、ツバメの特徴である燕尾と飛翔能力の関係、尾の長いオスがモテるかどうかといった行動生態学・進化生物学的な内容だけでなく、ツバメの絵など人とツバメの文化的な関わりに関する話題まで、幅広くツバメのことを知ることができる1冊です。
小学館のお子さん向けの図鑑NEOシリーズ、特に小さなお子さんへの読み聞かせやお子さんからの疑問へ答えることを想定したプレNEOシリーズの1冊です。【きかい】【せいかつ】【からだ】【いきもの】【そら】の5章構成でQ&A図説されており、親子で楽しめる内容となっています。分野別監修として8名の専門家が関わっており、山階鳥類研究所から、森本元研究員が鳥類に関する内容を監修しています。
近年の鳥類研究における様々な課題に対する成果について、19人の研究者がそれぞれ1章ずつ分担執筆した書籍です。著者たちは30~40代の若手を中心とした日本の鳥類学の第一線で活躍している人たちです。本書の構成は、これらの章がテーマごとに5つの部にまとめられ、1) 認知生態、2) 鳥の色彩と社会構造の進化、3) 分子系統地理、4) 鳥の歴史と進化を探る、5) 保全遺伝学と、遺伝子を扱った研究を中心として、それ以外にも多岐にわたるテーマが含まれた、とても読み応えのある内容となっています。これから鳥の研究を志す高校生、大学生、若い研究者や鳥類研究に関心のあるアマチュアにおすすめです。山階鳥研から浅井芝樹、森本元、齋藤武馬の3人の研究員が執筆しています。
ペット(コンパニオンアニマル)としてファンの多い飼いネコですが、もともと日本の自然環境におらず、人間が持ち込んできた動物です。ところがこのネコは、野外に出て活動しており、近年は地域によって、野外で繁殖して半野生になるものも目立つようになりました。彼らは日本在来の野生動物を捕食しており、自然のバランスを崩し、種の絶滅をも引き起こしかねない状況も生じています。本書は、ネコによる野生動物の捕食や病気の媒介の現状、行われている対策の問題点などについて、海外の科学的な知見を豊富に紹介しており、自然環境とネコの問題を論ずるさいの必読書になっています。原著はフォーブス誌(アメリカ)によって、保全・環境を扱った書籍の2016 年ベスト10 に選ばれており、翻訳には、山階鳥研の岡奈理子フェローが参加しています。
奄美・沖縄などの南西諸島の鳥を材料に行った研究を、28人の著者が分担執筆して22章で紹介した書籍です。島の鳥の系統分類から始まり、ヤンバルクイナ、アカヒゲ、ルリカケスといった南西諸島のスターや、アホウドリ、カツオドリなど南の島の海鳥たちの生態や保全上の問題点が明らかにされているのに加え、島に住むシジュウカラやヤマガラ、メジロ、モズといった鳥たちについても興味深い研究が紹介されています。研究者や鳥類研究に関心のある学生・アマチュアにおすすめです。本書刊行当時、環境省奄美野生生物保護センターに在籍していた水田拓保全研究室長が編者の一人であり、執筆もしているほか、尾崎清明副所長、齋藤武馬研究員、平岡考専門員が執筆しています。
コウノトリのげんきくんは、福井県越前市の飼育施設で2014年に孵化した個体で、2015年秋に野生復帰のために同市で放鳥されます。そこから、日本国内を飛び回り、韓国から北朝鮮まで大旅行したあと、日本に戻って、つがい相手を見つけて野外でヒナを孵すのですが、そこで大事件が勃発します。コウノトリはどんな餌を食べてどんなふうに相手を見つけるのか、野生復帰の仕事はどんな人が携わってどんなふうに進めているのか、生き物を相手に、平穏無事な時ばかりではない野生復帰の現場では何が起こっているのか、山階鳥研名誉顧問の山岸哲 兵庫県立コウノトリの郷公園長がわかりやすく語ります。対象は小学校上級・中学からですが大人が読んでも引き込まれること請け合いのノンフィクションです。
約50種の鳥について、19世紀以前の博物学者たちが描いた美しいアンティーク博物画を眺めることができる、美しいアンティーク博物図鑑です。各ページに配置された鳥の絵は、型抜き加工が施されており、ミシン目に沿って簡単に切り出し飛び出させることができます。図鑑としての解説文もついており、山階鳥研の齋藤研究員と森本研究員が監修しています。図鑑としてだけでなく、目で見て楽しめる一冊です。
