2022年1月6日掲載
皆様、新年明けましておめでとうございます。
まずはCOVID-19感染症で亡くなられた方々、ご苦労されている方々にお見舞い申し上げます。
また、感染症と日夜対峙(たいじ)されている医療従事者はじめ、関係されている方々のご努力に改めて敬意を表します。
日本はワクチン接種などが進み、世界に比べるとずいぶん収束の方向に向かっていますが、まだまだ、従来どおりのお正月を過ごすのは難しい状況かもしれません。早く、憂いなくお祝いできる日が来ることを願っております。
さて、山階鳥類研究所は、創立者である山階芳麿博士が、収集した鳥類標本をはじめとする資料を収蔵するために、1932年に東京渋谷の南平台の私邸に建設した山階家鳥類標本館からスタートしています。そして、10年後の1942年に財団法人の認可を得ました。今年は、標本館の設立から数えて90周年になります。
1980年代に入り、南平台の建物が老朽化し、手狭になったため、移転先を探していたところ、千葉県我孫子市から熱心なお誘いをいただき、1984年に手賀沼のほとりに移転し、現在に至っております。2024年に移転後40年になります。
1992年には、財団設立50周年を記念して、山階芳麿賞を制定しました。我が国の鳥学研究の発展と鳥類の保護活動に寄与された個人あるいは団体を顕彰する目的で、現在までに、特別賞を含め21人と1団体に贈呈いたしました。
歴代の理事長は、山階芳麿、浅野長愛(ながちか)、島津久永、そして、私で4代目となります。所長も山階芳麿、黒田長久、山岸哲、林良博、奥野卓司と5代目になります。総裁は、1986年から当時の礼宮殿下(現秋篠宮皇嗣殿下)が就任されています。また、1992年には当時の紀宮清子内親王(現黒田清子様)が研究助手として入所され、現在はフェローとして所属されています。
この広報紙「山階鳥研ニュース」は、山階博士の没後、1989年に創刊され、月刊紙から隔月刊行になりましたが、次号で300号になります。学術誌の「山階鳥類学雑誌」は、「山階鳥類研究所研究報告」として1952年に創刊され、現在、53巻を刊行しています。
この90年の歴史には、戦争、オイルショック、バブル経済、金融ショックなどいろいろなできごとがありました。時代の変遷の中で、山階鳥類研究所のあゆみも決して平穏な時ばかりではありませんでした。諸先輩方の努力とともに、多くの皆様のさまざまなご支援のおかげで、90周年を迎えることができたことを感謝しております。
今、我々はCOVID-19によるパンデミックを体験しているところです。ポストコロナがどのような時代になるか分かりませんが、我々は引き続き、鳥類の研究を通じて、自然の保護、生物多様性の維持など、環境問題に取り組み、社会に貢献することを目指してまいります。
今年が皆様にとっても良い年になることをお祈りいたします。
山階鳥類研究所 理事長 壬生基博
(山階鳥研NEWS 2022年1月号より)