小川博 所長就任ごあいさつ

2022年10月5日掲載

2022(令和4)年6月をもって奧野卓司 所長が退任し、7月から、小川博 東京農業大学名誉教授が山階鳥研の新しい所長に就任しました。奥野 前所長はシニアフェローとして引き続き鳥学の文化的側面の指導・助言を担います。

写真:小川博所長このたび奥野卓司 先生の後任として、公益財団法人山階鳥類研究所の所長に就任いたしました。

前任の奥野先生は文化人類学・社会学がご専門でしたが、私の専門は家禽学で、今の山階鳥類研究所にはあまりなじみがない分野かと思います。ただ、研究所の創始者である山階芳麿 博士は、家禽を用いた雑種不妊や染色体の研究、戦後のタンパク質不足に対応するためにニワトリの増殖に関する研究にも打ち込まれたと聞いております。家禽も鳥類であり、研究所の関わる領域が少しでも広がることに貢献できれば幸いです。歴代所長の業績を拝見すると、自分が所長をお引き受けしてよいのだろうかと躊躇(ちゅうちょ)しましたが、誠心誠意努力する所存です。

本研究所は所蔵標本約8万点、図書・資料約7万点、組織サンプル・DNAなど約2万点、鳥類標識データ約610万件を擁し、鳥類学の拠点として基礎的な調査・研究、希少鳥類の保護などの活動、環境省の委託による鳥類標識調査を行っています。このような民間の研究所は稀有な存在でありますが、現在の厳しい経済情勢下で、運営についての多くの課題を抱えています。特に、貴重な標本、書籍、史料等の維持管理に必要な収蔵庫、書庫などの整備・拡充は以前から本研究所の大きな課題です。本研究所はこれまでの活動を通じ、環境問題への貢献、鳥類学の発展に寄与して参りましたが、加えて本研究所の所有する標本や資料のさらなる活用のため、それらの整理、データベース化、ホームページ等での公開、他機関との連携などによる社会貢献を進めております。これらの活動を継続するため、理事長の下、研究員、職員の方々と力を合わせて取り組むとともに、研究所の使命である研究活動が活発に行える環境の整備に努めて参る所存です。

最後に、本研究所の活動は、団体・個人の賛助会員の皆様方をはじめとする経済的な寄附、助成などの御支援なしには不可能です。厳しい経済情勢ではありますが、これまで以上に皆様方のお力添えをいただきますようお願い申し上げます。

公益財団法人山階鳥類研究所 小川博

山階鳥研NEWS 2022年9月号より)

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