2018年9月に東京で開催された写真展「ー下村兼史生誕115周年ー100年前にカワセミを撮った男・写真展」の図録。下村兼史は、日本の野鳥生態写真の先駆者で、記録する者の少なかった1920年代、30年代の里山、離島、原野など今日では変貌がいちじるしい自然環境や、そこに生息する野生生物を視覚的な記録に残しており、その作品群は、この半世紀ほど日本の自然環境が激変している中にあって、私たちに多くのものを語りかけてくれる、きわめて高い現代的意義を持つものです。この図録は、山階鳥研が所蔵する下村兼史の作品を展示した上記の写真展にあわせて製作されました。
<図録のご購入・お問合せ>写真展事務局バード・フォト・アーカイブスまで。
これまで和名がついていなかった種を含めたフクロウ全種に適切な和名が付与された類書の無い一冊です。ナチュラリストである著者は、巻頭で、フクロウの進化や分類・形態的特徴や行動・生態などについて分かりやすく解説した上で、各種それぞれのフクロウの特徴について1-2頁を用いて、体サイズや色といった形態的特徴、声、繁殖生態、生息環境、特異な行動や個体数と保護の状況など、多角的に詳しく解説しています。山階鳥類研究所から、分類担当として山崎剛史自然誌研究室室長、生態や色彩の担当として森本元研究員が、それぞれ監訳しており、原著(英語)からアップデートされた内容をも含む日本版となっています。
小学館のお子さん向けの図鑑NEOシリーズから派生した絵本です。2,3,4歳向けの読み聞かせとなっており、親子で一緒にお使い頂けます。季節に関わるさまざまな知識(季節のいきもの、植物、食べものなど)を知り、そこからお子さんが自らいろいろ想像し考えることを、楽しく学べるよう工夫されています。親子で一緒に読む2冊の絵本と、読み聞かせ方法を解説した親御さん向けの1冊の計3冊セットです。鳥・虫や植物などそれぞれの専門家が関わっており、鳥類に関する内容について山階鳥類研究所から、森本元研究員が指導協力しています。
子ども向けの図鑑、小学館のNEOシリーズから、昔話やことわざ、童謡や生物の生態などの知識を、文系・理系・文化・芸術といった枠を超えて、1日1編1ページずつ読み聞かせるスタイルの書籍です。お子さんだけでなく、読み聞かせる方々も楽しめる内容になっています。山階鳥研の森本元研究員が、鳥類に関する話題の監修として関わりました。お子さんやお孫さんへのプレゼントにも最適です。
2016年3月に定年退職された上田恵介立教大学名誉教授の研究室で学位を取った(あるいは取りつつある)門下生21人が、研究室で自身がおこなった野外鳥類学の成果や、研究生活に入るきっかけや苦労話などを、一般向けに綴ったものです。最先端の生態研究の内容の紹介を軸にしながら、大学院での研究生活の実際、長期のキャンプをしながらのフィールドワークのようすや、海外の研究室に滞在して研究した際の苦労話など、さまざまな裏話やこぼれ話もそれぞれ個性ある文章で描かれています。野鳥の生態についていっそう深い知識を得たい鳥好きの読者はもとより、将来鳥の研究に携わってみたい若い人たちや、現在研究に携わっている人たちにも興味深い読み物になっていると思います。山階鳥研から上田研究室出身の齋藤武馬、森本元研究員が寄稿しています。
小笠原諸島で絶滅危惧種アホウドリの繁殖地を復活させるために、山階鳥研では2008年から5年にわたり、伊豆諸島鳥島からヒナを移送し、飼育して巣立たせました。地元小笠原在住の写真家、南俊夫さんはこのプロジェクトに参加して、実際にヒナの飼育や、成長して帰ってきた個体の観察に携わるとともに、本職の写真の腕を生かして素晴らしい記録写真を撮ってきました。本書はその南さんが、アホウドリがどんな鳥なのかや、辿ってきた歴史にはじまり、自身の携わった飼育や観察の現場での体験までを、愛情あふれる言葉と美しい写真でわかりやすく綴ったものです。NHK「ダーウィンが来た!」でおなじみのアホウドリ、イチローとユキのつがいももちろん登場します。山階鳥研が監修しました。児童書ですが大人にもお勧めしたい一冊です。
39の学会・協会の集まりである自然史学会連合が、子供たちに理科や自然史へ関心を持ってもらおうと企画監修した本です。身近な自然の中から1日1つ、365日分の不思議について、わかりやすく紹介しています。取り上げられた話題は動植物、地理、古生物など幅広い分野に及び、小学校低学年のお子さんが理解できる一方、読み聞かせる大人も楽しめるように工夫されています。連合の200名近くの専門家が協力しており、山階鳥研からは、浅井芝樹、岩見恭子、平岡考、森本元、山崎剛史の各所員が参加して、鳥の科学にまつわる話題を提供しています。
富士山麓の探鳥地ガイドです。富士山だけではなく、駿河湾岸など富士山を望む事が出来る周辺の探鳥地から、それらで見る事が出来る鳥について山から海の鳥の解説まで、富士山に関わる情報を広くカバーしている入門者向けの解説本です。森本元支援研究員が「富士山 の鳥類相」、「富士山で見られる鳥ガイド」、「富士山バードウォッチングQ and A」等、本書の約3分の1を執筆しています。また、各探鳥地27箇所の記事を担当してる各著者は鳥類標識調査に従事する山階鳥研の協力調査員でもあります。海抜0mから日本一高い場所までそびえる富士山の環境の豊かさを実感していただける1冊です。
子供から大人まで、楽しみながら鳥について学べる図鑑です。日本と世界の鳥、850種類以上を掲載しており、その分類は日本鳥類目録第7版に基づく最新の分類を採用しています。また、絶滅した鳥や恐竜からの進化や鳥の生態など幅広く解説しています。森本元支援研究員が掲載種の大半の解説を担当しています。
行動生物学は行動学から心理学や神経生理学まで、動物の行動に関係する幅広い分野を含む学術分野です。本書は上田恵介特任研究員(立教大学教授)が編者として中心となり、分子生物学から生態学までをも網羅した分野横断的な辞典です。多くの鳥学者も執筆に携わっており、山階鳥研からは森本元支援研究員が「性選択」等の約20項目を、齋藤武馬研究員が「クライン」1項目を、また他の特任研究員も分担執筆しています。鳥類の行動を学ぶ上でも役に立つ専門的な1冊です。
初心者バードウォッチャーにも分かりやすく、野外でも使いやすいポケットサイズの図鑑です。一般的な日本産鳥類の種をイラストで掲載しています。解説の監修を、特任研究員の上田恵介立教大学教授が担当し、森本元支援研究員が監修補助として全編に関わっています。
日本進化学会の10周年記念事業として企画された、進化学の多様な成果を紹介した事典です。全28章297項目からなり、大項目主義を取っていますので、それぞれの項目を取り出して読むことでまとまった知識が得られる「読む事典」になっています。山崎剛史研究員が、第12章「陸上の脊椎動物」のうち、12.9「鳥類」と12.15「新口蓋類」を執筆しています。研究者や学生をおもな対象とする専門書ですが、向学心のあるアマチュアにも興味深い読み物となるでしょう。
1900年代〜30年代に東アジア、北西太平洋で鳥獣の研究用標本を採集し、鳥学・哺乳類学の発展に多大な貢献をした採集人、折居彪二郎(おりい・ひょうじろう)。本書には折居による採集日誌や観察記録、国内外に現存する標本類の概況などが収録されています。
日本の鳥類学・哺乳類学研究の歴史や当時の東アジア・太平洋地域の自然・社会に関心のある方におすすめします。本書の執筆に山階鳥研から平岡考・専門員が参加しています。
※販売元の一耕社(電話:0144-75-6790)からの直接販売のみですのでご注意ください。
美しい生態写真や環境写真を使って、世界の絶滅危惧鳥類とその生息環境、脅威の原因について解説した書籍です。本書をひもとくと世界中にこんなに美しい鳥がいるのかと驚くとともに、人間活動によって世界のいたるところで鳥たちが脅威にさらされていることにも目を瞠らせられるでしょう。山階鳥研の所員12名の分担による翻訳です。
今回の改訂では、DNAを用いた系統分類学的研究など最新の研究成果を反映して、分類を大幅に変更しています。また、100以上の新記録種・亜種を収録しています。専門的な資料と言えますが、趣味で鳥に接している方でも、日本産鳥類について、何という和名の鳥がどんな学名で、何という科に属していて、どんな生息状況で、どんな分布かといったことを詳しく知っておきたい方は手元に置いておかれるとよいでしょう(図鑑ではありません)。今回の改訂には山階鳥研から、浅井芝樹、岩見恭子、齋藤武馬、平岡考、山崎剛史が編集委員として参加しました。
山岸哲名誉所長がいろいろな雑誌に書いてきた記事など一般向けの文章50編以上をまとめたものです。鳥に関心を持つようになった子供時代の思い出にはじまり、鳥類の 興味深い話題、生態学の概念のやさしい解説、鳥類保護の問題点などさまざまな話が入っています。肩が凝らない短文集でありながら、一般の鳥好きから研究者、保護関係者まで、それぞれ得ることのある読書になることと思います。
日本の野生動物保護の現状と問題点を解説した、いわば「読む事典」です。野生動物保護のトピック、種またはグループごとの解説、野生生物保護区と地域に関する解説、 あわせて180項目以上を140名が分担執筆しています。山階鳥研から、岡奈理子(オオミズナギドリ)、尾崎清明(ナベヅル・マナヅル、ヤンバルクイナ)、佐藤文男(オオハクチョウ・コハクチョウ)、黒田長久(カンムリツクシガモ)、そして客員研究員の小城春雄・綿貫豊(海鳥類の保護)が執筆しています。
スズメ目の鳥の種の識別と年齢性別の査定をする際のマニュアルの邦訳。鳥を手にとって仕事をするバンダーや博物館学芸員の必須文献。専門的な内容だが、鳥をよりくわしく知りたいバードウォッチャーや、ウォッチングの指導的立場の方に、総論の部分のみでもご一読しておくことを薦める。
「全身が黒い」カラス類についての研究書。「系統と進化」「生態分布と環境利用」 「食生活と生態系内での役割」「社会と行動」の4部16章からなり、主にハシブトガラ スとハシボソガラスについて、最新の研究成果を紹介しながら、どのような生き物なのかを明らかにしている。
アメリカの大学教育で定評のある鳥類学の教科書の翻訳。鳥類の生物学をバランスよくカバーした内容で、図表や写真も充実しており理解を助けている。学部学生、大学院生、研究者のほか、向学心のあるアマチュアの方々にとっても必携の書。
本書に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。 → 正誤表はこちら
「世界の鳥のハンドブック」は、世界の鳥類全種を、カラー図版と専門家による生物学的な解説するものです。第14巻所収の17科のうちマダガスカルとコモロ諸島特産のオオハシモズ科の執筆を山岸所長と中村雅彦・上越教育大学教授が担当しています。専門家向けの本ですが、世界の鳥に関心のある愛好家の本棚にもふさわしい書籍です。 英文。
2007年3月に出版された「保全鳥類学」の姉妹編。日本国内の絶滅が危惧される12種を取り上げ、第一線で活躍している専門家が分担執筆し、生物学的な問題、現代社会が持つ問題をふまえた保全活動の進め方と課題を述べている。鳥の保全を学ぶためのガイドと鳥類保全の法制度の解説も収録。
日本において見ることのできる家畜・家禽を、在来・外来を問わず約300品種をカラー写真と共に掲載。鳥類では、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、シチメンショウなどの家禽や、ブンチョウ、ウズラなどの愛玩動物が紹介されている。また、単なる写真図鑑ではなく、家畜・家禽の系譜や原種、文化的なトピックにも言及されている。
美しいカラー写真やイラスト、地図などで、鳥類の体のしくみや生態、生息環境、世界の29の鳥類のグループについてわかりやすく解説。子供から大人まですべての人たちに楽しめる豪華本の鳥類図鑑。
哺乳類、鳥類、両生爬虫類を中心として、世界のどのような生物がどのような要因で絶滅の危機に瀕しているかを美しい生態写真とともに解説。鳥類は、ダチョウの仲間、アホウドリとミズナギドリ類、ペンギンなど、16のグループが取りあげられている。
山階鳥研所蔵の剥製標本を撮影した写真集。カンムリツクシガモほかの絶滅鳥や、ヤンバルクイナなどのタイプ標本を含む108点を撮影した写真69点を収録。標本から静謐で格調高い美を引き出している。
鳥学(とりがく)の現在」を俯瞰することを眼目に、鳥類に関する幅広い分野の論説を収録した大部の書籍。山階鳥研内外の40名以上が分担執筆。東京大学総合研究博物館で2008年に開催の「鳥のビオソフィア」展の図録。
中国におけるトキの生物学と保全研究の成果を紹介。専門家ばかりでなく一般の方々にも理解できるように図や写真を多用し、平易な表現で紹介した。日本のトキ復活を願う鳥類愛好家の必読書。
さまざまな環境のなかで物質循環に大きな役割を果たし、環境の健全さの指標となる鳥類の保全について、保全の対象となる単位、絶滅の危機を回避するには、生態系や人間活動との関係など、多角的に迫る。
全世界から500種以上の鳥の卵を2000点以上の写真・イラストと、わかりやすい解説で紹介。目名・科名・学名・卵の大きさ・一腹卵数・抱卵期間などの情報が一目でわかるように配置されている。
イヌワシの生息環境の多様性や繁殖生態、家畜の捕食と人との関わり、保全の問題などイヌワシに関する知見を網羅した1冊。日本語版である本書では日本のイヌワシについても追加掲載している。
2005年4~9月に放送された、山階鳥研の所員が鳥についての講師を務めたNHKのラジオ番組をまとめた本。鳥と人とのかかわりや、希少鳥類の保全、渡りや生態をわかりやすく解説。
「現在地球上に存在する水だけが、将来的にも地球の水の全てである。」地球上の河川生態系をこのまま滅亡へと進めるのではなく、改善へと軌道修正するために求められることは何か。河川環境目標を考える重要な切り口を提示する。
19世紀の画家・鳥類学者であるジョン・グールドの豪華な大判鳥類図譜の全巻について、掲載種のリストを作成したもの。100年以上前の学名を現在の学名・英名・和名に対応させている。
世界の鳥類のうち4200種余りについて分布、形態、生態、生息環境等を解説。故事に登場するエピソードや名称の由来等にも可能なかぎり触れたほか、絶滅鳥、化石鳥、想像上の鳥も取り上げている。
マダガスカルに住む野生生物の中でも、ユニークな行動を見せるアカオオハシモズ。その生態・社会行動は、遺伝や社会進化、群集形成といった生物学上の重要テーマを解く上で示唆に富む。英文。
メジロなど身近な野鳥から渡り鳥や希少種など、国内でみられる野鳥100種を掲載。薮内正幸氏のイラストとともに面白い生態エピソードを紹介する。掲載されている野鳥の声がパソコンで聞けるCD-ROM付き。
2003年5月から1年間にわたって朝日新聞1面に連載した写真コラム「けさの鳥」のうち、333種を収録したもの。解説する鳥を山地、草地、水辺、里、希少の五つに分類。コラムなので文章は短いが、バラエティーに富む内容。
約2800項目について解説する我が国初の現代鳥類学用語の辞典。鳥類の調査・研究者などの専門家のみならず、愛鳥家の方々にも広く愛用していただきたい一冊。
進展著しい鳥類研究のなかで、とくに生態・行動・生理・進化・保全などの分野に焦点を当て、第一線で活躍する研究者たちが鳥類研究の現状と未来を展望する。
山階鳥研の所員が分担執筆した、鳥に関する一般向けの読み物。鳥に関する基礎知識から本当の雑学まで80項目以上をやさしく解説。
「オシドリ夫婦」といわれるように、オシドリは浮気をしないのだろうか? 著者の研究歴をたどりながら、鳥社会の謎を解いていく。鳥に興味がなくても楽しめる内容となってる。
「野鶏は何故鶏になったのか?」鶏の家禽化について人間のいとなみと生き物のかかわりから考える。
初めての本格的なヨーロッパの家禽図鑑。美しい写真と詳細な解説により多種多彩な家禽の世界を楽しむことができる。
世界の鳥類9021種(絶滅種、疑問種を含む)の学名、英名、和名、分布の分類順リスト。亜種についてはその数だけを表記。創設者山階芳麿の労作。